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覇王様の子守唄 第2章  作者: 日明
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歌姫の姉の答え

「じゃあオレが問題出すからオレ達三人が納得できる答えを出せたら受け付ける。問題に情報が足りなければ質問は有りだけど、同じ質問を二回した場合はオレ達は君のことを認めない。それでも君を側近につけると王が言うならオレ達にもオレ達なりの考えがあるかな」

「別に受ける必要はない。挑発に乗る必要など「いえ。やらせてください」


 マルドアの言葉を遮ってイルリカは言う。


「彼女はやる気だしいいんじゃない?それじゃ問題出すからよく聞いてね。よく聞こえたなかったからもう一回とか受け付けないから」

「はい」


 アルルはニッと笑って口を開いた。


「川の傍に農業を営んでいるAの村とBの村がある。Bの村はAの村より下流に存在している。あるとき、Aの村が水を多量に必要になり、Bの村の農業用の水が足らなくなってしまった。しかし、Aの村も使いすぎている訳ではない。この問題をどう解決する?」


 水は死活問題だ。しかも必要量とあれば減らす訳にはいかない。イルリカは少し考えて口を開いた。


「Aの村は完全にせきとめているのですか?」

「せきとめている場合とせきとめていない場合で何か違うの?」

「完全にせきとめてしまっているのならば、その分は全て必要量。減らす訳にはいきません。ですが、それではBの村が機能しなくなります。ならば土地の状況にもよりますが別の川から水を引くための水路を作るべきでしょう。しかし完全にせきとめていないのなら、水路を作るのは余計な予算が必要になります。ならば農作物を水が少量で済むものに変えるべきです。他国ならば村の負担になるため難しいですが、ウルアークならば国の負担で済むため村人達の財政に影響なくできます」


 マルドアはどうだ?と三人の表情を見るがが変わりはない。イルリカはその様子に動じることなく話を続けた。


「けれど土質などの問題もありますから、両者の村の合った作物で最良の判断をすべきです。Bの村の方が水を多く必要とする作物に合っているならAの村を水が少量で済む作物に変えるべきかと。勿論収穫手前だというのに作物を全て変えろなどというふざけたことを言うつもりはありません。その地域の地形にもよりますが作物を作る必要はない土地の可能性だってあります。原点のみの解決で悩むより原点から広がる原因の撤廃を視野に入れるべきかとも思います」


 少しだけ三人の表情が変わったがイルリアは更に続ける。


「そして、私の知識は浅く全くの空想でものを言っています。100%の答は出せませんが、これが私の考察です」


 暫し静寂が辺りを包んだが、プッと噴出したのはアルルだった。


「いいね!自分を理解してるとこがいい!自分の答が100点だって驕ってないのもオレ好みだ」

「好みとは何だ!!」


 マルドアが叫ぶもアルルはガン無視。


 ラシオンは唇を尖らせて呟く。


「正直突っつけるとこ大したことないし余計に気に入らんわぁ・・・」

「だが、確かに空想上の甘い考えでもある」


 ベネの言葉にイルリカは頷く。


「分かっています。工事は簡単に出来るものではないし、その村水路を引く価値があるかも分からない。その土地では作物も鉱石も何もとれないかも知れない。でも、国を守る立場であるならば国民全てを救おうと動く義務があると思います」


 ベネは腕組みをし、黙っていたが、不意にその腕を解き、拍手した。


「素晴らしい。私は彼女が側近となることに異論はない」

「オレも攻撃的な女は好みだよ。オレに言い負かされないタイプは落としがいがある」

「アルル!貴様だけはさっさと帰れ!」

「さっきから何噛み付いてきてんのさ」


 不快そうにマルドアに視線を投げていたアルルだったがん?と考えこみニヤーッと笑う。その嫌な笑みにマルドアは嫌な予感がした。


「王と側近て好み似るのかなー?まさか姉妹なんてねー」


 わざと聞こえるように言うアルルの口にマルドアは持っていたペンを投げつけた。アルルはヒョイと避けて見せ、さぁ反応はどうかなー?とワクワクしながらイルリカを見る。


 だが、予想外に無反応だったため拍子抜けする。


「今日の件、私の実力は認めていただたいと見てよろしいでしょうか?」

「オレはいいと思う」

「私もだ」

「・・・しゃーない。二人OKだしとんのに俺だけ拒否ってもしゃーないやろ」

「ありがとうございます」


 イルリカは椅子からスッと立ち上がり、王の前で膝をつく。


「陛下。正直、私には勿体無い申し出とお断りするつもりでおりました。ですが、今回こうして三省の長に認めてもらい、自身の可能性を試してみたくなりました。どうかお傍で国のために尽くさせてはいただけないでしょうか?」

「こちらから願っていたことだ。よろしく頼む」

「自身が成せることを精一杯こなしましょう」


 自然と拍手が巻き起こり、収まったところでアルルがはいはーい!と手を挙げた。

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