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ドSな虐めっ子が僕の『ペット』になった件  作者: 大崎 アイル


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ep.06 佐々木シロウは、疑われる

「き、如月さん!?」

 びくっとして、慌ててスマホをしまう。


「体調はもう大丈夫なの?」

 心配そうに聞かれた。


(そうだ、今日の午後はずっと保健室で寝てたんだった)


 しかもノートまで如月さんに借りている。

 本来なら家で寝ててもおかしくないはずが、こんな遅くに帰るのは変だろう。


 仮病を疑われるかもしれない、と思った。

 がどうやら如月さんは僕のことをただ心配してくれているようだ。


「体調はもうよくなったから……ありがとう。今はちょっと、用事があって……。如月さんこそどうしたの?」


「ふーん……、私はそこのコンビニでアイス買ってきたとこ」

 見るとたしかに、小さな袋にスーパーカップが入っていた。


 アイスが好きなんだろうか?

 ぼんやりそんなことを考えていると。


「ところでさ……佐々木ってマイとは仲いいの?」

「え?」

 びくりと固まる。


 マイ……水無月マイさんのことだ。


 なんで、急に?


「さっき、LIMEのメッセージで名前が見えたから」

 見えるの!?

 如月さん、目が良すぎない?


「い、いや。別に特別仲いいわけじゃないよ。普通だよ」

 と言いつつ『普通』ってなんだとは思う。


 僕には普通の友だちすらいない。


 ちなみに、水無月さんは漫画を描いていることは、学校の友達には内緒にしてと言われている。


 だから漫画を描くのを手伝うのを言うわけにはいかない。


「ふーん、そっか」

 如月さんは僕の答えを聞いて、特に何を言うわけでもなかった。


「じゃあね、佐々木」

「う、うん、如月さん」

 僕は、如月さんと別れ家へと帰った。


(はぁー、緊張した)

 未だに話すと中学時代のことを思い出す。


 けど、高校に入って如月さんは丸くなったのだろう。

 普通に話しかけてくる分には、僕も自然にしたほうがいいのかもしれない。

 

 リビングには夕食の残りがラップをかけて置いてあった。

 オムライスとミネストローネのダブルトマト味だった。


 冷えていたので、レンジで温めて食べた。


 卵が固くなってしまったが、バターライスの味が濃くて美味しかった。


 それから部屋に戻って、如月さんから借りたノートを開く。


 全部写すのは面倒なので、ざっと授業が進んだ範囲を確認してわからないところに、教科書にチェックをつけた。


 午後の授業を全部休んだので、全てのノートに目を通すだけでもそこそこの労力だ。


(でもせっかく貸してくれたんだから)


 僕は頑張って全ての教科のノートを書き写した。


(如月さんの文字って意外に可愛いな)


 そんなことを考えながら、僕はすべてのノートを写し終えた。




 ◇翌日◇




「如月さん、ノートありがとう」

「ん」

 僕は借りていたノートを朝一番に返した。


 ノートを渡す時、やけに如月さんがじぃっとこちらを見つめていた。


「…………」

「…………」

 数秒、視線が交差する。

 

(何か言ったほうがいいのか?)


 でも、何を言えば?

 うーん、……。


「あのさ……今度、私と……」

 如月さんが何かを言いかけた時。


「おはようー、シロウくん☆」

 ぽん! と肩を叩かれた。


「おはよう、水無月さん」

 挨拶を返して気づく。


(シロウくん?)

 そんな呼び方、初めてされたんだが。


「なに話してるのー? リカちゃん」

 僕と如月さんの間に割って入る。


「別に……」

 如月さんが一気に不機嫌になった。


 こ、怖い。


「昨日の午後は休んでたから、ノートを如月さんに借りてたんだよ」

 僕が言うと。


「あれ? シロウ君って昨日、体調悪かったの?」

 という質問は昨日一緒にいたからだろう。

 

 というか、同じクラスだったのにボクが授業でてないのに気づいてなかったのか、水無月さん。


「昨日は変な人からDMがきて、睡眠不足だったからね」

 と言うと


「…………そ、そっかぁ」

 水無月さんも自分のせいだと思い至ったらしい。


「にしてもシロウくんってリカちゃんと仲いいんだね」

 水無月さんの言葉に、ボクと如月さんは、一瞬顔を見合わせる。


「……う、うん」

「……同じ中学だから」

 ボクはぎこちなく頷き、如月さんがぽつりと答える。

 

 その微妙な空気に気づいてない水無月さんは。


「へぇ~、二人は一緒の中学なんだー!」

 と素直に驚いている。


 まぁ、変な空気に気づかなくてよかった。


 少なくともボクと如月さんは仲良しではない。


 元イジメっ子と元下僕(ペット)だ。


「ところでシロウくん」

 話しかけてくる水無月さんに僕は尋ねた。


「あの、水無月さん……なんで急に呼び方が変わったの?」

 シロウくんなんて昨日まで呼んでなかったよね?


「え? ダメ? いやだった?」

「……だめじゃないです」

 悲しいかな、陽キャ全快の水無月さんの言葉を否定することなんてできない。


 どうやらボクは今日から『シロウくん』になってしまった。


 教室の視線がすこしこっちに集まるのがわかった。


(水無月さんは目立つからなぁ……)


 それから授業が始まるまで他愛無い会話をした。




 ◇授業が終わってから◇




「なあ、佐々木」

 となりの席の風間くんが話しかけてきた。


「どうかした?」

「水無月さんとどうやって仲良くなったんだ?」

 ワクワクした顔で尋ねられた。


「いや、よくわからないよ。何でだろうね」

 と誤魔化すように言った。


「いやいや、水無月さんにあんなに親しく話しかけられてる男いないって。なあー、なんかあったんじゃないのかー?」

 結構、しつこく聞かれたが漫画を一緒に描く話は言うわけにいかず曖昧な返事で終始した。


 にしても……。


(水無月さん、周囲の目を気にせず話しかけてくるなー)


 これじゃあ、他の人に「なにかあるのか?」と思われても仕方ない。


 これまではほとんど話したことなかったのに。


 教室であまり親しげに話されると困ると言ったほうがいいだろうか?


 今度、水無月さんの家で漫画の手伝いをするときにそれとなく伝えてみよう。


 そう心の中で誓った。




 ◇放課後◇




 授業の終わりを告げるチャイムがなる。


 同時に教室内は一気にざわめき、部活へ行くもの、遊びの相談をするもの、さっさと帰るために荷物をまとめる者たちで活発になる。


 僕は言うまでもなく最後のグループ、帰宅組だ。


 水無月さんの漫画手伝いについては、まだ具体的な曜日や時間は決まっていない。


 あとで今後の予定をLIMEで連絡するとメッセージがきた。


 なので、しばらくはいつも通り暇な放課後だ。


(本屋に寄って、漫画の書き方の本でも買おうかな)


 と考えていた。 


 その時。




「ねぇ、佐々木」




 声をかけられた。


 びくりと、身体が震える。


 背筋がぴんと伸びて、背中に冷や汗が伝う。


 声の主が誰か、悩む必要はない。


 聞き慣れた……嫌というほど聞かされていた声。


 不機嫌な時の如月さんの声と口調だ。

 

 僕を下僕(ペット)として扱っていた主人(いじめっこ)の時の声だ。




「話があるの。一緒に来て」


「…………はい」


 

 終わった、僕の高校生活。


 調子に乗ってました。


 もっと、大人しくしておくべきだったんだ。

 

 僕は観念して、如月さんに連れられて帰路についた。

7話は明日の昼に更新します

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― 新着の感想 ―
続きが楽しみです。
積極的姿勢な水無月さんにツンデレかな?な如月さん。 そして校舎裏(?)へ連れて行かれるシロウくん。 オワタ\(^o^)/
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