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覇王様の子守唄 第2章  作者: 日明
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氷の覇王の戦い

 カルマの顔面を狙ったメルフィの蹴りは、僅かな動きで避けられた。続いて王の拳はカルマの腹部を狙うがカルマは膝で腹部を庇い、王はその膝に思いきり拳を打ち付けるはめになる。


 一瞬顔を歪める王の腕をつかんで引き寄せ、カルマは思いきり投げ飛ばす。王は咄嗟に受け身はとったものの強打には変わりなく、ダメージを全て緩和することは出来なかった。


 そんなカルマにメルフィが横蹴りを放てば、腕で防がれ、反射的に舌打ちする。メルフィは拳を振り上げるカルマに気づき、避けるのは難しいと防御の姿勢をとるが、視界の端に何か映った。それが何か悟る前に衝撃が顎から脳天に突き抜ける。左の拳はフェイントの右拳による攻撃だ。


 視界が一瞬真っ白になった。


「メルフィ!!!」


 その声で我に返り、脚に力をいれ、真っ直ぐ前を見据える。獣のような鋭い瞳にカルマは愉快そうに笑った。


「加減したつもりはなかったがな」


 その声と共に後ろに蹴りを放つカルマ。後ろに迫っていた王の蹴りと交差し、王の方が弾かれ、バランスを崩す。カルマは踏み込んで拳を振り抜くが、間一髪王は避けて見せ、カウンターをカルマの頬に叩き込む。


 鈍い音と手応えに王は一瞬油断した。カルマは拳を作っている王の腕を引き、膝と肘で挟み込んだ。


 ゴキィッ!!


 嫌な音と共に王の短い悲鳴が聞こえた。


「陛下!!!」


 飛び出しそうになったディーナをイルリカが止める。


「離して!イル姉!!」


「信じて」


 姉のたったその一言でディーナは立ち止まる。姉の瞳には不安と心配の色が拭えていなかったが、確かな強いものも感じた。


 再び男の戦いに目を向け、目を見開く。


 マルドアがカルマの足にしがみつき、動きを止めていたのだ。


「陛下!メルフィ!」


 予想外だったらしくカルマは一瞬隙を見せた。気づいた時には目の前に拳が二つ迫っていた。


 王とメルフィの渾身の一撃は見事に決まり、カルマは地面を転がる。


 メルフィは膝が震え、王の右腕は次第に腫れていっているのが分かった。


 今までの動きを見ていて皆が感じている。


 三対一でもカルマは格が違うと。その強さが分かっているからディーナはもう立たないでと祈った。


 大好きな人が傷つくのも、大切な人が傷つくのももう嫌だ。


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