火傷の少年が見る姉妹の証拠
グリードは家事が出来るぐらいには回復し、働かざる者喰うべからずとクレアにニッコリと言われ皿洗いや洗濯といった家事をこなしていた。その途中クレアから馬小屋で掃除をしている娘達三人におにぎりを持って行って欲しいと頼まれ村を歩く。
「ちょっとそこのお兄さん」
声をかけられ振り向くと、そこには腰の曲がった老婆の姿があった。
「何か?」
「アルドさんとこにお世話になってる方だね。これどうぞ」
差し出された風呂敷の中には野草らしき物が入っていた。
「これは?」
「火傷なんかによく効く薬草の類だよ。使い方はアルドさんが良く知ってるから」
「何故・・・見ず知らずの俺に?」
「困った時はお互い様。これが村の方針だからねぇ。それにレオナちゃんがあんたのこといい人だって言って回ってるからね。遊んでくれるとか、おやつを分けてくれるとかって。本当のお兄ちゃんみたいだねぇ、あんた。手に持ってるそれだって今からあの子達に持ってってあげるんだろう?」
老婆がシワだらけの顔に更にしわをつくって笑った。グリードは苦笑しながら答える。
「悪い人間だと言うつもりはないが、その程度でいい人間だと言われてもな・・・」
「アルドさんのとこにいるのがいい証拠だからそれでいいんだよ。クレアさんは悪い人に敏感だからねぇ」
ホッホッホッと元気に笑って去っていく老婆はクレアがただならぬ者であることを知っているようだった。
どうなってるんだこの村・・・。いや、村より、どうなってんだあの人と言うべきか。
と思いはするが、今は荷物を届けるのが先かと馬小屋に向かう。馬の嘶きで場所はすぐに分かり、顔を出すと。
「イルリカお姉ちゃん!馬糞に手ぇ突っ込んじゃったー!!」
「洗いなさい」
「分かってるよー。蛇口ひねれなーい!」
「あ、今行くよ」
レオナの声が響き、静かなイルリカの声と小さなディーナの声で大体の場所も把握できた。
「おい」
声をかけるとすぐにレオナが気付いた。
「グリードおにいちゃん!」
レオナは顔を輝かせ走ってくる。
「待て!手は洗え!!!」
馬糞だらけの手で駆けてくるものだからたまらずそう叫んだ。レオナが手を洗っている間にディーナにおにぎりを手渡す。
「お前達はこんなことまでしているんだな」
「この村では普通です」
「楽しいよー!」
相変わらずクールなイルリカと対照的なレオナを見てグリードは姉妹なのに何故こんなにも違うのかと首を傾げる。
「粗方終わったし先にご飯にしましょうか」
「わーい!」
三人共手を洗い、ご飯を食べだした様子を少しだけ見ていたのだが、食べるタイミングやお茶を飲むタイミング、おかずをどれから食べるかまで一緒で思わず笑った。変なところで姉妹だと分かる。




