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扉を開けたら  作者: 黒米 紅子
非常口
6/43

パタパタと走って来る足音が聞こえ


二人の女性がやってきた。


郁は急いで立ちあがり


パンツの土を払い


あたふたと髪を手櫛で整えた。



『なんだジャスも来たのか』


にゃにゃにゃ


茶トラが返事をする。



「初めまして。郁と言います」

郁が声をかけ手を差し出す。


二人は顔を見合わせて


揃ってペコリと頭を下げる。


「初めまして、史子です。」


「……あ、違った。」


「みんなにはフムフムって呼ばれてます。」


小柄でぽっちゃりとした女性

大きな丸メガネ

てっぺんでお団子にした黒髪

にこにこと人懐っこそうだ…が


…ヨレヨレの白衣

白衣の下のTシャツは後ろ前

ちぐはぐな靴下


…これはダメな奴だ。




「初めまして。」


「ジャスミンです。」


「長いので、ジャスでお願いします。」


キリっとした女性は

ロングの茶髪を緩く肩で結んでいる

天然パーマだろうか。

ウエーブがかかっているようだ。

黒字のブラウスに

ロングスカートだが


…汚れてしまったエプロン

スカートまで跳ねた跡

手にはバタービーター


…こっちもダメな奴だな


「こちらこそよろしくお願いします。」


『とりあえずのフムフムの診療所だな』


にゃ!


茶トラが尻尾を揺らし

フムフムを見上げる。


「ウチ!?…そっかウチが先ね…」


「では私は自宅で待機しています。」


二人はもう一度顔を見合わせ

大きく頷き合った。


「ねぇ ここの片付けは?」


『ここはジャスの担当だから後だ』


「えー」


『…後でやらせてやるから

まずは診療所だ』


「診療所?」


茶トラが にゃっと鳴き


先導しますと言うように歩き出す。


郁はその後に続いた。


フムフムも隣に並ぶ


『じゃ頼むな』


俺様黒猫は、ツイっとどこかへ行こうとしていた。


「ちょっと、どこ行こうとしてんの?」


『…猫は自由を求める』


「人にお願いしといて 『じゃ』とかないでしょ。

行くわよ」


俺様黒猫は


大きなため息をついて、郁の肩に飛び乗った。










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