歌姫の喜び
「メルフィめぇ~。ちゃんと後から好きって言ったのに・・・」
廊下を歩いている最中レオナは頬を膨らませ、ずっとぼやいていた。
「いや、メルフィさんがレオ姉を追い出したのはそこだけじゃないと思うよ?」
「女だからって手ぇ出さないのが悪いんじゃん!」
「レオ姉は王のお客様の扱いでもあるんだから手を出せないに決まってるじゃん」
ことごとくディーナに論破され、レオナはうーっと唸る
。
「夕方くらいにメルフィさんに謝りにいった方がいいんじゃない?あと上着のお礼しに」
レオナは借りた上着に顔を埋めた後、ディーナを見る。
「洗って返した方がいい?」
「え?まぁその方がいいかな。何で?」
レオナは眉を下げ少ししょんぼりとした様子で答える。
「メルフィの匂いがしなくなっちゃうのちょっと残念だなーって・・・」
その言葉を聞いてディーナしばらく目を瞬かせた後構図が出来上がる。
レオ姉はメルフィさんの匂い好き=メルフィさん自身も好き!?
単純過ぎる式だが、今の状況はそれ以外を考えられなかった。
「頑張って!レオ姉!!」
「え?洗濯を?ちょっと不安だから手伝って貰おうかなーって思ってたんだけど・・・」
「あ、それは手伝うよ!」
良かったーと嬉しそうに笑うレオナ。ディーナは姉達に訪れている様子の春に綻ぶ顔を隠せなかった。
レオナと洗濯を終えたディーナ。レオナは庭師を手伝うということで、ディーナは騎士団の訓練場の掃除に向かうことにした。レオナに邪魔されて進まなかったであろう訓練もそろそろ終わっていることだろう。
姉達二人のことがどうにも嬉しくディーナは鼻唄混じりで歩いていると、不意に頭上から声がした。
「随分ご機嫌だな。嬢ちゃん」
ディーナは勢いよく顔をあげる。
「ギドさん!」
木の上で横になっていたギドはよっと片手を挙げる。
「なーんかいいことあった訳?」
「実は!」
嬉々として伝えようとしたがハッとする。良く考えたら勘違いかも知れないし、もしそうでなかったとしても、それを言いふらすのはまずいのではないのか。




