王の側近の楽しみ
マルドアは痛み目を覚ました。左の視界が遮断されており、触れてみれば包帯の気配があった。触れた手にも包帯が巻かれている。
それを理解するのと同時にスースーと寝息のようなものが聞こえ、首を動かせばベットの端でうつ伏せで眠っているイルリカの姿があった。寝ている姿も美しくマルドアは無意識に美しい髪に指を絡めた。サラリと落ちていくのが名残惜しくて何度も指を絡める。
すると、自然と口から言葉が漏れていた。
「好きだ・・・。俺は君を愛している」
分かりきっているが最初から惚れていた。美しく、気高く、聡明な彼女に惹かれない要素がなかった。
「好きだ・・・」
痛みはするが無理矢理体を起こし、彼女の艶やかな髪に口付けを落とす。それだけでは足りなくて、彼女の指先に自分の指先を絡めた。小さくて、白い手だ。だが、村で仕事をした証を示す荒れた手でもあった。その手を見て更に愛しさかが溢れる。
その時ふと彼女の耳が真っ赤に染まっていることに気付いた。
少しの間の後その耳に触れる。
「ひゃっ!!」
イルリカは耳を押さえて勢いよく起き上がる。その顔も真っ赤で思わず笑ってしまった。
「な、何笑ってるんですか!!大体寝込みに何を!」
照れ隠しで怒鳴る彼女を更に可愛いと思いながら口を開く。
「起きていたなら寝込みとは言わないのではないか?」
「寝てると思われる相手にしていたなら一緒です」
キッと睨まれ、悪かったと苦笑しながら謝ればイルリカはムッとしたまま顔を背ける。
「大事なことも寝ている相手に言うものではありません」
マルドアはイルリカの手を握り、引き寄せそのまま抱き締めた。
「好きだ。俺は君を愛してる。誰にも渡したくない。俺の傍に居て欲しい」
耳元で囁けば、イルリカは耳元を手で覆い相変わらずの赤い顔で怒鳴る。
「ちゅ、注文が多いです!」
「まだまだあるんだが・・・応えてはもらえないか?」
「・・・検討します」
「あぁよろしく頼む」
耳元で再び囁けば、イルリカはまた真っ赤になった。




