「異世界、旅立ちます」
かつて、こことは別の世界で光と魔の争いが行われていた。
魔の軍勢は光の軍勢よりも、多く強い。光の国は劣勢をしいられていた。
当時のその世界の王「剣と兵器の神 メーデン」は七人の騎士にそれぞれ剣を造り、託した。
それぞれの剣には凄まじき力が宿っており光の国は魔の国に勝利する。その勝利をもたらした剣は「エクスカリバー」と呼ばれ、国のたからとなった。
この世界には束の間の平和が訪れていた。
しかしそれは長く続かなかった。
エクスカリバーを持った一人の騎士が野心を持ち、王のメーデンだけでなく家族、軍、国の住民すべてを襲った。
その騎士の剣は日に日に刀身が紅く染まり、持ち主と共に闇に染まっていった。
闇に染まったエクスカリバーは母国を滅ぼし、やがては世界そのもの滅ぼすほどの力を持ってしまった。だが騎士の体はその力に耐えられなかった。彼はやがて闇に朽ちていき、残った六人の騎士により彼は討伐された。だが魔剣と化したエクスカリバーはいくら叩きおろうとも、熱で溶かそうとも全く効果なく、厳重に封印された。
それ以降、その剣は別名「規格外の聖剣」と呼ばれいつしか姿を消していた。
今その剣は「掟破りの勝利の剣」と名を変えられ、別世界の魔王の武器の一つになっていた。
「それがあの剣だ。あいつは俺の魔王具の中でもトップクラスの武器だ。あの小僧いきなりあれを呼び出せるとは・・・」
「アカシ君。やっぱり使えたんだ。魔王具を」
・・・力がみなぎてくる。
この剣を握っていると、感情が高ぶって口調まで変わってく。
魔王具No.7『掟破りの勝利の剣』
この剣なら目の前のサイクロプスも倒せる。
俺は再び剣を構える。
「行くぜ!ゲンさん!」
「ウ、ウガ!ウガガガー(お、おう!かかってかイヤー)」
俺はゲンさんに向かって走る。
ゲンさんも迎え撃つ構えで応戦。
剣と斧とのぶつかり合いで火花が、飛び散る。
この剣のお陰か全く力負けしていない。
「ウガッ!ウガガー!」
「小僧じゃない!俺は灯だ!覚えてもらうよ!ゲンさん」
俺はハザードカリバーを振り上げ頭に浮かんだ言葉を叫ぶ。
「くらえ!ハザード!スラッシャァァァァァァァァ!」
刀身から黒いオーラが飛び出た。
オーラはそのままゲンさんに向かっていった。
「うがが。うががが(見事だ。アカシくん)」
ドゴーンとオーラはゲンさんより左に流れ、そのまま壁に激突し爆発した。
その様子を見てゲンさんは両手を上げ言う。
「うがががー。うがが、ウガー(降参だ。魔王様、これにて試験終了です)」
「おう!ご苦労だったな!ゲン。これにて試験終了!」
俺はその合図をきき武器を納めた。
ハザードカリバーは自然に消え、どこかに消えた。
「ふう。ありがとうございました。ゲンさん」
僕はあ、口調戻った。・・・僕はゲンさんに向かって一礼をし、ゴルド様の方を向く。
「これでいかがですか?魔王様?」
ゴルド様は少し考えてから口を開く。
「俺としてはヒジョーに残念だが・・・合格だ。勇者アカシ君?」
・・・いよっしゃ!合格もらえた!これで僕も本当の勇者になれる!
「ありがとうございました!」
と礼言った後、僕はアクアをさがす、けどあれ?いない?
ドンと後ろから何かが抱きついてきた。
「おめでとう!アカシ君!」
アクアがここまでおりてきてとびついてきていた。
「ありがとう。アクア。さっき言った通り。僕は君と一緒にすべての世界を救ってみせる」
「・・・うん。一緒にがんばろ」
・・・一瞬だったけど見逃さなかった。
僕の宣言の後の彼女の顔に若干暗く変わったのを、しかし。
「こらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!アカシてめぇ!なに父親の目の前で娘に抱きついてやがるんだ!ゴラァ!」
「今からでも俺が試験をやり直してやる。100%八つ裂きにするがな!!」
魔王パパと魔王子お兄ちゃんがメッチャクチャ怖い顔で僕を睨んでいた。
「すいませんでしたー!」
と僕は逃げるようにアクアと一緒に闘技場をでる。
僕達二人は闘技場を出たあと、すぐに城まで送ってくれる馬車が迎えに来てくれた。
「・・・」
アクアは闘技場を出てからしばらく何か暗い表情で口を閉じていた。
「・・・アクア」
その空気に耐えられなくなった僕の方から口を開く。
アクアは顔をあげる。
「はい」
「僕に何か隠してることある?なんかさっきの戦いからずっと暗い顔だから」
その言葉を聞き彼女は再び暗い表情になる。
「・・・アカシ君。私はあなたに謝らなきゃ活けないことがあるの」
「・・・?」
彼女がこの旅の本当の目的をはなす。
「・・・実は私にはもう一人姉がいるんです」
「お姉さんが?でもここに来てから一度もあってないですよね?・・・まさかナターシャさん?」
彼女は首を横にふる。
「いえ、彼女はメイドですよ。姉と言っても腹違いのなんですけどね?私は父が勇者に敗北して地球界に傷心旅行した時に知り合った愛人の子なんですよ。あっ!だからっと言ってこの世界の母と私の母が仲が悪いということもなく、むしろ心の広い兄たちの母は私達を受け入れてくれて仲良く暮らしていました。今も二人は地球界で一緒に暮らしてます」
「なるほどね。・・・ん?地球界の母親ってことは君は」
彼女は首を縦にふる。
「はい。私は魔人と人間のハーフです。でもこの魔王国内ではあまり珍しいものではないんですよ?まぁ魔王の家系としては珍しいことでしたが」
なるほど。色々合点いった気がする。
魔王の娘であるはずの彼女は兄とは違い魔王具を完全に所持できないとモンブランさんやみんなが言っていた。もし持てるなら何も本来敵であるはずの勇者に助けを求める必要性はない。
でも彼女には旅をするもうひとつの理由がある。お姉さんの話をしたからそれが関係してるのか。
「人間である母は一旦避難ため地球界に帰還されて地球界の母を心配してアースドランの母が付き添ってくれたのです」
「ほー。本当に優しい人なんだね?だから魔王があんなになっても離婚しないと・・・」
「えぇ。逆に私の母が厳しく摂関していますけどね。だから今回のことも母に報告してお仕置きをお願いするつもりです」
彼女の顔は笑顔だったけど、どこか恐怖感じる笑顔だった。
「あはは。僕は気にしてないからお手柔らかに・・・それで?そのお姉さんの話だったよね?そのお姉さんになんかあったの?」
「・・・姉は家族の中でも戦闘力が強く、なんというか戦人のようやかたでした。そんな姉が今のこの謎の戦力に侵略されることに怒り、単身で異世界に行ってしまったんです」
「一人で!?どんな勢力かまだわからないのに・・・」
「幸い、姉様は魔王具を1つ使えることができたので、それを装備して行ったんですが・・・」
それから音沙汰なしと・・・。
しかも装備は魔王具1つだけ。
いくらなんでも無茶だ。
「私はお姉様が心配で今回の旅を考えました。本当は私も一人で乗り込むつもりだったんです。もちろんみんなに反対されて」
「そりゃそうだ。最強の武器を持った娘一人でも危ないなのにさらに今度は魔王具を持たない二人目。止めない方がおかしい」
「えぇ。でも無理を通そうとした私にモンブランさんが提案してくれたんです」
「ではこうしましょう?アクア様にボディーガードをつけます。ですが残念ながら今なおに奴らの危機が去らない状況では魔王様方の一人でも欠く訳にはまいりません。ですので、魔王様と同等もしくはそれ以上の存在・・・勇者達に助力を頼むのです」
・・・なるほどモンブランさんの案だったのか。
その後、アクアはセイシロウ達に単身で会いに行き、奴らのことを話した。多分お姉さんのことも話してないんだろうな。アイツならなんとなく気づいてたんだろうけど・・・。
それでセイシロウはセイシロウ達で王国を守らなきゃいけない。
それで残った異世界人である僕を選んだと。
「・・・魔王具については?まさか勇者達に頼むのに魔王具が最初から関わってるわけないよね?」
「あ、はい。その・・・セイシロウさんが」
・・・またあいつか!きっと魔王具のこと聞いて「あっ。アイツならそれ使えるかも」なんてことを勘で決めつけて僕を勧めたんだな。あいつのこういう勘は怖いぐらい当たるからな。
実際使えたし・・・。
「・・・だからアカシ君がすべての異世界を救うって言った時、自分の目的はただ家族を助けたいだけでその・・・あなたの言う異世界を救いたいっていうほどの大きい作戦なんて考えてなくて・・・」
「・・・」
あれ?なんか僕、もしかしてすべった?
あっ。ヤバいなんか恥ずかしい!
高校生にもなって中二全開のあの言葉が今更恥ずかしいです!見ないで!
僕は自分の顔を両手で隠した。
「・・・自分の目的がただ自分のためだけなのがなんか情けなくて」
「え?」
「君みたいに誰かのために、それも世界のためになんかしようとしてる君がなんか眩しかった。私もそれくらい言える人になりたい」
「い、いや!僕はほら魔王様の魔王具があったからこそだし、それにえっと、けっこうやけくそであんなこと言ってたし」
あっ。余計恥ずかしくなってきた。
「ふふ。それでも別の世界のために何かしたいなんてきっとできやしないって思っちゃう」
「・・・」
「私も君みたいに異世界のために何かできるのかな?それどころかお姉様も、助け出せるのかな?」
彼女の顔は不安に彩った暗い顔になっていた。そんな彼女に僕から言えるのは。
「・・・それは僕にもわからない」
僕の正直な言葉。
「だって僕自身もそんな大それたこと不安だらけでホントにできるのかなって半信半疑。でも僕はその野望を叶えたい」
「野望?」
「そっ。これは願いでも確定事項でもない。僕の野望なんだ。すべての異世界を救って、それで残り物勇者じゃなく本当の勇者になる。ていうかそもそも僕だって異世界を救うて言うのは、実はついでにみたいなかんじなんだよね?・・・アクア、君は確かに自分のお姉さんを救うために異世界へいこうとしてる。だったらさ。そのついで僕と一緒に世界を救っちゃおうよ?」
「・・・」
彼女はそれを聞き唖然とした顔になった。
やっぱり呆れられちゃったかな?
「ぷっ、あはははは!なにそれ?あはははは。そんな勇者初めて聞いたよ。勇者になるついでに世界を救う?あはははは!」
おぉ。今までの彼女とは思えないくらいの爆笑。そこまで呆れられちゃったかな?
「はぁー。こんなに笑ったの久しぶり。ふぅ」
彼女は笑い終えて息を整える。
「あなたがふざけた勇者だってことは今のではっきりわかりました」
グサッ!あ、呆れられた通り越して失望された!?
「・・・だったら私は・・・アカシ君!」
「っ!はいっ!」
いきなり張り上げた声に驚き馬車の椅子で姿勢を立て直す。
「私はお姉様を助けるために、あなたと同じふざけた姫になります!お姉様助けてついでに異世界も救ってさしあげます」
なんか吹っ切れたいい笑顔、というよりはいたずらっ子のような可愛い顔で彼女はそういいはなった。僕はニカッと笑い言う。
「上等です!アクア姫!あなたは魔王の娘なんですから世界を救うなんてついででいいんですよ!」
「勇者のあなたはついでじゃダメな気がするんだけどアカシ君」
ナイス正論。
またもや、心臓にグサッ!っとダメージを受け、二人は思わず馬車内で笑っていた。
そして翌日、昨日は勇者歓迎会と旅立ちの前祝いと言うことでパーティーみたいなのが開かれた。
魔王城で勇者歓迎会って変な感じだったけど
まぁ敵意むき出しのパーティーよりは全然いいけど。
でも違った殺意ものすごく向けられた親バカ魔王様と兄バカ魔王子様に。
あれ以来アクアと距離が縮まり、可愛い娘(妹)である二人にとっては面白くはないだろうね。
そして遂に僕らは本当の旅立ちの日が来た。
しかし僕達二人は魔王様に連れられて一軒の喫茶店らしき店の前に連れてこられた。
旅立ちの準備は魔王様に期限つきで貰った666個の魔王具が保管された書と適度荷物だけ・・・食料や他の物質とかは大丈夫なのかな?
それに何で喫茶店?ここで食料調達かな?でも市場あるし。
「よし。アクア、アカシ。準備はいいか?」
「はい。お父様。大丈夫です」
えぇ!?どういうこと?ここから旅立つの?
「あの~?つかぬことをお伺いしますがこの喫茶店らしき店に何が?」
「実はここが異世界の出入口なの」
「・・・ええ!?ここが!?ただの喫茶店にしか」
「入ってすぐに案内人がいる。そいつに任せれば安全に異世界にいけるはずだ」
はぁー。こんな店にねぇ。
「アクア様。ではこれを」
メイドのナターシャさんがアクアに杖らしきものを渡す。
あれがアクアの魔道具か。
アクアは魔王具が使えない代わりに魔道具という一般魔族の使う武器でその中でも最強クラスのものを使うことができるらしい。
その威力も魔王具ほどではないため、こうやって僕がボディーガードになってるわけですが。
「ありがとう。ナターシャ」
杖を持ちアクアはみんなに向かって言う。
「それじゃ皆。行ってきます」
魔王は娘のその姿を見て父親らしい顔になり言った。
「あぁ、この世界のことは俺たちに任せろ。・・・本来俺が行くべきなんだがな・・・ルビーのこと頼んだぞ」
そして兄であるコバルトさんが僕に話しかける。
「アクアのことたのんだぞ?」
こちらも兄らしい顔立ちだった。
「はい!」
「ただし手を出したりいかがわしいことしたらてめえはぶつ切りの刑だ!」
「・・・はい」
怖かった。
僕達はそれぞれ皆に挨拶をし終えて、改めて喫茶店の扉の前に行く。
ここから僕の本当の勇者の旅が始まる。
この・・・喫茶店から。
「アカシ君。開けるよ?準備はいい?」
「うん」
するとアクアは扉のノブに手をかけ、みんなに見送られながら、扉を開けた。その先には・・・
「♪~ジャンジャカジャカジャカジャーン」
・・・扉を開けたその先には赤い小鬼らしきのがスーツを着て店に流れてる音楽で踊っていた。またこのセリフを言いたくなった。
「なんだ?これ?」
「♪~・・・お?おーおー!もう着いてたのか?姫さんに勇者氏?いらっしゃいませ。喫茶『ボルコフ』へ」
僕らに気付き、スーツを整え直し、改めて挨拶をする小鬼。
アクアもそれに応えて挨拶をする。
「久しぶりです。コンバット。先日お話した通り異世界への転移をお願いしにきました」
それを聞き小鬼ことコンバットさんは歯を見せるように笑う。
「おうよ。承ってるぜ?おーい。ロゼ」
コンバットさんに呼ばれて店の奥からウェイトレス姿の女性が姿を見せた。
「はい。マスターコンバット」
色白というより色素がない感じの女性で口調もどこか機械的な感じの人だ。
「この子らを異世界に連れていくから準備するぜ?」
「はい。かしこまりました。座標はいかがなさいますか?」
コンバットさんはしばし考えすぐに答えた。
「この子らの目的は捜査だ。ランダムでかまわねぇ。そうだな~、強いて言えばより怪しい所とかか?」
「再認識しました。とりあえずランダムにてパラレルジャンプを開始します」
そう言ってロゼさんは再び店の奥へと消えた。
「ジャンプにはしばらくかかるから、うちのコーヒーでも飲んでくつろいでくれ。おすすめはホワイトブレス・マウンテンと手製日替わりケーキだ」
・・・こんな簡単に行けるの?え?パラレルジャンプ?ファンタジーよりもなんかSFみたくなったような。
「じゃぁお願いします。ついでにここでの異世界での注意点を別異世界初心者の彼に教えていただけますか?」
「おう。そうだな。時間もたっぷりあるし」
コンバットさんはコーヒーサイフォンでコーヒーを作りながらここでの異世界の注意事項を話してくれた。
「まず大事なのは、異世界での必要以上の干渉だ。異世界のその世界の住人をむやみ殺生、暴行は禁止する。まぁ襲われたりしたらその時はやり返せ。ただし殺さず取り押さえることを主にしとけ。あとは異世界でのアイテム、宝等は持ち込むことを避けること。これは昔あるバカが他世界で宝を盗みまくったせいなんだがな?」
それを聞いたアクアはなぜか顔を背けていた。あっ。そういえばこの間使ったハザードカリバーって異世界の武器だったって聞いたな。まさかそのバカって魔王?
「あとまず異世界は本来他世界の住人を嫌うし、まず異世界というのはおとぎ話、ヨタバナシと思うもの少なくない。だから自分達が異世界の住人であることはできるだけ話すな。以上が自分も異世界も大事なら守った方がいい注意事項だ」
「わかりました。気を付けます」
ちょうど目の前にコーヒーができていて一緒にケーキも出されていた。
僕達はコーヒーとケーキを食べながらしばらく異世界のはなしを色々聞いていた。
それから一時間位たって再びロゼさんが奥から戻ってきた。
「マスターコンバット。パラレルジャンプ無事終わりました」
「おう。ご苦労様、場所は?」
ロゼさんは手に持っていた書類を読み言う。
「はい。到着世界は座標No.24『妖精と植物の国』です」
「おお?フェアリーノースか。あそこのハニータルト最高だったな・・・ついてきな二人とも」
コンバットさんはカウンターから出て扉に近づいた。僕らもあとに続く
「そんじゃ、ここから先はアースドランとも地球界とも違う別世界。まぁ先ず楽しめ。ここのやつら人懐っこいからな。では」
コンバットさんは扉を開け言う。
「妖精と植物の国へ行ってらっしゃいませ」
扉が開かれ僕らは進む。




