氷の覇王と帝王の戦い
手が降り下ろされるの同時に開始の合図がされる。
真っ先に前に出たのはメルフィだ。真正面からの突進にカルマは余裕の笑みを浮かべる。
ガキィィイン!!!
真正面からの攻撃をカルマは避けることもせず受け止める。
「馬鹿正直な剣だな」
「三対一を承諾したのはそちらです。容赦をする必要はない」
「確かにそうだ・・・なっ!」
カルマの蹴りはメルフィの腹部に決まり、一時距離を置く。だが、なかった手応えからダメージは与えられていないことを悟るカルマ。
そして、また真正面から剣を降り下ろされカルマは微笑する。
「この国は愚直な奴等ばかりか?」
「その愚直なまでの剣を受け止める貴様も人のことは言えんと思うがな」
王もまたメルフィ同様カルマに正面から向かい、その剣は難なく止められる。
「俺には余裕があるということだ」
「そうか」
カルマの軽口を王は軽く受け流す。その直後、カルマは王の剣を押し返し、背後を振り抜く。
ガキィッ!!
背後にまわっていたマルドアは強い一撃を受けはしたが、バランスを崩す。
「二人が正面から来た中一人は背後からとはな」
「私は己の実力と相手の実力の差を見極められないほど阿呆ではありません」
マルドアはすぐさま体勢を建て直すが、カルマは前に出る。
「それに正面二連続後の背後は意識が一度持ってかれますからね」
その声が下方から聞こえたことに飛び退く。下からの切り上げは僅かにカルマの腕をかすった。
その直後、背後の殺気に鋭い蹴りを放つ。その蹴りは王の腹部にめり込み、王は歯を食い縛って耐える。そんな王に追撃をかけようとカルマが前に出た。
その王が僅かに首を傾げればその横をすり抜けるように刃が通り、カルマの頬を僅かに掠めた。カルマは一旦距離をとり、頬の血を拭う。
「王の後ろに宰相殿か。いい動きだ」
王の背後に隠れたマルドアの一撃は僅かに掠めるだけにとどまった。チャンスと思った瞬間の不意打ちに近いものだったのだが、あっさりと避けられた。冷や汗が一筋マルドアの頬を伝う。
「三対一と言えど俺にここまで傷をつけられる奴は珍しい。いや・・・俺が貴殿らを舐めてかかっているだけか」
挑発染みた言葉にメルフィはピクリと反応する。
「宰相殿が弱いというのは頷けよう。王の側近として必要なのは強さではなく、王を正しく導く頭脳だ。王は自身の身ぐらいは守れねばな。だが・・・貴殿は国を守る騎士団の副団長だな。以前手合わせした際にも感じたが・・・この国の兵の底が知れる」
蔑んだような瞳を受け、メルフィは眉を寄せるが、カルマはなおもつづける。
「守られるべき王に毛が生えた程度の実力で、他者を守れるなどと傲るな」
メルフィが前に出た。周りからは頭に血が昇っての突進と思われた。だが、速い。ディーナは一瞬目が追い付かなかった。
しかし、カルマはその突進を読んでおり、同じく前に出て頭部目掛けて突きを放った。勢いと頭に血が昇った状況。
全員の頭に嫌なイメージが浮かぶ。
「メルフィ!!!」
レオナの悲鳴染みた声が響いた。




