歌姫の姉の色恋事
「や、やっぱりナンデモナイデス・・・」
嘘が苦手なディーナの何でもないはむしろ何かあると言っているようなものだぅた。
「何それ気になるじゃん。ラディ関係か?」
「い、いえ」
「じゃあ・・・イルリカちゃんかレオナちゃん関係か?」
「違いましゅ!!」
「ましゅって」
動揺しまくっているディーナの反応にギドは楽しそうに笑う。
「いいことなのに俺には隠すの?」
「い、いいことじゃないかも知れないので・・・」
「ふーん・・・。それってマル坊とメルフィも関係してる?」
「めじゅらっ!」
「めじゅらって何」
ギドはまたケラケラと笑いながら木の上から飛び降りる。
「嬢ちゃんでも気付いてんのか。マル坊がイルリカちゃん好きで、メルフィがレオナちゃん気になってんの。まぁ、マル坊はあからさまか」
「え?」
「え?って何?そういう話だろ?」
「わ、私は逆にイル姉がマルドアさんを、レオ姉がメルフィさんをかと思ってまして・・・」
ギドは数拍の間を空けた後吹き出す。
「うっそだろ!気付いてなかったのかよ!ってかそうなの?お姉ちゃん二人」
「か、確信はないです!」
ギドはふーんとニヤニヤ笑った。
「確信はないですからね!」
ディーナが念を押すとギドはこう言った。
「じゃあ聞けばいいじゃん」
「へ?」
「イルリカちゃん客間だよなー」
「ちょっ、ちょっと待ってください!」
歩き出そうとしたギドをディーナがすかさず腕をつかんで止める。
「聞くってどうするつもりですか!?」
「イルリカちゃんなら『マル坊のこと好きか?』って聞くだけだぜ。俺にも出来る」
ドヤ顔をするギドにディーナがそうじゃなくて!と続ける。
「こういうのは当人達に任せるのが一番なんじゃないんですか!?」
「だって面白そうなんだもん!」
「子供ですか!?」
なんて話していた時だった。
「おい・・・」
地を這うような低い声にギドは肩を跳ねさせ、ディーナは目を輝かせ勢いよく振り返る。
「陛下!!」
嬉しそうな表情を浮かべ、犬ならば尻尾を全力で振りながら王の傍に行く。
先ほどまで人を睨むだけで殺せそうな雰囲気を醸し出していたというのに、ディーナを見ただけで眉間のシワは緩み、一気にオーラが穏やかになった。
嬢ちゃんスゲェ!!
とギドは心から思った。
「お仕事落ち着いたんですか?」
「・・・あぁ。一段落した」
「お疲れ様です!」
キラキラとした笑顔で王を労うディーナだったがギドには分かっている。
こいつ絶対俺と嬢ちゃんが話してるの見て仕事途中で飛んで来ただろ!あの妙な間に疑い向けない嬢ちゃんスゲェよほんと!
と思いつつも口に出せばディーナが私のせいで・・・と落ち込みかねないし、王に半殺しの目に合いそうなため黙っておく。
「何の話をしていたんだ?」
「へ!?」
ディーナはいやー・・・そのー・・・と目を泳がせる。その反応にさっきまで穏やかだった王の気配が剣呑になるのが分かった。
「ギド・・・。その面貸せ「話すから!本当に面の皮剥ぎそうな感じ出すのやめよ!な!?」
ギドは自分の身の危うさを感じ必死にそう叫ぶ。
ギドはディーナと話していた内容を包み隠さず全て王に伝えた。
「なるほど・・・。マルドアとメルフィがな・・・」
「ってことだから俺は嬢ちゃんと怪しいことはしてねぇぞ!!」
「本当に大丈夫だったか?ディーナ」
「俺の信用0なのね!」
ディーナが大丈夫ということで王は納得し、話は戻る。
「人の色恋に他人が口出してもいいことにはならんだろう」
「別に馬に蹴られようってんじゃねぇしさー」
折角面白そうなのにーと頬を膨らませるギドを王は気持ち悪いで切って捨てる。
「だが、機会は作ってもいいんじゃないか?」
「「機会?」」
ディーナとギドの声が見事ハモったのだった。




