王の剣の威嚇
ギドは気配を頼りに追いかけっこをしていた。人気のない裏路地に入ったところで声をかける。
「なあ、鬼ごっこはもうやめにしようぜ。気配の消し方からしてそれなりの腕してんだろ?折角だ。やろうぜ。俺も最近暴れてなくてよぉ。腕がなまっちゃいけねえ。ついでに俺が勝ったらこの平和ボケしてる街に何しに来たか教えてくんねーかな?」
返事はないだろうと予想していたが、その予想はいい意味で裏切られた。
「人を探していただけです」
音が反響し正確な位置は把握できないが、聞こえたほうに視線を向ける。姿が見えないため気配に頼るしかなかった。
「人を?」
「はい。ある方が会いたいと願っている方を探しに」
「人探すのに気配消せるような奴がいるのかよ」
「申し訳ありません。癖のようなものでして。今のところ危害を加える予定はございません。貴方方がこちらに手を出してこないのなら」
「へえ・・・大した自信じゃねえか。俺に勝てると思ってんのか?」
ギドは試すように殺気を向けるが、敵の静かな声が返ってくるのみだった。
「貴方と刺し違えることは可能かと」
ギドは一つ息を吐いて頭を掻く。
「妙な真似しねえならこっちも手を出さねえよ。何ならその探し人ってのを教えてもらえりゃ探すぜ」
「いえ。もう見つかりましたのでお気遣いなく」
「つまり、今日街うろついてた俺達4人の中にいるってこったな?」
相手の無言の肯定にギドは続ける。
「とりあえず俺じゃねえわな。俺に会いたい奴なら直接来れる輩ばっかだ。ま、こそこそ会いに来る奴は殺しに来る奴だしな。今のとこオメーさんからは殺気を感じねえ」
「私は本日目にしたものをただご報告するのみです。では失礼」
気配が消え逃げたことを悟る。今のところ害がない以上深追いをする意味はなかった。
先ほどの会話から相手が何者かは王の側近の天才に言えば分かるだろう。
ただ、ゾワリと何かが逆立つような感覚にギドは眉をひそめたのだった。




