地球界 鋼編「僕たち、壊し屋ですか?」
「灯さん。現場は新宿駅周辺。鉄鋼虫の種類は蟻型、蟷螂型、蜻蛉型の三種が三体ずつの合計九体の鉄鋼虫が確認されておりますわ」
と走る車の中でユリアが出現現場の状況説明をしてくれる。
「ちなみに灯兄ちゃんと一緒にこの間倒したのが蟻型。蟷螂型と蜻蛉型は初だよね?」とメグが聞く。
「うん。まぁかなり怖そうなのは予想できるかな?」
僕はそう答える。
「・・・・・・」
ミクルが何か思い悩む顔をしていた。
「どうした?ミクル」
とメグも気付き聞く。
「・・・この二体が同時に現れるのって初めてだよね?メグちゃん」
「あぁ。この間の奴等といい最近奴等の動きがおかしくなってきてる」
この間の戦いの時もかなり驚いていたけど、なるほど。今回のこともかなり異常なんだ。
「ねぇ?いつ頃からこんなになったの?」
「うーん。奴等は昔から私らに迷惑かけるやつだから何時も無いけど・・・」
「2年前からですわ」
ッ!2年前!?
「あれ?そうだっけ?」
「灯さんが聞いてるのは最近の鉄鋼虫の異常な行動でしょ?それなら2年前からのことですわ。ワタクシの国、イギリスが奴等の手によって乗っ取られたのがその時からですので」
「イギリスが乗っ取られた!?」
「はい。他にもオーストリアやインドなんかでも被害にあっています。ここ日本も沖縄などで大量の鉄鋼虫が確認されています」
「そんなに・・・」
ミカエルさんも鉄鋼虫にやられたわけだし、かなり厄介なやつだな鉄鋼虫。
なんてこと考えていると、乗っていた車が停まった。
「・・・着きましたわ。灯さん・・・ッ!?」
車は着くなり、吹っ飛んだ。
「ちょっ!いきなり!?」
「メグちゃん!」
「奥義!地竜掌!」
メグは扉を技で吹き飛ばす。
「灯兄ちゃん!捕まって!」
僕の腰に腕をまわし、脱出する。
表には鉄製のカマキリが鎌を構えていた。
「ありがとう。メグ」
「お兄さん。指事を」
ミクルはいつもより真面目な顔で言う。
周りでは鉄鋼虫に襲われ、ビルや店が瓦礫と化していて、襲われた被害者達が逃げ回っていたり、冷たい死体となっている人も大勢いた。
「・・・皆、行くよ!」
「「「「はい!」」」」
「奥義!鉄竜掌!」
メグが鉄鋼虫(蟻型)に自身の技を叩き込む。
「モードファイヤー」
『fire!』
ロゼは片手を火炎放射機に変えて 火を放つ。
「アームストロング砲!連射!」
大砲を呼び出し、鉄鋼虫に向け数弾を打つ。
鉄鋼虫も負けじと、抵抗し蟻型の鉄鋼虫は小型化した。
あんなこともできるのか!?
「甘いですわ!レインアロー!」
一人、遠くから矢で援護するユリアは上空に矢をは放つ。
矢は上空で複数本となり、小蟻型に降り注ぐ。
すごい。皆ホントにすごい。
「っと僕も何かしなきゃね!」
とりあえずドラグマ・ナクルガとハザードカリバーはまだ使えない。ミカエルさんからもらった腕輪も使える回数は限られてる。だったら
「なんとかして新たな魔王具を呼び出すしかないよね!」
僕はイメージする。新たな魔王具を。
「よし!こいつだ!」
「我が求に応えよ!絶対氷結の深淵なるものよ!来い!『終焉の氷河』」
僕の腕には一本の小さな剣が出現した。
これがミッドナイト・コキュートス。名前のわりに地味・・・えっ!?
腕が凍った?!持ってるだけで手が凍死しかけてる!
「・・・っ!こりゃぁ長くは使えないな」
僕はミッドナイト・コキュートスを振り上げ、技名を言いながら、鉄鋼虫に向ける。
「いけっ!アイスエンド!」
振り下ろした瞬間、一方向は一瞬で凍りついた。
僕の体自体も。
「ッ!モードヒーター!」
『heat!』
ロゼの腕は巨大なドライヤーのようになり、そこから熱い風が僕に吹き抜ける。
僕の体の氷は溶けていく。
「はぁはぁ。ありがとう。ロゼ」
「いきなり死にかけないでください!びっくりした」
「ごめんなさい。でもこの魔王具もかなりの強さだけど使えないな。使った瞬間死ぬなんて」
「魔王具はすべて最強の力を誇るものの全てリスクはその強さに伴ったものなっています。たしかミッドナイト・コキュートスはかつて地獄の王が使ったとされる最強殺戮兵器だったかと、ただし失敗作と聞いていましたが、なるほど使ったらその使用者も・・・」
ロゼは顎に手をやり、しばらく考えていたが、すぐ周りを見て僕に言う。
「ですが、確かに威力は最強と呼べますね。鉄鋼虫があっという間に」
「兄ちゃんすげぇ!蟷螂型もあっというまだよ!」
「まさかあのようなとんでもが存在するなんて・・・」
「お兄さん。お疲れ様です」
「みんなもご苦労様。さて、もう一仕事しますか」
僕は瓦礫の山に向かい、魔王具を呼び出す。
「こいつだな。我が求に応えよ!自身の力をもって、解き放て!『気高き岩石』!」
空から巨体な岩が・・・人間のような形になり軽やかに着地した。
『ズッシーン!』
「あっ。えっと・・・それじゃとりあえず瓦礫をどけるの手伝って」
『ズッガーン!』
そう指示されたブルゴーレムはすぐさま瓦礫を集めだし別の安全な場所に移動させる 。
「すごいな、あれ・・・。あたしらもやるか」
「うん」
「えぇ、私は車を手配してきますわ」
「私もいきます。モードバワー」
『power!』
ロゼは腕をパワーハンドにかえ、瓦礫をどかす。
「奥義!風竜脚!」
メグは邪魔な瓦礫を蹴りあげ、道を開け、
「動ける方々はコチラへ着いてきてください。安全な場所まで護衛します」
とミクルが先導する。
『スガガーン!』
「よし!ブルゴーレム!その瓦礫で最後だ。頼んだよ?」
ブルゴーレムは最後の瓦礫をバンチし、粉々に粉砕した。
「ありがとう。ブルゴーレム」
『ズガ』
ブルゴーレムには戻ってもらい、皆のところに向かう。
少し歩いたところにメグの姿を確認した。
「あ。メグ、そっちはど・・・」
「さっすが壊し屋ラビットよね?あなたたちの被害と鉄鋼虫の被害、どっちが多いかしら?」
ん?誰かと話してる?壊し屋?
「うるさいな~。間に合いもしなかった亀さんは口は達者なんだね?」
亀?
「なっ!あ、新しいリーダーができたからってまたいつものように暴れまわったら、すぐ壊れちゃうわよ!?」
「・・・なんだと?」
なんか空気が・・・・・・。
「あの二人とも?」
「ッ!兄ちゃん」
「・・・あなたが新しいリーダーさんですか?」
「えっと、うん。灯っていいます。よろしく」
ケンカの相手は僕を目線を上下に動かし、ジロジロと観察する。
「ふーん。(ふわぁ!結構かっこいい人だよ!明らかにうちのリーダーよりかっこいいよ!メグいいな)」
?そして何やら落ち込み出した。
「ふん!なによ!このへたれ顔!あんたなんかうちのリーダーの足元にも及ばないんだから!・・・あとせいぜい気をつけてね?その子達ね?私らからは別の呼び名があるの?知ってる?」
「・・・壊し屋?」
さっき聞こえたし。
「そう。壊し屋ラビットって言われてるの。ウケるでしょ?鉄鋼虫よりおそれられてるんじゃないかしら?」
「ふーん」
「ふ、ふーんってそれだけですか?」
まっ!ヒーローなんて悪いなかったらただの破壊者だし、色々あるよね。
「まぁ今回僕が一番被害だしたかもだしね?」
と言いながら、周りを見る。
凍ったビルがちらほら。
「あれ、あなたがやったんですか?」
僕は首を縦に振る。
「へ、へぇー。すごいですね?壊し屋ラビットのリーダーとして申し分ない働きではないかしら?では!」
彼女は逃げるように走り去った。
「・・・あいつは私達とは違うチーム。『アイアンタートル』っていうチームの接近戦担当なんだ。名前はハルミ」
「あー。だから亀?」
「そっ!私らが壊し屋って呼ばれてるけどあいつらだってモシカメなんて呼ばれてるんだよ」
もしもし亀よの歌が由来ね。
「でも君達は壊し屋なんてよばれてるみただけど、その分みんなのことも守ってるよね?」
「ま、まあね?」
「んじゃいいんじゃない?壊し屋でも」
「・・・ 」
メグは僕の言葉を黙って聞く。
「そりゃあ被害は少ない方がいいから、これからは僕が君たちにそんな呼び名つけさせないけどね?」
と言うと彼女はあはははっ!と笑い出した。
「そんじゃよろしく頼みますよ?リーダー?私はそう簡単じゃないけどね」
「うん。これからもよろしく!メグ」
僕は右手を前に出す。
「こちらこそよろしく。灯兄ちゃん?」
「そう。やっぱりそうなんですね?兄様」
あれからコンバットさんの店まで戻り、店内の電話借りて私、アクアは元の世界アースドランにいる兄様に連絡をとった。
『あぁ、私も今驚いている。まさかやつらがそんな作戦にでるなんてな?どうやら頭脳面でも奴らは中々らしい』
「早くアカシ君に知らせなきゃ」
「アクアさん!急がなきゃ!」
『まぁ待て。二人とも今奴に連絡を取った。奴もすぐそちらに向かうそうだ。そいつと合流しろ』
「でも、アカシ君は」
『あいつなら何とかするさ?あいつだって勇者なんだ。忘れるなよ?』
でも、こんな重大なことどうにかしなきゃ。じっとしてるなんて。
『・・・もしあいつに何かあって、今からお前が行ったら共倒れになるのが落ちだ。作戦ちゃんと練って、そこから行ってもたぶん余裕なはずだ』
確かに私が今いったところで使えるのは幻影魔法のみ。役立たずなだけ。
「・・・」
「アクアさん」
『辛いかもだが、まっ勇者と親父の魔王具を信じろ?』
「・・・わかりました」
本当にそれでいいのかな?
・・・アカシ君、今なにしてるのかな?
「こ、これが料理?」
僕ことアカシとラビットチームの皆、ロゼは後始末を終え、本部近くまで戻りその近くの彼女達の居住マンションに向かった。
そして部屋に招かれ、彼女達が普段食べてるものをご馳走してくれるとのことで僕はテーブルにつき、料理が来るのを待った。
そして来たものは、見た目ドッグフードみたいだった。
「栄養価を考え、かつエネルギーを簡単に補充できる食べ物『クランケン』ですわ」
「味は最悪だけどね」
「・・・うぇ」
渋々口に運ぶメグとミクル。
その逆にもりもり食べるユリア。
僕もスプーンで一すくいし、口に運ぶ。
「・・・」
僕は硬直した。
「いかがですか?中々のお味でしょう?」
「兄ちゃん。言っとくけどユリアの舌は鉄鋼虫みたいに鈍感だよ?」
「な、なんですって!」
「私は遠慮しときます」
とロゼは敵前逃亡する。
「はぁ。たまには普通の食事がしたいよ」
「私は子供の頃からこれだから慣れっこだけどミクルは途中からだったからな」
「うん」
「私も途中からでしたけど?」
「だからお前は味覚が病んでの!」
ユリアはガーンと言った表情になる。
すると僕はガタッと立ち上がる。
「キッチン借りるよ?」
「は、はい」
僕はそのままキッチンに向かい、冷蔵庫を開ける。
「・・・なんにもない」
・・・・棚には・・・あっ、小麦粉発見。あといくつか調味料とさっき食べたクラン犬の袋だった。
「アカシ君。買い出しに行ってきますか?」
とロゼが後から着いてきて言う。
「それがいいかな。卵も米すらないんじゃね?おねがい」
「何か作れるの!?」
「う、うん。ここに来る前にレストランで働いてたからね?」
「んじゃハンバーグは!?作れるの?」
怒鳴りにも似た声でメグは立ち上がる。
目がキラキラしてる?
「ハンバーグ?うん。作れるよ?でも少し時間かかるかもよ?」
「待つよ!ハンバーグ食べるの初めてだから」
初めて・・・ずっとこんなものたべてたのか?
「兄ちゃん?」
「ううん。なんでもないよ。よしっ!わかった!皆は二人は何かご注文はありますか?」
僕は二人に聞く。
「私もハンバーグがいいです」とミクル
「・・・」ユリアは無言だった。
「?ユリアは?」
「あ、いえ、ごめんなさい。ワタクシはこれがいいですわ」
と皿に盛られたクランケンを手にする。
「え?でも」
「ごめんなさい。ワタクシ、自室で食事をとりますの。皆さんはごゆっくりどうぞ」
とスタスタと部屋に入ってしまった。
・・・あれ?僕、嫌われた?なぜ?
「なんだ?ユリアのやつ」
「ハンバーグ・・・か。ママ・・・ミカエル様・・・」




