⑦
ヨレヨレの白衣を見た時
もしかしたら?とは思っていた。
そうあの
棒に巻きついて干されていた
洗濯物の家が
フムフム宅だった。
玄関を開けると右手側が診療所
まっすぐ行くと自宅へ続く階段がある。
診療所はキチンと整頓されている。
キャビネットには
ファイリングされた書類が
背表紙をキリっと伸ばして並んでいる。
デスクの上には
書きかけのカルテであろうか、
ペーパーウエイトで押さえてあり
ペン立てにはペンがたたっている。
「キチンとされてるんですね」
「あ!はい…ここは職場ですから」
診療所のドアにはドアベルがかかり
窓には……
「あれはダメですね」
しわくちゃのカーテン。
「す、すみません」
郁はさっさとカーテンを外した。
「行きましょう。」
二人と2匹は階段を上がった。
階段の上は 入ったところが
ダイニングキッチン
奥には
バス トイレだと思われるドアがある。
キッチンを抜けると
「わお!」
ソファーに投げ出された洗濯物
テーブルに上にはタオルの山
衝立の後ろはベッドであろうが
衝立が衣類で覆われている。
チラリと見たベッドの上は
脱ぎ散らかした洋服やら下着だろう。
「キッチンは大丈夫なのに…」
「それは自宅で食事しないからです!」
えっへんとばかり答えるフムフム。
…いいのか?
「まずは洗濯物を集めましょう!」
「これは?」
「洗濯機へ。」
「これは?」
「畳んでしまう。」
「なるほど……。」
バストイレのドアを開ける。
「ここも綺麗だわ」
「トイレもバスも感染症予防には
綺麗にしとかないと…です…ですから」
一方で洗面台の横にある
大型洗濯機は
洗濯物で姿が見えない。
「よくまぁ、こんなに…」
「気がついたらたまっちゃって…
実はもうストックも無くって…」
「やるっきゃないわよ!」
郁は腕まくりを…
『半袖だぞ』
半ば洗濯物に埋もれた俺様黒猫が言う。
「気合いを入れたの!」
まず郁は キッチンにロープを張った。
「使ってないから 乾燥室よ」
外に突き出す物干しは
リビングの壁と桟に渡す。
もちろん窓はリビングも
キッチンも全開だ。
「外に干すのは禁止。落ちたら困ると思って
グルグル巻きにするなら最初っから干さない事」
「はい!」
バスルームで小物を手洗いし
ポイポイとカゴに入れていく
フムフムはそれをピンチハンガーに干していく。
「これって小物に使うんですね~」
全部の洗濯物が干し終わったら
扇風機を回す。
「扇風機ですか?」
「そ、乾く手助けしてくれるのよ。
冬でも使えるの。タイマーにしておけば良いし」
外はカンカンと日が差している。
お昼はとうに回っているだろう。
お昼も抜いている郁は
途端にお腹が空いてきた。
『腹減ったか』
「当然よ。お弁当取られたし」
『じゃ 飯作ってくれ』
「そこは食べに行こうじゃないの?」
『……』
「郁さん、ジャスのお店に行きましょう♪
とりあえず餌はあります」
…猫の餌はあるのか。
「私はいつもジャスの店で食べてます。」
郁は汚れたエプロンを思い浮かべた。
少なくとも、食材はあるのだろう。
「行きましょう」
『……頼むから、俺には作ってくれよ』




