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扉を開けたら  作者: 黒米 紅子
自室のドア
30/43

カチャカチャと洗い物をする月子


足元ではハチワレが


カリカリを食べて居る。


…ちゃんとお座りして偉いぞ。


お皿を拭きながら


郁は足元を見て微笑んだ。


…尊い…。


「ホント、陽介ったらお子ちゃまでしょ~」


手を泡だらけにして月子は同意を求めた。


「まぁ、はい。そうですね。」


「なんであんなに好き嫌いが多いんだか…。」


…いや嫌いはないでしょ、好きオンリーよ。


「私は和食が好きなんだけど


ほら、好き嫌いが多いから…


アーンしないと食べないし。


小鉢多いと疲れちゃうのよね、あげるのが」


…まぁ、見てると月子さんは

三角食べ推進派だと思った。


『三角食べ?』


「おかず、ご飯、椀ものを順番に食べる事よ。」


『ほぉ』


「お猫さまには必要じゃないけど」


ハチワレは食べ終わったのか


郁を見てニャオと同意した…と思う。



「そうなのよ、おかずばっかり食べたがるから、

順番にあげてるの」


…月子さん手作りだからだよね~それって。


『御意』


ニャン


「あれじゃ、お嫁さんが大変だわ」


にゃにゃにゃ~


ハチワレが大きく鳴いた。


「ハチちゃんもそう思うわよね~」


ニャニャニャオ


「…なんとか偏食やめさせないと嫁も来ないわ。」


…自分が嫁になるパターンはないらしい。


「月子さんは、陽介さんのお世話嫌じゃないんですか?」


「幼稚園から世話してるのよ…慣れちゃった。」


…一途なのかヘタレなのか。


ミィ…ハチワレの声も小さくなる。



「じゃ、陽介さんにお世話してもらったらどうですか?」


「あらら。」


手を拭きながら月子が振り向く。


「それいいかも。」


「ちょうど荷物持ってくれるって言うし、

お礼に欲しいものあれば買ってぅれるって~」


「だったら、陽介のお世話が欲しいって言っちゃお」


…それ…ご褒美だよ。



身なりを整えて、外へ出ると


陽介がソワソワして待っていた。


「お出掛け前にトイレ行ったの?」


…オカンか?


『オカンだな』


「大丈夫だ!」


耳を赤くして陽介が答えた。


「ほら…」手を差し出す。


一瞬、キョトンとした月子は


おもむろに、マイバスケットを手渡した。


固まる陽介。




…前途多難


ハチコウ、後は頼んだぜ。


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