第11話 冒険者ギルド支部長と一騎打ち 後編
「職員さん、1本で良いですよね?」
レイが立ち尽くしている職員に言う
「え! 支部長が1本取られた… Fランクごときに… 」
職員がまだ信じられないような顔で呟く
「約束は守って貰えますよね? 支部長に約束を守るように言ってください」
レイが笑顔で言う
「どんな約束をしたのか?」
男が職員を見て聞く
「え! … 薬屋に紹介状と… 中級ポーション4本と… 金貨1枚と最後に奴隷商に処分予定の奴隷を2匹特別価格で引き取れるように紹介状を…」
職員が説明している
「油断しすぎだな… 良い薬だろう! 叩き起こすか」
男が笑いながら言うと、支部長の顔を叩いている
「ん? 何が…」
支部長が起き上がりながら呟く
「見事にやられたな… 完璧に一撃を入れられてのびるとはな… 」
男が笑いながら支部長を見ている
「は? … 何故? どうして顎が痛い…」
「下から剣を振り上げられて顎にクリンヒットされて、トドメに背中に一撃を入れられていたぞ! 完璧過ぎて文句を言えんぞ」
男が笑いながら説明している
「は? 完璧… 1本… ふざけるな!! Fランクを叩き潰す為だったはず!! ラッキーの一撃で1本なんてあり得ない!!」
支部長が大声で怒鳴りはじめる
「負け惜しみか? Fランクに叩き潰されたと噂を流すか? 職員達が見ているぞ!! 約束も守らないとな……」
男が笑いながら言っていると、職員が集まっているのを支部長が見て苦虫を噛み締めるような顔でレイを睨んでいる
(こいつが見ている前で、それも職員達が見ている… 約束を違えると… 信用が… くそ……)
応接室に通されると、支部長が手紙を2枚書いている。職員が中級ポーション4本と金貨を持ってくる
「レイ! これを持っていけ! ラッキーヒットが無ければ…」
支部長が睨みながら言う
「ありがとうございます」
レイが笑顔で受け取り、袋に入れている
「さっさと帰れ!! くそ… 」
支部長が不機嫌そうにレイを見ている。職員が支部長を見ている
(結局有効打は1度も当たってなかった… 完璧に負けて不機嫌になるなんて… この冒険者の実力は上級者並みなのですか?)
「職員さん肉を後で取りに来ます… あ!薬草の依頼の報酬は後で貰えますか?」
レイが笑顔で職員を見ている
「え! 薬草の… あ!! 忘れていました! 後で調べて支払います… 討伐報酬も!!」
職員が思い出したように叫ぶ
「薬屋に行ってきます」
レイが笑顔で言うと、部屋を出ていき、エリンが尻尾を振りながら後をついていく
薬屋に到着する
「店主様はいますか? 冒険者ギルドの支部長よりの紹介状を持ってきました」
レイが手紙を見せ店員が奥に向かい、戻ってくると、部屋に案内してくれる
部屋で待っていると、男が入ってくる
「手紙は?」
男が興味無さそうにレイを見て言う
レイが紹介状を手渡して、男が読みはじめる
「特別に薬の材料の直接買い取りは良いが… 支部長は何を考えている? どう見ても新人に…」
男が苦笑いして言う
「解熱剤を買いに行くと伝えたのですが…」
レイが説明していると、男が頭を押さえながら徐々に笑いはじめる
「あの馬鹿は、油断して1本取られて紹介状書いたのか? 今度嫌味を言っておく! 解熱剤の調合もしても良いが材料は有るのか?」
男が笑いながら言うと、エリンが袋から薬草を出している
「なるほど中々良い採取だな… 残念だがこれでは調剤は不可能だ! 乾燥に数日は掛かるだろう… 全部で… 小銀貨2枚と銅貨60枚で買い取ろう… 症状はどんな感じだ?」
男が笑顔で言うと、エリンがレイを見てから説明している。男が部屋を出ていくと、瓶を持ってくる
「鎮痛と頭痛と解熱に効果が有る…小銀貨2枚と銅貨60枚分だ」
男が笑顔で瓶を置き、レイが受け取り瓶の中身を見ている
「数日分有るから、時々同じ症状になったら使え… 薬草も採取したら買い取るぞ! 紹介されたからな… 迷宮のドロップアイテムでも薬になるなら買い取るから持ってくるように」
男が笑顔で言うと、レイ達が薬屋を出て冒険者ギルドに向かい、職員を探している
あれ? 職員さんがいないな… 他の職員に聞いてみるかな
レイがカウンターに向かう
「解体を依頼した魔物の肉を受取に来たのですが」
レイがカウンターの職員を見ている
「え! もう戻ってきたのですか? 解体場に案内します」
職員が驚いたように言うと、解体場に案内して貰う
「来たか… 肉はどのぐらい持っていく? 旨いところを中心に持っていくと良いが… 毛皮と角の買取りと魔石の買取り価格は職員に聞いてくれ」
職員が笑顔で説明してくれると、レイは肉を見てエリンが袋に入れている
「レイさん、毛皮、角、魔石等の買取価格の件で話があります」
職員が慌ててやってくると、応接室に案内される
しばらくすると支部長と職員が入ってくる
「面倒だから、全部で金貨2枚と銀貨40枚だ!」
支部長がレイを睨んで言う
「え! 」
「不満か!! くそ… 価値が解っているのか… 新人が…」
支部長が睨んでいる
「御説明します。 毛皮は傷が無く、金貨1枚と銀貨50枚になります。角と魔石等が合わせて金貨2枚になります」
職員が呆れたように説明している
「あれ? 金貨3枚と銀貨50枚? でもさっき…」
レイが支部長を見ている
「支部長、下手な事をしたら余計に信用を失います。 自重してください」
職員が苦笑いして注意している
「ラッキーヒットが無ければ…」
支部長が悔やむように呟き、職員が呆れたように見てからトレイをテーブルに置いて、エリンが数えている
支部長、詐欺をしようとしたのか? さっきの金貨1枚取り返そうとしていたのか? 用心しないと…
「運だけで大金を得ると後が大変だぞ」
支部長が睨んでいる
「気をつけます。 奴隷でも買いに行くかな… 」
「後で言われる… くそ…」
支部長が頭を押さえながら呟く
「自業自得ですが、油断したのですから仕方ないです」
職員が突き放すように支部長を見ている
「薬草と依頼の報酬は?」
レイが職員を見ている
「え! …大変申し訳ありません、すぐに用意します」
職員が慌てて出ていく
「自業自得か… お前も忘れて待たせているだろうに…」
支部長が呟いて扉を見ている。職員がトレイに硬貨を乗せて戻ってくると、レイが受け取って帰っていく
宿屋に到着する
「良い肉が手に入ったので料理をして貰えますか?」
レイが笑顔で言う
「肉? 任せておきなさい! 小銀貨2枚ぐらいで良いよ」
女性が笑顔で言う
「お願いします」
レイが笑顔で言うと、エリンが袋を置いて女性が見て驚いている
「この量… 薫製にした方が良さそうですが… ウサギかい?」
「大きな角ウサギでした」
「焼くのとスープで良いね… 残りは薫製にしておくよ」
女性が笑顔で言うと、厨房に持っていく
部屋の前にくる
「ミリーアちゃん開けてくれるかな?」
レイが言うと、しばらくして扉が開き、ミリーアが顔を見ている
「お帰りなさい、レイン様は寝ています」
「後はエリンに任せるからありがとう」
「はい! 冒険者様」
ミリーアが笑顔で言うと、レイはレインの寝顔を見て微笑んでいる。ミリーアが笑顔で部屋を出ていく




