「試験、開始」
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こんにちは、皆さん。アカシです。
数時間前、僕は魔姫様につれられ、魔王城に到着して魔王子様、魔王様と対面し魔王様の武器『魔王具』をお借りするはずだったのですが、今僕は魔王様に「試験を受けてもらう」と言われ、連れてこられた闘技場らしきところの控え室で情けと言わんばかりの装備を装着。その後、闘技場のステージに立つ。
魔王様ことゴルド様はよく見える観客席からビミョーな着ぐるみを着た状態で観戦者態勢。
当の僕は絶賛脳内フリーズ中です。
すると魔王様とは反対方向の観客席に魔方陣が形成され、その中から魔姫様ことアクアと大臣のモンブランさん、龍人メイドのナターシャさんが出てきた。
「っ!アカシ君!何でそんなところに!?アカシ君!お父様はどこ!?今すぐこんなのやめさせなきゃ」
僕はアクアの声を聞きようやくフリーズが解けた。
「っ!アクア! って、すごく流されてここまできてしまったような。あっ。ちなみに魔王様でしたらさっきから目の前の観客席にいますよ?」
そう聞くとアクアは目の前の観客席を見て、ゴルド様を探す。
「え?どこ?なんか変な着ぐるみきた人しか・・・ミエナケド、え?・・・まさか!?」
アクアが目を丸くし、続けてモンブランさんがため息まじりに言う。
「どうやらそのまさかのようですよ?姫様。ほらここからでもあの人の魔力を感じるでしょ?しばらく会わない内に魔王様はキミョウキテレツな魔物に姿を変えたようです。オイタワシヤ魔王様」
それを聞きアクアはさらに目が点になるほど驚愕していた。いやなんか半分精神が逃避したっぽい。
当のゴルド様の方を向くと、ゴルド様は混乱状態のアクアに向かって大きく手をふっていた。
「あ~ちゃん!あ~ちゃん!パパでちゅよ!久しぶりだなぁ~。扉ごしでしか君の存在を確認できなかったから。もうママに似て可愛くなって・・・パパ嬉しい!」
娘の反応もお構い無しに父親と娘との久々の対面に感激している魔王。
て言うか扉ごしでしか確認できなかったってそれは、
「・・・それはあなたが引きこもりになんてなったからでしょーが!!この大バカお父様がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
地面が揺れるほどの怒声をアクアが放った。
僕もモンブランさんもその声に驚き、硬直していた。
ゴルド様は娘の怒声に一瞬にして
「・・・ひぃぃぃぃぃぃ!あ~ちゃんがパパに向かって大バカって、バカなんて汚い言葉を」
あっという間に前にみたビビり魔王様になった。
アクアの怒声は続く。
「それになんですか!?その恥ずかしい格好は!?お父様がビビりになって生身では対人不可というのはお母様やモンブランさんから聞いて知っていましたが、よりにもよってそんなダサい着ぐるみに、身を包んでいたとは悲しみも呆れも通り越して哀れです!!恥ずかしいです!!!!」
ガーンと言う効果音が魔王様から流れた気がした。いやそんな顔だった。
「そんな・・・あ~ちゃんにはこのカッコいいビータラビットさんの着ぐるみがお気に召さなかったのかい?」
え?カッコいいなの?・・・どこが!?360度どの角度から見てもキモキャラにしかみえない。
てかビータラビットって名前なんだ。ん?ラビット?ウサギ!?どこがウサギ?それともこの世界ではあれがラビットなのか!?
「・・・そんなキモいウサギさんはみたことないし、見たとしても絶滅するまで狩ってさしあげましょうか?」
今度はナターシャさんの言葉に迫力が、怖いです。・・・あっ。よくみたらメイド服に付いてるストラップみたいなのに僕らがよく知る方のウサギが。好きなんだね、ウサギ。
「・・・ナーちゃんが超キレてる!」
「ナターシャが怒るのも当然です。・・・まぁいいです。(お父様のお仕置きはお母様にまかせるとして)それよりお父様。なぜ私の旅のパートナーが大昔使っていた闘技場の舞台たっているのですか?」
あっ、やっとそこまで話が進んだ。この魔王様はツッコミ所が多すぎてなかなか先に進まない。
すると先ほどのビビりオーラとはうってかわりプレッシャーのある黒いオーラが魔王様から感じられた。
「・・・悪いがアクア。この男には今から試練受けてもらう。お前に拒否権はない」
魔王オーラは着ぐるみから滲み出る。
そのあまりのオーラにさっきまで怒声をあげていたアクアも緊張の顔に変わる。
「・・・。試練とは何の試練なんですか?」
「勿論。これからこいつに渡そうと言う我が魔王具のだ。まさかたかが勇者もどきに簡単にはいどうぞと渡すと思っていたわけじゃないだろ?アクア」
黙ったままアクアは首をたてにふる。
確かに大事な魔王の武器をそんなちり紙みたいにどうぞなんて渡せる訳がない。
「だが何もそんな貧相な装備で戦えとは俺も言わん。今からお前の頭の中に魔王具のNo.1から10までのデータを送る。その中から適切なものを呼び出せ。もし魔王具に選ばれたのなら応じてくれる、選ばれてなかったら・・・おっとその前に待たせてるお前の対戦相手を紹介しなきゃな?」
あっ、魔王具貸してくれるんですね?良かった。それにもし選ばれなくてもたしかここの魔物兵士達は弱体化してるみたいだし、あんな小人みたいなのならなんとか逃げてやりすごせるでしょ。
そう思っていると僕のいる反対方向の舞台の扉が開く。
「いでよ!我が軍最強のモンスター ゲン!」
「「「なっ!ゲンさん!?」」」
とアクア達が口をそろえて驚愕する。
ゲンさん?そんなすごい魔物なの?
扉が完全に開かれ、中から出てきたのは・・・一つ目に頭には短い一本角、体は緑色、足にはなぜか片方に足枷の僕の膝まで位の小鬼かな?が出てきた。
あっ、やっぱりこんな感じならなんとかなりそうな気が・・・。
「おっと悪いがそう簡単な話じゃないぜ?小僧。ゲン!お前の枷今解き放ってやる!」
と言って魔王様はゲンさんの足枷に魔力を注入し、枷が外れた。
「うっ、うが、ウガァァァァァァァ!」
するとどうでしょう。ゲンさんはみるみるうちに大きくなり一つ目の巨大な鬼に早変わり。ってなんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
「アカシ君!気をつけて!ゲンさんは魔王軍きっての猛者でサイクロプスなの!」
サ、サイクロプス!?たしか前にやってたゲームにそんなモンスターが、確かに見た目が酷似してる!たしか、神話上の怪物ですごい力持ちだったような・・・。
「小僧。さっきの話の続きだが、もし選ばれてなければ・・・死ぬだけだ」
「ガァァァァァァァァ!」
開始の合図もなく、サイクロプスのゲンさんは持っていた斧を僕に向かって降り下ろす!
「ぎゃああぁぁぁぁぁぁぁ!」
はぁはぁはぁ。なんとか回避成功したが第二波が休む間もなく襲いかかる!
ゲンさんの攻撃はなんとかスレスレで回避してるものの、このままじゃ本気で死ぬ!
「お父様!いくらなんでもサイクロプスなんて無茶すぎます!」
「・・・アクア。お前もわかっているだろう?異世界には俺たちが知らない未知な奴らが大勢いる。今こっちに来てる奴だけじゃなくな」
「そ、それはわかっています。これがそのために必要な魔王具の試練だと言うことも。ですがいくらなんでもサイクロプスは無茶です!まだ彼に適性があるかもわからないのに」
「それが問題なんだ。もしあいつに適性がない場合お前はあいつをつれていかずに、誰も連れていかないで一人で無茶なことをするつもりだろ?父親としてそんなこと見過ごせるかさわけがない!いくら俺が引きこもり魔王でもな・・・」
それは・・・とアクアは口ごもるが、ゴルド様はそのまま続けて話す。
「だがこの試練であいつが死ぬようなたまならいっそこのままここで退場した方がいい。安心しろ?俺は魔王であって鬼ではない。あいつがこの闘技場から逃げ出したなら殺さずに終わらせてやる」
なんて会話を観客席で話している二人に気づく暇もなく僕はサイクロプスのゲンさんの猛攻な斧攻撃をかろうじて避け続けていた。
一応セイシロウ達の訓練を僕だって一緒に受けたんだ。そう簡単にはやられないけど、相手は神話レベルのモンスター。対してこっちは支給品の武装で固めた一般人。持久戦になったら勝ち目はない。どうする。
「ガァァッ!」
僕が考える暇もなくゲンさんの攻撃は続く。
むしろスピードがさっきより増している気がする。
なんか秘策は・・・ッ!
「おーおー。闘技場が騒々しいんで来てみれば、くそ勇者がゲンさんとバトってるじゃねぇか!」
突如、魔王子ことコバルトさんが現れた。
「お?コバルト。お前も来たのか?」
ゴルド様は嬉しそうに息子に話しかける。
「部屋から一切出てこないレアモンスターの変態着ぐるみ魔王がこんなところにいるのも驚いたな。話しかけないでください」
ガーンっと再び効果音が聞こえた気がした。
「息子にあんな目されたら俺、生きていけない」
「お兄様、お願いします。アカシ君このままでは死んでしまいます!助けて」
「・・・あいつの中には親父が渡した魔王具が何個もあるんだろ?おいっ!アホ勇者!」
はぁはぁはぁ・・・ん?
僕はコバルトさんの方を向く。
ゲンさんは律儀に待ってくれた。
「お前がどうなろうと俺はかなりどうでもいいが、魔王具を一切使おうともせず、勇者死亡あまりにもつまらん。さっさっと呼び出してもし呼べなかったら降参すればいい。そうすりゃあ、お前の死で妹は泣かずにすむ」
あっ!そういえばそうだった。さっきまでフリーズしてたからほぼ無意識に借りてた。
よしたしか、ゴルド様の話だと相手を見て、集中し、頭のなかに浮かんだ名前を呼べばいいだったな。集中、集中。
「ふん。試合を止めてすまないな。ゲンさん。続けてくれ」
ゲンさんはウガッ!と首を立てにふる。
「ウガァァァァァァァ!」
集中、集中、集中。
・・・な、なにも浮かばない。
ん?うわっ!僕はかろうじて避けたがさっきより遅すぎたため衝撃のダメージをもらった。
「アカシ君!!」
「集中はしていたようだが魔王具がそれに応えなかったか。所詮勇者になれなかった男だと言うことか」
「・・・」
アクアは心配そうに、コバルトさんは半諦めモードに、ゴルド様は何かを思って黙ってみていた。
それにしても痛い。そんな少しのダメージでも今まで平和な世界を生きてきた僕に恐怖を与えるには十分だった。
これが戦い・・・今もセイシロウ達も敵との命をかけた戦い。
クソッ。足が笑ってるって本当にそんな感じなんだな。足どころか全身でビビってるけど。
うまく立てない。あ、ヤバい!
「ウガガァァァァァァ」
ゲンさんの二回目の攻撃。
今度はまともに食らった。
支給された装備のお陰で死なずにすんだがかなり吹っ飛ばされ壁にぶつかる。
さっきの比較にならないくらいすごく痛い。
今度は震えじゃなくてダメージで全く立てない。怖くて声も出ない。
ゲンさんはほぼ瀕死状態の僕の元へゆっくりと近づく。
「アカシ君!降参して!魔王具は手に入らなくても命は助かるわ!」
アクアの声が聞こえる。こうさん?あぁ、降参か。でも無理だ。さっき言った通り声が出ない。
薄れ行く意識のなか首をアクアの声のする方に向ける。
それよりなんかごめん。僕、勇者にも君を守るボディーガードもまともにできないや。
ていうかセイシロウの勝手な人選で決められたこの旅。
よく思い出したらあいつはいつもそうだった。
この世界に来たときもあいつの勝手でみんなを勇者パーティーに引き込み、今回も勝手に僕を付き人に選んで、はい、決定。みたいな。
・・・あれ?じゃあなんで断らなかったんだ僕は。
いくらセイシロウでも決定権は僕にあった。
あいつが決めたことでも断るのは簡単だ。
そう。これは僕自身が決めたこと。セイシロウのせいにするな。
でもじゃあなんでここにいる
かっこつけたかった?・・・違う。
ヒーローになりたかった?・・・ちょっと違う?
あいつが言ったから・・・絶対に違う!
ゆっくりと歩いてきたゲンさんは止めをさすべく斧を振り上げる
「アカシ君!何をしてるの!?早く降参して!」
私、アクアは彼に向かって叫んだ。お願い!早く降参して!でないと殺される!
「・・・どうやら痛みで声がでないらしい。仕方ない親父。ここはこちらで試合終了して・・・親父?」
兄の声に何かあるのかと私も父の方を向く。
するとそこにいた父はビビりの魔王でもさっき黒いオーラをまとった魔王でもない。
「よく見てろ。二人とも。今から誕生するのはこの世界を守るため我々と戦う勇者でも、町で働く村人Aでもない」
まるで待ちに待った物がようやく来た!と喜ぶ期待に膨れ上がった顔だった。
「オガガガァァァァァァァァァ(止めだァァァァァァァァァ)!!」
なんてしている間にゲンさんの攻撃が彼に向かって振り下ろされる。
「アカシ君!!」
ガキーーーーーン
っと何かが斧を制止させた。
「あー、そうか。色々振り回されてたと、身勝手なあいつに嫌々やらされてるんだと被害妄想してたんだ。僕は・・・」
斧の先で誰かの声がした。
私はふと以前あった彼、勇者パーティーのリーダー 聖剣のセイシロウの言葉を思い出す。
「あいつは俺が認めたこの五人の中でもっとも信頼に足るやつだ。あいつは嫌々といいながら完璧に俺の期待に応えてくれる!姫さんもあいつを信じてやっくれ?いや否応なしにもそうなるだろうけどな?」
彼はそんなことをいっていた。
「だけど僕の決定権は僕にしかない!あいつがなんと言おうと僕は・・・いや俺は、俺だよね?セイシロウ!」
魔王軍最高クラスのサイクロプスがだんだんと後ろに押されていた。
「うっ?うが?(え?ウソッ?)」
「嘘じゃないですよ?ゲンさん!ハァッ!」
今度は完全にアカシ君が押しきった。
「ウガァァァァァァァ!(なにぃぃぃぃぃぃ!)」
「ふう。って俺さっき超走馬灯見てた。あーヤバいヤバい!」
ドゴーン
っと巨体のゲンさんが完全に倒れた。
「アカシ君!」
「ん?アクアー!俺、今度こそはっきり言う!」
アカシ君はいつのまにか出現していた右手にある剣の先を天に差す。
「俺は君と一緒にこんな戦を止めてこの世界をいや!すべての異世界を守る!そう。俺はすべての異世界の勇者になる!」
天に差した剣の先を今度はゲンさんに、向ける
「そのためにちょっとばかり力を貸してよ?魔王具No.7『掟破りの勝利の剣』!!」
いかがでしたでしょうか?
これからも皆様、生暖かい眼で見守っていてください。orz(涙)




