王の側近の叫び
カルマは口もとに笑みを浮かべる。
「さすがにあの程度の挑発に乗りはしないか」
お互いの剣は顔の横すれすれで止まり、カルマの目の前でメルフィの手がカルマによって止められた。様子からして剣で攻撃すると見せかけての目潰しで迫っていたらしい。
頭に血が昇っていると見せかけての冷静で狡猾な動き。
「騎士団副団長ともあろう者が目潰しなどという姑息な手にでるとはな」
「副団長として戦うならば剣のみで挑みますよ。しかし、今行っているのは試合ではなく、本気の決闘です。勝つためならば、姑息な手だろうと迷うことなく使いますよ」
カルマはほう・・・と小さく呟く。
「そうだな」
その声と共に感じた殺気に、カルマは大きく飛び退く。
降り下ろされた剣は地面に突き刺さったが、持っているはずの相手がいなかった。それを理解した直後、迫る拳に腕を交差させて防げば、数メートル吹き飛ばされた。
「これは決闘という名の喧嘩だ。剣を交えるより、拳を交えた方が気が晴れる」
カルマを殴り飛ばした拳を握り締めたまま言う王に、マルドアも剣を手放した。
「そうですね」
メルフィも続く。
カルマはその様子を見て声をあげて笑った。
「喧嘩とするか!いいだろう!!剣を持たぬ相手に刃を振るうような野暮な真似はせん!!」
カルマも剣を投げ捨て、マルドアに迫る。
鋭い上段蹴りをマルドアは腕で防ぐが、吹き飛ばされ体勢を崩す。建て直した直後、拳が腹部にめり込んだ。
「ガハッ!」
続けて頭部に蹴りが入り、マルドアは衝撃のまま地面を転がる。
「マルドア様!」
倒れ込んだマルドアにイルリカが駆け寄ろうとしたその時
「来るな!!」
マルドアがそう叫んだ。倒れた体を必死に起こしながら言葉を紡ぐ。
「知っている・・・。俺はこの中で一番弱い。勝てる見込みがないことなど最初から分かっていた・・・」
「もういいです!立たないでください!!」
「俺が嫌なんだ!!!」
マルドアは震える足で立ち上がった。
「君の存在を知っていながら・・・遠くにいるなんて・・・他の男の隣に居るなんてっ、嫌なんだよ!!」
子供のわがままのように同じ言葉を繰り返すマルドア。カルマは少しだけ笑っていた。
「ルールは動けなくなるまでだ。お前はまだ攻撃対象に値する」
カルマはマルドアを攻めようとしたが、左右から迫る蹴りに気づき、大きく飛び退いて避ける。
「マルドア、今は休め。気絶はするなよ」
王とメルフィは再び踏み込む。




