氷の覇王の激昂
その悲鳴を遮るようにドンッと机が叩かれる。
「喧嘩を売りに来たと解釈していい訳だな」
「国の問題にする気はない。三人がいいならそれで問題は解決だ」
殺気を露にする王にカルマは飄々と答える。
「ちょっちょっと待ってよお兄ちゃん!!」
レオナが立ち上がって主張する。
「10年ぶりくらいの再会でいきなりそんな・・・」
「俺はこの10年間ずっとお前たちのことを考えていた」
カルマは真っ直ぐレオナを見つめる。
「お前たちに救われた命だ。お前たちに恥じない生き方をしたかった。最初の頃は何度も死にかけた。何度も裏切られた。その度にお前たちの姿が浮かんだ。俺が死ねばレオナは大泣きして、騙されたと語ればイルリカは不器用に慰めてくれ、ディーナは美しい歌声と共に背を擦ってくれるだろうと。そんなお前たちの会いたいから、生き抜いた」
微笑むカルマにレオナはドキリとする。
「まず国を立て直し、落ち着いたら顔を出すつもりだった。だが、中々暇が出来ずにな。まぁあの母がいるんだ。お前たちが不幸になるような事態はないだろうと思っていたら・・・ディーナの噂を聞いた。かなり強引な連行に強制的な婚約という話でな」
「デタラメです!」
「・・・強引な連行は事実だ」
カルマの言葉にディーナが噛みつくが、王が同意するものだから何も言えずに口ごもる。
「乗り込むつもりだったが、臣下達に止められてな。確かめてくるから待てと」
「この人本当に戦争吹っ掛けそうな勢いだったので全力で止めましたよ」
キドと戦っていた、短髪の青年がため息混じりに言う。
「紹介が遅れたな。俺の片腕をしてくれてるレノだ」
「レノと申します。本日はご迷惑をおかけして申し訳ありません」
レノは深々と頭を下げる。
「前回もレノに頼んでいたんだが、幸せそうだから安心しろと言われてな。ならば尚更可愛い妹分達に会いたいし、覇王と呼ばれた王がどれほどの男か気になってな。こうして来た訳だ」
「思いっきり殺る気で来てませんでした?」
「あぁ。弱い男に妹分達は任せられんからな」
サラリと言うカルマにギドは苦笑するしかなかった。
「お待ちください。三人に会いたかっただけと言うならもう目的は果たされたでしょう。何故后という展開に・・・」
「再会してみれば妹分達があまりにも美しく成長していてな。何処の馬の骨か分からん連中にやるくらいなら嫁に貰おうという考えだ。急に答えを出せとは言わん。一週間猶予が欲しい。恐らくお前達の中の俺はいい兄貴分のままだ。それを一週間で対象になる男に変えてやる」
ニッと笑うカルマに一同はポカンとするしかなかった。




