熊さんが目覚めた
《1》
下級層地区を根城にライは生きていた。 そのことに何ら不満はなかった。 ライが我慢ならないのは誰かに使われることだった。 5年前から汚い下級層地区に1人きりで住み着いたのは、ライ自身の意志によるものだった。
(もう誰かに都合よく使い潰されるのは、真っ平ごめんだ。おいらみたいな奴は上手く悪党の皮を被ってねーとな。ホントあの頃のおいらは、吐き気がするほどバカだった。でもまあ裏稼業の連中と手を切れないけどな。)
その日、一仕事を終えたライは気分よく寝床に向かっていた。寝床と言っても汚いゴミ溜の隙間にある誰かが整えて使っていただろう崩れそうな瓦礫の裏手だが。 定宿する場所は持たないライだったが、珍しく人の気配を全く感じないそこは疲れを取るのにちょうど良かった。
酒瓶を片手に1人気分よく道なき道を歩いていると寝床への道を塞ぐように小綺麗な出で立ちをした小さな子供がしゃがみ込んでいた。
ライは嫌な予感を感じながらも周囲を見回し人の気配を探した。
「おい、ガキ。その先は、おいらの寝床だ。ヤられたくなかったら今すぐ消えろ。」
「なら殺してください。」
萎れた様子だった小さな子供だったが、ライが恫喝すると大きな目をライに向け、透明な水色の瞳はライを捕えた。
「なっ、てめぇ意味が分かって言ってやがるのか。」
「だって仕方な、、、い。殺されない為にここに捨てられて。それで殺されるなら、、、。」
話しながら銀色の髪を小さな手でクシャリと掴み、表情を歪めて幼い子供は声を出して泣き始めた。
「あーっ、クソがっ!!」
ワンワンとしゃがんだ侭、周囲を気にすることなく泣いている子供にライは自分の過ちを自覚した。
先ず、話し掛けたこと。
会話してしまったコト。
そして殺そうした相手の目を見たコト。
そしてその瞳に見惚れてしまったコト。
そしてライにとって珍しく気に入った場所で、人目を引くように大声を立てさせているコト。
ライは慌てて掛け寄り右腕で抱き寄せ、しゃがんで泣いていた子供の口を右の掌で抑え込んだ。
「泣き止め。てめぇの面倒を見てやる。泣き止まないなら直ぐ首を絞めて殺してやる。わかったか?ガキ。」
気絶していたライは、魔が差したアーサーとの出会いをブラウニー医院の診察室のベットの上で、追体験していた。
《2》
酷い空腹感を憶えて私は目覚めた。
「おはよう。」
両目の下に隈を作っているのに爽やかな笑顔を私に向けてローランド先生が朝の挨拶をしてくれた。
何だかローランド先生は、酷く上機嫌だ。
「お、おはようございます。って、此処ってサロンですよね。どうして?」
目を開いた時も思ったけども、確か昨夜は診察室で意識を失った筈。
「ああ、ほら。診察室には、私が拾ったオジサンをセシルが使っていたベットに寝かせて居ただろ? 帰宅したセシルも言っていたが、見知らぬオジサンとジーンと同室にするのは駄目だねって。」
「そ、そうですね。兄さまがお戻りに。えと、何か・・・、」
グキュルルルル、、、。
存在を無視するなと言うように、お腹が大きく鳴った。
「えーと。」
「先ずは、朝食にしようか。」
「お、お願いします。」
私は、赤面した顔を伏せてローランド先生に差し出された手を取り、長椅子から降りた。そして、其の侭手を引かれ、サロンを出て廊下を右に進み始めた。
アレ?
右?
玄関ホールは左のはずで。
そう、この二日間、朝食は玄関ホールに置かれていた簡素な応接セットでいただいていた。
「あの朝食?」
「ああ、奥の食事室で食べるのは身内だけだったんだ。バローズ家を抜けたジーンとセシルは、今日から私の身内だからね。」
「!」
やった。
バローズ家との縁が切れたんだ。良かった。
先日、バローズ子爵家を取り潰さない方向で話が一応纏まったのだけど、正直私は嫌だった。
それは、兄さまも同じだったらしく、二人で話し合った。
私としては女神ルミナスさまとの約束を果たさないといけないし。それが問答無用で呼び出されるモノだって知れたのは昨夜だったけども。女神ルミナスさま、せめて教えて於いて欲しかった。
それに私は100%貴族に向いていない自信がある。
兄さまは大丈夫そうだけど、本人は騎士になる決意が固い。
「貴族令息の騎士は多いよ。」って、ローランド先生は仰って下さって居たけど、「家名などない方がいい」と言い切った兄さまは男前で恰好良かった。
それは兎も角も、〔ジーン〕て、本当に何も学ばず、知らない子だった。
10歳なのに3階の物置小屋で漫然と生きて、偶に母親と会い、兄のセシルの姿だけを目で追っていただけ。
後は、女神ルミナスさまに祈っていた。
こんな少女が、社交第一の貴族社会で順風満帆に暮らしていける訳がない。
どうせモノを知らないのなら、少々失敗してもリカバリーが効きやすい庶民として生きていたかった。それに兄さまのお陰で優しく頼りがいのある庇護者ローランド先生との縁もしっかりと出来ていたし。あんな悲惨な父親の元で、よくぞここまで良き縁を繋いでくれていたとひたすら尊敬の念が。
ミステリアスな方ではありますが。
思ったよりも広い家の中を進み。ローランド先生からエスコートされ食事室に着いた。
趣味の良い調度品や食卓のセットにまた驚かられた。
既に兄さまは座席に着いていたけど、やっぱり驚いた顔をしていた。
兄さまの隣の席へローランド先生に連れられ、トニーさんが引いてくれていた背の高い椅子に私はおずおずと腰を降ろした。
そして主人席にローランド先生が座り、朝食の開始を悪戯っぽい表情と声で告げた。
「セシルも驚いているね。クククっ。」
「は、はい。というかブラウニー医院て、こんなに広かったのですね。」
「広いの基準は分らないけどね。だけどバローズ子爵領の領主館の広さにはとても及ばないけどね。」
「そう言う問題ではなく、、、。」
「ははは。私は亡くなった父上から非常に愛されていてね。」
「あの方は心配性でしたのでね。不憫だとロニーお坊ちゃまのことばかり考えておられました。」
「トニー!皆の前でロニーお坊ちゃま呼び禁止だ!!先生と呼べ!」
「申し訳ございません。ローランド様。」
「ああ、適当に食べながら聞いてくれ。ジーンはお腹が空いて居るのだろう。遠慮しなくていいからね。」
「は、はい。ありがとうございます。」
「此の家は、合計3軒の屋敷を繋いで作られている。色々と事情があってね。そしてセシルは昨夜知ったと思うが、先日会ったヴィは、ヴィンセント・ロイス・ケレス王弟殿下だ。私と母親違いの兄になる。」
「「・・・・!」」
「だが、それだけだ。私とケレス王家とは何もない。庭師の祖父、その娘の母。その未婚の娘から生まれただけの平民の息子ローランド・ブラウニーだ。普通とかなり異なってしまっているのは、超絶過保護な父と過保護な義兄に恵まれたせいでもある。」
「何故そのような話をオレたちに?」
「ま、暫く君たち兄妹と生活を共にすることになったからからかな。 義兄経由で様々な人達がブラウニー医院を訪れるようになれば、疑問に思うような事柄が増えて来るだろう。その時にいちいち口外禁止と口止めして行くのは疲れるだろう? それならば、一番のタブーを告げ、其処に関わる事柄は全て秘密にしてくれと話した方が、君たちも納得しやすいだろう? 機密も多いしね。 特にセシルは鋭いから此方が誤魔化している事には気付いてしまうだろ?それが一番だ。セシルには信頼していて欲しいのだ。此れからもね。(将来的には義兄になる予定だしな。)」
この後、ローランド先生と兄さまとの妙に緊迫した問答が続き、波乱の朝食会は二時間近く続き、ぐったりと疲れ切って席を立ち、食事室を後にした。
ただトニーさんが昨日まで同様、気さくに私へあれやこれやと料理を取ってくれたので、満腹になりました、ゲフっ。
《3》
食後に皆でサロンへ移ろうとしていたのだけど、昨夜連れて来た?オジサンの存在を思い出した私は、診察室へ行こうとしたら、「心配だから」とピタリとローランド先生がくっ付いて来て、その後を追うように兄さまも付いて来た。
トニーさんは「飲み物は診察室へお持ちしましょう。」と言ってサロンの方向から厨房へと方向転換していった。
玄関ホールと同じ位に診察室は寒かったみたい。
シンプルなベットに寝ていたオッサンは、2枚重ねて掛けられていた毛布をグルリと巻き付けて眠っていた。
ボサボサの薄汚れた赤毛は顔を覆う長さで、揉み上げから鼻の下、顎まで赤毛の髭に覆われていた。
陽射しの明かりで見たオッサンは、赤熊、その一言に尽きた。
閉じた睫毛まで赤いし。
あのクソ寒い場所の建物内に居た筈なのにペライ薄手の汚い破けたシャツを着ていた。
ぶっとい首と腕。
兄さまを筆頭に細マッチョ系の男性に目が慣れていた所為で、かなり怖い。
「昨晩は気付きませんでしたが、見た目より若いですね。彼。」
オッサンの顔を覗き込んでいた私を庇うように前へと立って、ローランド先生はポツリと呟いた。
びくびくと瞼が動き、ゆっくりとオッサンの睫毛が上がった。
ぼーっとした表情で天井を見ているオッサンの瞳は、澄み切った綺麗な夕陽色だった。
「綺麗な瞳。」
「「え!?」」
ローランド先生と兄さまが、驚きの声を揃えて発した。
ん?何かマズいコトでも言ったかしら?
「あの、ここは?どうして?」
あっ!?
そうよ。女神スキルのことは秘匿と言われていたのだった。
でもでも、呆然としている彼に教えないと。
ちょっと、女神ルミナスさま!!
応答して下さい!
こう言う場合、どうすればいいの!
『また困っているのか、そちは。ふむ。セシルは言っても良いかのぉ。うむ、そっちの変態にも言っても良いぞ。但し女神スキルのことだけじゃぞ。セシルを視たことやあそこにいたケレス王族の者についてのことは喋るでないぞ。我が名を話すことも禁ずる。ではな。』
あっ、トリセツ欲しいと言えなかった。
「あ、あの。眩い光に包まれたことしか覚えておらず、すみません。 何かご迷惑をかけてしまったのでしょうか?」
あら、見掛けの割りに腰の低い熊だわ。
「えーと、その光に包まれた場所は何処ですか?」
「それが、、、。実は3ケ月前、ちょいとシノギで、いえ仕事で出掛けていた所で、他の裏稼業の連中に攫われちまいまして、そこで捉えられて薬を盛られた所までは憶えているのですが。」
(あの駄女神やりやがったわね。助けを願った記憶が消えてんじゃ!)
「ああ、別に私たちは、君の仕事に付いて問うつもりはないから、せめて場所の名を教えてくれないか?そうそう、ここは王都のホーステッド通りにあるブラウニー医院だ。私はそこの治療師ローランド・ブラウニーだよ。」
「お、うと、王都!だって!?」
ローランド先生の助け舟に彼はガバリと身体を起こし叫んだ。
「くそっ!やっぱりゴビオン村でのシノギは罠だったのか。畜生っ。そうだ、アーサー、アーサーは何処に。」
「お、落ち着いてください。ローランド先生、ゴビオン村ってロゼット王国にあるんですか?彼が居たのはザクロン帝国の属領地メメシスだったのだけど。(あの駄女神が間違って居なければ。)」
「「「属領地メメシスだって!!!」」」
「ジーン!どういうことだ。」
「なんて危ない事を!」
「あんな場所に売りやがったのか、あいつら!」
「ひっ!」
3人の男性の圧と視線が一斉に突き刺さって来て、私は恐怖の余り身を縮込ませた。
ひぇぇぇ。
兄さまが特に怖い。
3人は圧を増しながら、銘々は怒涛の質問を繰り出してくる。
サラウンド効果抜群だけど、私は、聖徳太子じゃないからね。聴き取れないし、五月蠅い!
「ストップ!ウルサイ!まずは説明させてくださいっ!!」
「「「・・・」」」
「ごめんね。」
「悪かった。」
「申し訳ありません。」
よし、静かになった。
「先ず、熊さん、あなた。」
「熊さん?」
「名前わからなし取り敢えず。先ず熊さんが昨夜、私にメメシスの建物から助けを呼びました。自分の助けって言うよりは、アーサーって人のことみたいでした。それしかわかりません。 それで此のスキルのことですが、実は私も良く判って居ません。 何せ使用したのは、昨夜が初めてなので。 如何やら助けを求める人の元へ強制的に瞬間移動してしまうようです。本当に寒かったです。
で、女神の救済で熊さんは此処へ。他に捕らえられている人が居れば、本人の戻りたい場所へ戻っている筈です。 熊さんの記憶が消えている理由は分りません。 ごめんなさい。」
説明を終えて記憶がなくなった熊さんに謝罪を込めて頭を下げた。心の中では、駄女神がスミマセンと詫びていた。
「「「・・・。」」」
場には奇妙な沈黙が落ちていた。
「ああ、ちょっと私たちも混乱している。君も不安だろうが暫く待って居て欲しい。良いだろうか。」
「いえ、はい。助けて頂いたのにすみませんでした。待ちます。」
「助かるよ。それで、君、名前は?熊で良いならそう呼ぶけどね。」
「、、、ライと申します。名乗りもせずにスミマセン。」
「いいよいいよ、びっくりするよね。あっ、トニー、ライさんを風呂にでも入れて上げて。服も適当に見繕ってくれ。血が付いているから。 さて、ジーン向こうで話そうか。」
「了解シマシタ。」
ニッコリと微笑んで私の肩に手を置いて、診察室のドアへと視線を向けた。
あぁ、行くぞって言ってるんですね。
表情でローランド先生の言いたいことが分かるようになってしまった、レベルアップしたってことかしら。
サロンにて、私たち兄妹は何時ものように長椅子へ。
窓側を背にして主人席の高級感あふれるゆったりとしたソファーに足を組んでローランド先生が座っている。
暖炉に火が入っていて室内は暖かい。 窓の外は生憎の天気で心まで滅入りそう。
そう、室内の空気が重いのは、天気のせいだわ。
「はあぁぁぁ。さて、色々訊ねたいことがあるけれど、先ず1つ。ジーンがスキルを使ったのは昨夜が初めてと言ったね?」
「は、はい。」
「ではセシルとジーンがここに現れたのは?」
うおーん。これは言っても良いのよね。
名前を言うのは禁止って言ったけど、女神サマは良いのよね。大体スキル名が女神スキルだし。
兄さまは黙って私の目を見ているし、怖いですよ?
「砦使われたのは、女神さまが行いました。あっ、これ他言禁止ですって。これでローランド先生とお揃いですね。」
私はコテリと左に顔を傾けてみる。
媚じゃないわよ。一緒ですね?ってローランド先生の共感を得ようとしているだけだもの。
「ジーンは女神さまと話せるのかな?」
「黙秘します。(ごめんなさい。王家の人には言っては駄目だったのです。)」
ローランド先生は、再び地の底に落ちそうな深ーい溜息を吐き出し、右手の中指を額に押し当て、眉間の皴を一層より深くした。
「うーん。では話せる所だけでも話して。」
「女神さまがスキルを使って下さったのは、たぶん・・・ですが、私の願いが届いたのだと思います。 あの時、兄さまを狙って来ていた人から、男たちから兄さまを助けてくださいって。だから・・・あっ!そうか。 熊さんの声が私に届いたのって自分じゃ無く他の人を助けてくれって願ったから、私に声が私に届いたのだわ。 ああ良かったあぁー。一個ルールが分かったかも。」
(なるなる)とちょっとスッキリした。
そうだよね。
攫われた人たちの助け全部に何て答えられないものね。
私の身体って1つしかないし。
「いやっジーン。1人で納得して悦に入っている所悪いけれど、もう少し教えて。昨夜初めて使ったと言って居たね。」
「はい。戻って来たら体中の力がゴッソリ抜けて眠ってしまいました。ごめんなさい。」
「それは体内の魔力を消費したんだね。スキルを使う時に消費するから。」
「なるほど?」
「コホンっ。ではジーンが説明できる範囲で良いからあのスキルの説明をしてくれるかい?」
「は、はい。あの光は、〔女神の救済〕だそうです。捕まった人が戻りたいと願う場所に行きます。その時に怪我を治して体力も回復してくれます。次に〔罪科の秤〕は、ロゼットの民を傷付けた度合いによって死か気絶かが分かれます。スキル持ちの人はスキルが使えなくなるそうです。一度だけの温情なのだとか。〔罪科の秤〕が使えるのは光っている間だけなので、昨夜は時間が無くて大変でした。同時に発動出来るようにしてくれたらいいのに。」
「ジーンはオレのために其処まで、、、。しかも他人の為にザクロン帝国にまで行くなんて。そんなスキルなど使わないでくれ。折角兄妹2人で暮らせるようになったのに。」
「違うの、兄さま。自ら行った訳じゃないのよ。強制的なの。声が聞こえたパって飛んだの。」
「なんて酷いスキルなんだ。」
「で、でも、兄さま。」
「あぁ悪いけど兄妹での対話は後で。もう少し知りたい。」
「うっ、はい。」
「自動発動だなんて。始末の悪い。」
「コホッ。で、大量殺人、いや多くの人を罰したのは1度目は女神。と言うことは昨夜はジーンも?、、、いや、しかし。」
ローランド先生は、とても苦しそうな表情で切なさを帯びた苦い声で話した。
裁判もなく罰を下すことに抵抗が或るのだろうなと察した。
恐らく前世の私なら〔罪科の秤〕を使うことは無理だったろう。 あの侭、光が消えて行けば〔罪科の秤〕は、発動しなかったのだろうと考える。
あの駄女神だって、はじめに私が望んだ時にって言っていた。でも私は許せなかったのだ。 兄さまが私を助けようとあんな悲痛な声で叫んでいたのを笑い飛ばして、揶揄って、絶対に許さない。
奴隷商売に関わっている奴等なんて皆死ねば良いと思う。
「もしかして一斉清粛は駄目でしたか?私は当然だと思います。寧ろ、一瞬で死なせるなんて温情だと感じました。攫われてから地獄売られてからも地獄。生きる為とはいえその様なコトが許されるとでも?私は許しません。」
「大丈夫だ。ジーンだけじゃない。オレだって許せないよ。ジーンを傷付けたあんな奴らは人間じゃない。」
「いや、済まない。別にジーンを責めている訳じゃない。 ただ他国が絡んでいる事だから、万が一ジーンのコトがバレたらと思うと心配になっただけだ。そうなってもジーンのことは何としても守るけどな。唯念には念を入れる為に、私の義兄であるヴィンセント王弟殿下に相談しても良いだろうか。勿論、秘密は守って貰う。」
「うーん。如何かなあ。王弟殿下ってケレス王家ですよね。」
「ああ、私と違って始祖ケレス女王陛下の直系だ。」
「ぐっ。うーん。一旦持ち帰っても良いでしょうか?」
「「どこにだ?」」
「ハハっ。では女神関係なく私のスキルってことにしてください。ローランド先生は、私を守って下さるのですよね?」
「ああ、絶対に守る。」
「なら安心ですね。 砦の奴隷収容所に摑まっている時、突然スキルが目覚めたと言っておいてください。丁度兄さまも回復スキルが目覚めましたものね。お揃いです。へへっ。それに実証する為、王弟殿下に使って見ろって言われても使えませんし。猫の目スキルとでも・・・ねっ。そろそろ、熊さんの所へでも行きませんか?結構時間も経ったみたいです。」
兄さまが不安そうにアクアマリンの瞳を曇らせた。
女神ルミナスさま。
がっつりケレス王族の方と関り持っちゃてましたよ。
一旦は誤魔化せたと思うけれど、なんだか色々ヤバそうです。
特に兄さまには。
もう、早く連絡下さいね。




