火傷の帝王の真意
「最初から勝つ気などなかったのではありませんか?」
乗ってきた馬に股がろうとした時、カルマはレノにそう問われた。カルマはいいやと答える。
「二割くらいは勝つ気でいた」
カルマが馬に股がるとレノも習って股がる。
「八割は負ける気でいたのでしょう?同じようなものです」
馬を歩かせながら二人は会話を続ける。
「大方、ラディウス国王やマルドア宰相の本気が見たかっただけでしょう」
「まぁそれはある。可愛い妹達を弱い男には預けられんからな」
カルマはふと夜空を見上げる。満点の星は今にも降り注いで来そうなくらい瞬いていた。
「掴めそうで、掴めんなぁ」
カルマは空に伸ばした手を握り締め、苦笑する。
「目の前のものでさえ、簡単には掴めないのですから。見えないものを掴むのは更に難しいに決まっているでしょう」
「そうだな・・・。火傷の面など気にするあの子達ではない。心意気であの男達に勝てると思っていたのだがなぁ」
「彼女達以上に愛したいと思える御仁を見付けましょう。彼女達を愛し、彼女達に好かれるような女性を」
「あぁ。そうしよう。ーーただし一年後」
「一年後?何故です?」
「一年も経てば嫌気がさし、俺を思い出してくれるかもしれんだろう」
レノは呆れたようにため息をつく。
「しつこい男は嫌われますよ」
「その間にいい女が見つかれば別だ」
「なら探しだしますよ」
「期待している」
カルマはニッと笑い、馬を走らせた。レノもそれに遅れることなく着いていき、バランギアス帝国の二人はウルアークを出ていった。




