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覇王様の子守唄 第2章  作者: 日明
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歌姫の姉が語ること

 廊下を歩きながらギドがマルドアに問う。


「そういやあんだけイルリカちゃん見て緊張してたのに何であの短時間で平気になったんだ?」

「・・・頭の中で慣れるように何度もシュミレーションした」


 真面目なのか馬鹿なのか、ギドには判断がつかなかった。


 客間に入ると少し驚いた。何とレオナがソファに座っているメルフィのふとももの上で寝息をたてているではないか。


「・・・どういう状況?」


 ギドが首を傾げるとメルフィが疲れている様子で口を開いた。


「レオナさんがケーキを食べ終わった後僕の脚を見て『かたそー!』とか言いながら僕のふとものの上に頭を置いて『思ったよりいい感じ!』と言ってその結果です」


 本当にメルフィはレオナちゃんに振り回されてんなぁ・・・とギドは少し同情した。


「今から連絡事項を伝える。レオナには後で伝えてくれ」


 マルドアの言葉で全員が姿勢を正した。


「レオナ、ディーナ、メルフィ。この三人のうちの誰かが接触を目的に狙われている可能性がある。危険性がどれほどかまだ計り知れない以上、このまま村に返す方が危険だと判断し、暫し城に逗留してもらう。その旨は王が手紙にしたため実家に送る。ちなみに現時点で心当たりがある者は?」


 沈黙からないのだと悟り分かったと答える。


「では、バランギアス帝国と聞いて何か思い当たることは?」

「え・・・」


 唯一反応したのはイルリカだ。


「何か覚えがあるのか?」

「い、いえ・・・」


 反射的に否定していたが、表情から動揺が読み取れた。


「分かった。ディーナ。お前は陛下の元へ行って、手紙に一言添えておけ。その方が信憑性も高まるだろう。ギドはメイド達にこの二人が数日間逗留できるよう準備をするよう伝えてくれ。メルフィ。お前はこれからレオナの警護をしてもらう。ライドに手伝ってもらっても構わない。お前のしやすいよう準備をしておいてくれ。ついでにレオナをそのまま寝室に連れて行ってくれ」


 マルドアの指示に全員が了承し、部屋から出て行った。必然的にイルリカと二人きりになる。


「あの・・・ケーキ・・・いかがですか?」

「ああ、いただこう」


 マルドアはソファに座り、ヨーグルトのケーキを頬張る。無言で食べ続けるマルドアにイルリカが問う。


「何も・・・聞かれないのですか?」

「聞かれたくないのだろう?」


イルリカは無言で肯定する。


「君が恐らくバランギアスについて何か知っていることは分かっている。だが、それを俺に伝えないということは、ひとまず危険ではないが秘密にしなければならないこと。俺はそう判断したが違うか?」

「・・・お言葉の通りです」


 イルリカは静かに頭を下げる。


「危険や問題でない以上責めるつもりはない。だが、君がバランギアスについて知っているということは相手の狙いはレオナかディーナで間違いなさそうだな」

「・・・もしかしたら二人共かも知れません。それか、私も」


 マルドアはイルリカの言葉に目を見開く。


「バランギアスと何か関係があるのか?」

「それは秘密なのです。ですが・・・危険ではないだろうことだけはお伝えします」


 静かで揺らがないイルリカの瞳を見つめながらマルドアは口を開く。


「バランギアス帝国は13年前王位争いで国は大きく乱れた。10年近く収まることはないだろうとされた戦いは12年前に収まった。カルマ王子が玉座についたためだ。実は12年前気になる一報があった。『ウルアークの国境付近にカルマ王子の姿を見た』というものだ。この国境の近くにあったのが、ガイアだ」


 イルリカは暫しマルドアを見つめた後目を伏せる。


「お見通しですか」

「君達は、カルマ帝王に会っているな」

「・・・分かりました。お話します。あれは、13年前のバランギアス帝国の王位争いの真っ只中の時です」


 13年前ですから私が9歳。レオナは7歳。ディーナが5歳の時のことです。

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