歌姫へ感謝
少年と別れ、市場を歩いていると果物屋の老婦がにディーナに声をかけてきた。
「ねえあんた・・・。嵐の時避難所にスープを運んでくれた子じゃないかえ?」
「え?あ、はいそうです」
ディーナは以前酷い嵐の時幼馴染みのシンと共に避難所にスープを届けに行ったことがある。そのことを思い出して頷いた。
「おお!あん時の子か!!」
隣の八百屋の男性もひょっこひと顔を出す。
「あん時はあんがとなぁ!」
「い、いえ。私は言われたことをしただけですし・・・」
「嵐の中一生懸命あたしらのために働いてくれたんだ。ありがとうぐらい言わせておくれ」
微笑む老婦人にディーナは照れくさそうに笑った。
「あ!歌の上手なお姉ちゃん!!」
少女の声に振り返れば母親に手を繋がれている女の子がディーナを指差していた。
「あら!本当!」
母親が手を離すと少女はディーナに駆け寄った。
「スープありがとう!おいしかったよ!」
「それは良かった」
ディーナはしゃがんで少女と視線を合わせ、頭を撫でる。
「あの時はお世話になりました」
続いて頭を下げる母親にディーナは立ち上がって両手を振る。
「色んな方にお礼をいただいていますが、私は城の方の指示に従っただけですから」
「貴女は私たちに安心感と癒しをくださった。それは貴女自身が私たちにくれたものです。だから、私たちは貴女に感謝するんです」
母親の言葉にディーナは照れくさくなり、ありがとうございます!と勢いよく頭を下げて照れを誤魔化した。
そんなディーナと街の人達の様子を見ていたレオナが口を開く。
「安心した」
「嬢ちゃんが愛されてることにか?」
ギドの言葉にレオナはうんとうなずく。
「それだけじゃなくて城の人も、街の人も優しいから。こんな環境ならディーナが悲しむことないだろうなって」
「誰もが完璧だったわけじゃねえぜ。な、メルフィ」
話をふられ、メルフィは顔をそらす。
「実はメルフィってな「あーあーあー!!!」
いい笑顔で話始めようとしたギドをメルフィが慌てて止める。聞きたいレオナと話たいギド。そして絶対に聞かせたくないし、言わせたくないメルフィの攻防戦となった。




