仲間との出会い3
トオルとケンジはセーフハウスの食堂らしき部屋に来た。
厨房では1人の女性…(おばさん?)が調理の最中だった。
「ハジメさん…」
「ん?
何だい。トオルかい?腹減ったのかい?」
「違いますよ。」
「じゃ何だい?」
「新しく仲間になったケンジ君を紹介しようと来たんです。」
「ふーん……
あらやだ!結構いい男じゃないか!」
ハジメはケンジを見定めるようにじっくりと眺め始めた。
じっくりと見られてケンジも気恥ずかしくなったのか、苦笑いを始めた。
「はは……」
その時、厨房の中から鍋の噴きこぼれる音がした。
「あらやだ!噴いちゃった…」
慌ててガスの火を止めて、ハジメはデカい声で
「大丈夫そうだね。頑張んなよ!」
「??……何が大丈夫なんです?」
トオルが説明をし始めた。
「ハジメさんは占いと言うか、未来が見えるみたいなんだよ。」
「未来が?」
「なんか分からないけど、あたしには何となく見えるんだよ。まぁ、ハズす事も当然あるけどね。」
「ハジメさんの予想から一手先を読む事も可能だからね。そのお陰で私達のチームはあまり脱落者を出してないんだ。」
「そーなのか…ハジメさんって凄いんですね。」
「ヤダよ〜…恥ずかしくなっちゃうじゃないか…
ヨシ!ケンジ君何が食べたい?チームに入ったお祝いで好きな物作ってあげるよ!」
「えっと…じゃあ生姜焼きって出来ますか?」
「ああ!任しときな!
それからトオル、コレをサトシに持って行きな!」
「相変わらず、肉しか食べないんですね。」
「まあね…他の食材が勿体無いから、肉以外出すのも止めたんだよ。」
「そういえば、食材って買いに行ってるんですか?」
「実行委員会が食材、武器、生活必需品など用意してくれる。もし、他に必要なものがある場合には、実行委員会に相談って感じだね。認められれば用意してくれるよ。そして、ケンジ君も用意してもらった。」
「えっ?俺も?ってか人も用意出来るんですか?」
「個人を指名する事は出来ないけど、人材を補充することは認められているよ。」
ケンジは思い返す。
突然、自宅に届いた実行委員会からの封筒…
腕時計型携帯を着けた途端に襲われ、このセーフハウスに連れてこられた。
「トオルさん…じゃあ、俺がここに居るのはアンタのせいか?」
ケンジは感情的にトオルに言い寄る。
「直接的ではないけど、まあ、そうなるかな?でも、参加するかはあくまでも本人に委ねられる。100億の賞金に釣られて来た奴も、自分の意思で参加をしている。私は人材の補充を頼んだ。実行委員会はケンジ君を選んだ。そして、ケンジ君はこのゲームに参加した。これは、君の意思だ。私は君に恨まれる理由は無い!いくら君が封筒の中身を見てなくても、それは自業自得と言うものなんだよ。」
「くっ…くそ!」
「トオル!サトシのご飯早く持って行きな!」
「分かりました。ケンジ君、最後はサトシだ。基本、話さなくて構わないから付いて来てくれ。」
食堂から出た2人は廊下の突き当たりの部屋へと入る。そこは、まるで牢屋の様になっていた。
「サトシ…ご飯だよ。」
「トオルか?ん?後ろに居るのは誰だ?」
サトシは食器を受け取りながらトオルの後ろにいたケンジに気づいた。
「彼はケンジ君と言って、新しい仲間だよ。
サトシ、間違ってもバトル中に殺すなよ。」
普段とは明らかに口調が違う。トオルの口調は普段から穏やかな口調だったのに、サトシに対しては少しトゲトゲしいと言うか、怒っている様だった。
「はん!前にいた奴は俺に楯突くからだ。俺は調子乗ってる奴が嫌いなんだよ。今のてめぇみたいな話し方だって気に入らねー!ガキの頃からの馴染みじゃなきゃ、とっくに殺ってらー」
「ガキの頃からの馴染み?」
「サトシは幼馴染みなんだよ。」
「そうだったんですか、…」
「サトシ、今度仲間を殺したら、俺がお前を殺す。」
「出来るもんならやってみな!返討ちにしてやるよ!」
「さぁ、ケンジ君行こうか…」
サトシの言葉を無視する様にトオルは部屋から出て行った。
「無視してんじゃねぇぞ!トオル〜!」
廊下にサトシ声が木霊した。
「さあ、これで仲間との顔合わせも終わったし、明日からシゲさんに鍛えてもらおうか!
今日からこの部屋が君の部屋だよ。今日はゆっくりして明日からの訓練に備えてくれるかな?」
「分かりました。」
トオルが部屋を出ようとした時、ミオが顔を出してトオルにニヤニヤしながら話し始めた。
「トオル〜聞こえてたよ〜。サトシ怒ってたね〜。」
「別にたいしたことないさ。サトシがワガママなのはみんなも分かってるだろ?」
「そりゃあ分かってるよ!でもケンジがビックリしたんじゃないかな〜って思ってね?」
まだニヤニヤしながら今度はケンジに目を向ける。
「残念だけど、アレくらいじゃワガママとは言えねぇよ。俺が営業で回ってた客の方が遥かにワガママだったよ。」
「へー!ケンジって営業だったんだ。サラリーマンか…
何の営業だったの?」
「建設業だよ。だからイメージ通りじゃないから作り直せとか、予算一杯でやってるのに少し負けろとか理不尽な客なんて散々見てきたんだ。」
「ふーん…でもサトシはムカついたら後ろからズドンだから、気をつけてね〜」
ミオは、楽しそうに手をピストルのマネをしてケンジに向ける。
やれやれとため息をつきながら、トオルはミオに注意する。
「ミオ。止めておきなさい。
ハジメさんも大丈夫って言っていたから、そんな事にはならないよ。」
「うそ?!もうハジメさんの占い出たの?」
「ケンジ君を気に入ってたみたいだよ。」
「あのオバさんって男好きだしな〜」
「はは…そうなんですか?」
困惑するケンジと冷やかすミオ、落ち着いたトオルで雑談をしていた。あっという間に時間が経って夜も更けていた。
「長々と話し込んでしまって済まないね。」
「いえいえ。大丈夫ですよ。」
「じゃあね!ケンジ、おやすみなさい」
やっと1人になったのは、時計が12時を回っていた。
(明日から訓練か…シゲさんってどれだけ厳しいのかな?)
慌ただしい1日がやっと終わり、ケンジは眠りについた…




