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扉を開けたら  作者: 黒米 紅子
非常口
9/43

『なんでやめるんだ?腕まくり』


「だって今はお客」


『ジャスの顔見てみろ』


…目の前のジャスは

期待に目をウルウルさせて

郁を拝んでいた。


…猫みたい


「…厨房お借りして良いんですか?」


「是非是非お願いします」


郁は立ち上がった。


『…卵焼き』


ボソっと声が聞こえたが、聞こえないフリをした。



暖簾を開けて厨房へ入る。


…ヤバイ奴だよ、これは…


洗ってないフライパンや鍋

グラスに食器は

三層流しに溢れている。


おそらく、洗う→濯ぐ→乾かす

その流れで動けるようになっているはずが


全てが洗い物


大きな調理用に流しと調理台は

綺麗に整っている。


配膳テーブルは

ランチプレートが並べられ

すぐに盛り付け出来るようになっているが


盛り付け用食品の棚が

ごちゃごちゃしている。

取り出そうとすると

隣の物も

一緒に落ちてきそうだ。


冷蔵庫の中もキチンと

食材毎に分けられ

過不足なく入っている。


が…塩の瓶の蓋は開けっぱなし

隣は砂糖らしい

お醤油なのか

ソースなのか

同じ瓶で並んでいる。



…アンバランスだよな~


厨房に入って気づいた。

全ての作りが…


「ジャス、あなた身長は?」


「170ですが…」


…低すぎるのだ。


「俺様…この辺にお大工さんはいないの?」


『誰だ俺様って』


「…黒猫さま…この辺りにお大工さんは…」


『居るぞ、それがどうした?』


…居るならヨシ!まずは片付けだ。


『おい無視するなよ』



「ジャス!片付けるわよ。

まず看板入れてクローズにしといて!」


「は、はい…」


「焦げついた鍋には重曹と水入れて煮立てて!」


「はい!」


「沸騰したら放置!

配膳テーブルに置きっぱでOKよ」


「はい!いつ洗うんです?」


「冷めたらでいいわ。放置が1番!」


「お皿は裏から洗うべし」


「はい??」


「糸じりから洗うとスポンジの汚染を防ぐのよ」


「汚染?」


「最初に汚れたとこから洗うと

スポンジとかが汚れて裏も汚れる時あるから…

油の時は特に注意ね」


『ほぉ』


「お皿は立てて乾かして、伏せないで」


「了解!ボス」





ボスだと??

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