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第6話 林相を読む眼
林相はどうか。樹種の価値は高いか低いか。地勢は材木の運搬に適しているか。雨季の土壌は崩壊しやすいか。渓流の流向は集運に影響を及ぼさないか――。いかなる判断の誤りも、数年間の蓄えをすべて一瞬にして水泡に帰させかねなかった。
そして謝さんは、花蓮港庁でも数少ない、本当の意味で「山の心」を読み解くことのできる人間だった。
謝さんの貯木場は林班の山脚に位置し、平地に隣接していた。そこは材木の集散、造材、検尺、そして取引が行われる重要な拠点だった。広大な土場は約三町歩に及ぶ。高所から見下ろせば、横たわる丸太の山々は、あたかも大地に伏して眠る山の獣のようだった。空気の中には、原木の清々しい香り、泥土の匂い、煙草の煙、牛たちの体臭、そして渓流がもたらす湿り気が満ちていた。毎朝、誰よりも早く起き出すのは、決まって鋸研ぎ師だった。彼は飯場の外にある小さな小屋の下にうずくまり、うつむいて一心不乱に鋸の刃を研いでいた。
キィン――、キィン――、キィン――。
規則正しく、落ち着いた鉄を研ぐ音が、朝霧の中に悠々と響き渡る。やがて、飯場の人々も次々と目を覚ましていった。斧を研ぐ者、麻縄を整える者、入り口にしゃがんで煙草をふかす者、あるいは手ぬぐいを手に渓流へと顔を洗いに行く者の姿があった。




