歌姫の再会
「うわぁ・・・っ!!」
街に出た途端レオナは子供のようにはしゃぎ始めた。
「やっぱり城下は凄いね!人がいっぱいいる!!」
キョロキョロと挙動不審に思えるほど周りを見回すレオナに目ルフィが答える。
「買い物をしているのはほぼ観光客ですが」
「でも、働いてる人達も活き活きしてる。いい街だねー」
レオナが笑ってメルフィを見ると、メルフィはうなずいた。
「ええ。だから僕はこの街を、国を、守りたいと思いました」
優しく微笑むメルフィにレオナは暫し目を瞬かせた後、うん!と大きくうなずいた。
「次あっち行こー!」
「あ!危ないですから走らないでください!」
走るレオナをメルフィも走って追う。
「姉さん楽しそうです」
ディーナは嬉しそうにそんな二人を眺めているが、ギドはうーん・・・と考え事をしていた。
ラディに嬢ちゃん、マル坊にイルリカちゃん、メルフィにレオナちゃんとなったら・・・ガイアからの反発やべぇんじゃねえかな・・・。
私的にはめでたいが、政治的には問題がありそうだと悩む。
走る二人を追いかけていると、レオナが走りながら後ろを振り返る。
「ディーナ!ケーキがあるよ!ケーキ!」
そんなレオナの前から走ってくる相手を見つけ、ディーナは叫ぶ。
「レオ姉!前!!」
レオナがえ・・・と振り返った時、相手はすでに目の前に来ており、ぶつかると目を閉じた。
だが、不意に腕を引かれ、体ごと持って行かれた。トンと背中に軽くぶつかる感じはあったが、痛みを伴うような衝撃はなかった。
「だから危ないと言ったでしょう!!」
耳元で聞こえる声に少し驚き、視線を向ければ目の前にメルフィの顔があり、お互い驚く。パッとメルフィが離れ、すみません・・・と頬を赤くしながら言う。
「ううん。助けてくれてありがとうー」
対し全く無反応なレオナにギドは嬢ちゃん以上か・・・?とこの先を不安に感じていた。
レオナとぶつかりそうになった人物もとっさにスピードを落としていたため、その場に立ち止まっている。その相手を見てディーナはあっ!と声をあげた。
「リュード君!?」
「あ!お姉ちゃん!」
以前王と城下を散策していた際に出会った少年と再会しディーナは驚く。そして、彼がななめにかけている鞄から見える手紙を見て察した。
「届け屋さんやってるの?」
「うん!オレ足は速いから!街のことは大体分かるし」
「お母さんの代わりに働いてるんだ・・・」
リュードの母は以前事故に逢い、働けない状況に陥っていた。父親のいない家庭であったリュードには収入がなく、母のために店の品を盗むに至った。そんな彼とディーナは出会い王は法を変え、子供でも働けることとした。
「母さんももう元気になったよ。ありがとう!」
「本当!?良かった!!」
笑い合っていた二人だったが、リュードが不意にあ!と声をあげる。
「オレ配達途中だからごめん!」
「ううん。お仕事がんばってね」
「うん!」
リュードは大きく手を振り走って行った。 生き生きとしたその背中は王が法を変えたからこそ得られたものだ。子供の頃得られた物は必ず将来に繋がる。きっと彼もこの先この国の未来を背負う青年に成長することだろう。




