王の側近の焦り
バランギアスは大きな国だ。国土はウルアークの3倍以上ある。更に兵達も屈強な者が揃っている敵に回したくない国の上位だ。そんな国の王のわがままをふざけんなテメーと追い返す訳にもいかなかった。
そのため異例中の異例だろう他国の王と同じ城で一週間過ごすこととなった。
そしてカルマもどうやら三人を嫁にしたいというのは本気なようで全力で口説いていた。
「イルリカ」
イルリカは廊下で呼び止められ立ち止まる。
「おはようございます。カルマ陛下」
「かしこまるな。カルマでいい」
「そんな訳には参りません。陛下と私はとてつもない身分の差。周りの者達に示しがつきません」
カルマは不意にイルリカを抱き寄せ真っ直ぐ目を見つめる。
「俺がいいと言っている。周りの目など気にするな。俺だけを気にしていればいい」
「お、おやめください!」
イルリカはカルマの胸を押し腕から抜け出す。内心混乱している中、笑い声が聞こえそっと顔を上げるとカルマがクスクスと笑っていた。
「・・・からかって楽しいですか?」
睨み付けてくるイルリカにカルマはいやと頭を振る。
「お前が俺を意識してくれてるのが嬉しいのと同時にどうにも可愛くてな。笑ってしまったのは悪い」
イルリカはまた真っ赤になったところでカルマが前に出る。
「イルリカ!ちょっと仕事のことで急ぎの用だ!カルマ陛下申し訳ありませんが失礼します!!」
何処からか飛んで来たマルドアがイルリカの手を掴み、駆けて行った。
「・・・邪魔が入ったな」
カルマは軽くため息をつく。
そして、一部始終を隠れて見ていたギドはこれはまずいと危機感を抱いていた。
あのイルリカちゃんでこれかよ・・・っ
話ではレオナは元々カルマに随分なついていたという話だ。憧れのお兄さんが、素敵な異性に変わっても全くおかしくない。ディーナについてはあまり心配はしていないのだが、カルマがどんな手に出るか分からない。
いつもなら面白い展開だとワクワクして見るのだが、女の子を三人、しかも姉妹を侍らそうと言うなら話は別だ。王族ならば一夫多妻が普通。だが、姉妹でなど嫌でも絶対にお互いを憎みあってしまう日が来てしまう。
女という生き物は惚れた男の愛は一心に受けたいと願うものだ。
「憎みあう女ってのが一番醜いんだよ」
それを何より知っているのがウルアークの現国王であることをギドは知っていた。




