王の剣の違和感
時はあっという間に過ぎ去り、日が暮れ始めた。
「あー楽しかった!!!」
「それは良かったですね・・・」
キラキラツヤツヤしているレオナに対し、メルフィはぐったりしていた。その理由は落ち着きのないレオナをメルフィがずっと相手をしていたからだ。それはもう過保護なほど。
「す、すみませんメルフィさん・・・」
「いえ。ディーナさんが謝ることでは・・・」
苦笑するメルフィの手をレオナは両手で包み込みニコリと笑った。
「ありがとう!メルフィ」
メルフィは少し驚いていたが、やがて微笑した。
「どういたしまして」
明らかな疎外感を受けているギドは結構あの二人似合いな気がすんだがなぁ・・・と心の中でぼやいた。
「あ!イル姉にケーキ買って帰ろっと!」
「じゃあ私も陛下に」
「団員の奴らもむさい割りに甘いもん好きだよなー」
「寄りましょうか」
満場一致となりケーキ屋に寄ることになった。
ディーナからケーキ屋が三つあり、それぞれおススメだという話を聞き、それぞれの店に行ってみることにした。
まずイルリカが体型を気にしているということで一軒目は野菜を中心にしたヘルシーなケーキを扱う『オーガニック』に行くことにした。
「凄ーい!!」
ショーケースの中を覗き込んだレオナが子供のように目を輝かせる。
「え!?ゴボウ!?ゴボウのケーキあるよ!」
「店内で騒がないでください!」
メルフィが早速レオナを叱る。お似合いと思っていたギドだったが、母と子の関係に見えなくもない。性別逆だが。
「どれにしようかなー」
うーんと悩むレオナにメルフィが声をかける。
「イルリカさんの好きな野菜とか思いつかないんですか?」
「トマト!畑で出来たトマトを川の水で冷やして食べるのアタシもイル姉もディーナも大好きなの!」
キラキラとしたまなざしが眩しくメルフィはそうですか・・・と目を逸らす。
「ならトマトのケーキを探したらどうです」
「そうだね!」
トマトトマト・・・と唱えながらレオナは探すが、レオナが見ているのとは反対にあるトマトのケーキをメルフィが見つける。
「ありましたよ。トマトのケーキ」
「え!?何処!?」
「ほら。あれ」
「本当だ!ありがとう!メルフィ」
レオナはニコリと笑い、店員にすみませーんと声をかける。その間硬直していたメルフィは段々と赤くなり顔を片手で覆った。
「騒がしい子は苦手だとか言ってないで素直になっちゃえよ~「黙っててください!!」
茶化すギドにメルフィが怒鳴る中、ディーナは首を傾げるという安定さを見せていた。
結局レオナはトマトのケーキとキャロットのケーキとヨーグルトのケーキの三つを買っていた。
店の外に出た時、ギドはピクリと反応し辺りを見回した。
「団長?どうしました?」
「・・・いや。何でもねえ。虫がいた気がしてよ。次は何処行くんだ?」
次はディーナが王にあげたいということで大人向けのケーキを扱う『フェリーチェ』へ訪れる。この店は黒を基調としており、レオナは騒げるような雰囲気ではないことを察した。
ディーナはショーケースを覗き込んだ後、すぐに決め二つ購入していた。
「ディーナ決めるの早いね」
「前に来た時気になってたやつにしたから」
ホクホクとした顔で歩く姉妹の後ろをついていきながらギドはチラリと後方を盗み見た。
「・・・気になることが?」
「ちょっとな。ひとまずは大丈夫そうだから気にすんな」
最後に騎士団の団員用に可愛いお菓子が並ぶ『ハピネス』にやってきた。
「甘い物が好きなヤローが可愛いものも好きなことをよくご存知で」
「うちの父さんがそうだもんねー」
レオナの言葉にディーナはうんうんと頷く。
ギドはファンシーな飾りが沢山乗ったホールのケーキを二つ買った。
用事が終わり、城に帰還したところでギドがあ!と声をあげる。
「俺買い忘れあったわ!ちょっと行ってくるなー」
そう言ってケーキはメルフィに託しかけて行った。
「僕達はケーキを早く届けましょう」
「そうだねー」
メルフィは城の中へと入りながらチラリと一度後ろを振り返ったが、何も言わなかった。




