『ここにタイトルを入力してください』
さて……どうしようか?
「知りませんよ……」
まさか導入でつまづくとは思ってなくて……襲われてる若い女を助けないルートの異世界転生って、最初なにをやればいいんだ?
「……わ、分かりません……異世界転生=若い女を助けるからスタートなのは、周知の事実……それ以外の導入など、点で検討がつきません……!」
くっ……そもそも、ハーレムとタグを付けてる以上、若い女の登場は必須事項。このままお前に一人旅させるわけにはいかんのだ。一体どうすれば……
「……そうだ!女神さまはどうですか?最近は転生させてくれた女神を物語に絡めるのも、流行りのひとつだと聞いたことがあります!」
おぉ!それだ!早速呼んでみよう。女神!女神をここに呼べい!
ぽわん
「スゥゥ……フゥゥ……ん?」
あ……すいません。喫煙中だとは露知らず、変な効果音でワープさせてしまいました……
「あー……いえ、お気になさらないで下さい。もう休憩時間も終わりでしたから」
「事前にアポも取らずに、大変申し訳ありませんでした女神さま」
「いえいえ、本当に大丈夫ですから、そうかしこまらず……それで、なにかご用件でも?」
ええ実は……女神さんにハーレムの一人目になって頂こうかと思いまして……
「なる……ほど?あー、まぁそんなお話も最近はよくあると聞いてはいましたが……少々お待ちいただいてもよろしいですか?上司に確認を取ってみますので」
はい、ご苦労おかけ致します。ほらユウキも。
「お忙しい中、時間を取って頂きありがとうございます!よろしくお願いいたします!」
「なんでこんなビジネスな感じなんでしょうか……?」
いやなんか、タバコ吸いながらスマホ弄ってた女神さんのOL感が凄くてつい……やっぱり大変なんですか?天界の女神って。
「大変な事もありますね……今は昔よりも転生課の業務がドンと増えましたから。あの人も転生こっちの人も転生と重なると、もう誰をどこに送ればいいのやらで、てんやわんやです」
「なるほど……僕みたいに、手違いで殺される人が居るのも、無理からぬ事ですね」
「そうですね、大変申し訳無いことではあるのですが……っと、電話が繋がりましたので、少しお静かにお願いいたしますね」
はい。お口チャックします。
「お疲れ様です。転生一課面接担当の御手洗ですぅ。はい、お世話になっておりますぅ」
「御手洗……なんて読むんですか?」
『みたらい』だって。珍しい名字だね。でも意外とこういう名字の方が、顔と名前覚えて貰えやすいんだよね。
「あの、すいません。もう少しお静かに……」
「申し訳ありません……」
申し訳ありません……
「失礼しました。それであの……あ、もうご存知でしたか。はい……はい……業務に差し支えなければ?はい……かしこまりました。はい、よろしくお願い致します。ありがとうございました、失礼致します。はいぃ……」
どうでしたか?
「はい。面接業務に差し支えない範囲で良ければ、同行可能と言う事でしたので、代わりの者を面接業務に当たらせて、私はこちらでハーレムに業務する運びになりました」
「ハーレムに業務するなんて日本語あるんですね……でも良かったですね作者。これでやっとハーレムタグに胸を張って向き合えますよ!」
そうだな!ありがとうございます御手洗さん!よろしくお願いします!
「よろしくお願いします御手洗さん!」
「はい、よろしくお願い致します……のは良いのですが、その、御手洗さんと呼ばれるのは違和感が……一応女神ですので……」
……みっちーとかが良かったですか?それなら
「御手洗でお願いいたします。20代後半を迎えた女性に、みっちーは重荷が過ぎます」
いやいや、まだいけますよみっちー。お若いんですから。
「セクハラで会社にご報告致しますよ?」
大変申し訳ありませんでした。以後安易な発言は控えます……ん?いや待て。セクハラといえば、御手洗さんのそのうっすい布の服はどうなんですか?それこそセクハラどころか公然わいせつでは?
「これは仕事服ですからしょうがないではありませんか。あなたはメイド喫茶の店員に、メイド服はハレンチだからと説教するのですか?」
ごもっとも……ですがその、やはり旅をするにあたって、その服はいかがなものかと……なぁ?ユウキ。
「そうですね……寒い所に行くこともあるでしょうし、その薄着だと少し心もと無いかと……」
「そうですか。致し方ありませんね。あまり厚着にするとエッチなイラストを書いて貰えないのですが……」
「なに、大丈夫ですよ。そもそもイラスト書かれるほどこの作品人気無いですから」
よし、ユウキのセリフは減らす方向で行こう!作者いじめるとどうなるか思い知らせてやらぁ!
「良いんですか?主人公を喋らせないで、周りのキャラだけでストーリーを成り立たせる群像劇が、あなた程度に書けますか?」
で、できらぁ!
「前に群像劇書いて4話で挫折した癖に?」
しょうがねぇな、今回だけ許してやる。いっぱい喋って良いぞユウキ。
「チョロいな……」
ガシャンガシャン
「あのー。こんな感じでよろしいですか?」
「はい。あの薄着で無ければなん……でも……えぇ……?」
……すいません御手洗さん。なんですかその漆黒で鋼鉄のフルアーマーは。ダー○ソウルの敵かと思いましたよ。
「いえ、どうせなら一番いい装備でも着ようかと思ったのですが。それに、ガチガチのフルアーマーから美少女が出てくるのも、結構流行りでしょう?」
「美少女の自覚あるんですね……まぁ事実ですけど。でも良いんですか?このままだとヒロインって言うより、前衛ガチタンクみたいになりますけど……」
これ絶対後半の方の街に売ってるやつですよね?防御力高いだけじゃなくて、なんか熱とか冷気とかにも強いやつだ。
「そうですねぇ。全属性半減くらいはついてますねぇ」
「うわぁ……絶対チートかグリッチで序盤に最強防具手に入れた人だ。動画サイトでタイトルに『序盤からぶっ壊れ!?』とか付くやつだ」
申し訳ありませんが、その装備だけはご勘弁願いませんか?この先出てくる敵が全員ワンパンされるのは……いやまぁ、それはそれで面白そうですけどね。
「どうされますか?―女神―~ワンパン物語~にタイトル変えられます?」
「や、止めてください……僕が消えてなくなりますから……」
「あら失敬。うーんでしたら……『過剰に露出してる踊り子の服』と『妙に胸だけ出るようになってるピチピチの服』どっちが良いですか?」
……布面積が多いのは?
「ピチピチの方ですね。胸元がボタンでぱっつんぱっつんですが、ギリギリ肌は見えてません」
そっちでお願いしまーす!
「なるほど。好みはこっちですか。了解致しました」
「うわぁ……なんか変に露出してないの選ぶ辺りが、エグい性癖を感じます……」
……俺、普段露出の多いキャラが、冬に着込んでいるイラストとか見るの好きなんだ。
「「わかる」」
シャラララーん!
「はい。これなら露出も防御力も程よいでしょう」
ギチィ……!
「着替える時そんな変身音鳴るんですね……なんか思ったより胸元キツそうですけど、大丈夫ですか?血行とか……ギチギチいってますけど……」
「ご心配なく。胸元の血行と引き換えに人気が出るなら、血管のひとつやふたつ、悪魔にだって捧げましょう」
なんと言う『覚悟』なんだ。おしゃれは根性だと聞いたことはあるが、もはやこれは『覚悟』の領域だ……!
「生まれ持った『武器』は使うべきです。昨今は配慮やらコンプライアンスやらで、なにかと厳しいのは従順承知していますが、『これ』を求めている層は必ず存在します。それに応えるのだって、『配慮』のはずです」
「……な、なんか触れるの怖そうな問題なので、僕は黙っておきますね……」
すげぇや御手洗さん。今の一瞬で敵と味方を同時に作りやがった……
「さぁ行きましょうユウキさん。世間の荒波に比べたら、異世界転生道中なんぞ、さざ波も良いところです。真の敵は世論と時代です!」
「怖い怖い怖い!思想が強すぎて怖い!」
さては御手洗さん。最近のゲームでスカートの中見えない事にキレるタイプだな?
「その例えはよく分かりませんが、胸すら揺れないのは頂けないですね」
「ほぼ一緒の事言ってますけどね、それ……」
行け、ユウキ!御手洗さんの失言をカバーする為に!よくよく考えたら存在自体がコンプライアンスな気がする、ハーレムの為に!
「魔物倒すより難しくないですか?」
「なんでもかんでも規制する、この時代こそが魔物と言えなくも」
「さぁ行きましょう御手洗さん!!!さぁ!!!」
頑張れユウキ。負けるなユウキ。この作品の健全さは、お前にかかっている……




