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扉を開けたら  作者: 黒米 紅子
自室のドア
29/43

「違います!!!」


郁は断罪されていた。


正座した膝の上の石が積まれる…


『まだ言うか、お前だろう?

殿に無理矢理ジャコ卵焼きを食べさせたのは』


目の前にはハチワレが

羽織袴で座って居る…


大きさが魔物サイズだった。


ドン!

石が積まれる…

運んでいるのは

額に黒点の白猫と鯖トラ。


「やめて~あれは俺様黒猫が…食べたいって言うから…」


『まだ言うか!』


パシンと扇子を叩くハチワレ


…猫って正座できるんだ。

とぼけた事を思う郁であった。


『もう良い』


ハチワレの後ろの襖が開き

俺様黒猫が裃姿で登場する。


黄金に輝く左目

鋭く鈍く光る右目


ジロリと見られて、郁は思わず


…綺麗…と呆けた。


『…何寝ぼけててるんだ?』


目を開けると金眼銀目が郁を見下ろしていた。


「…綺麗…」


『…お前…』ツイっと横を向く俺様黒猫。


白い髭がピクピクして居る。


「…なんか足が動かないんですけど。」


『あれだな』


郁が肘をついて身を起こすと


ハチワレが腿の上で丸くなっていた。


「…この断罪ならいいかな」


『アホか』




朝食も昨夜に引き続き、

何を見せられてるんだかの世界が始まっていた。


「ツナと玉ねぎのサラダよ。ツナ好きでしょ?」


「玉ねぎ要らん」


「ほら、アーン!」


…完食


「これはね~ほうれん草のキッシュ。

美味しいわよ」


「ほうれん草取ってくれ」


「ちょっと食べてみようね~アーン」


…完食


月子が陽介から視線を外す。


次に食べて貰うものを選んでいる。


その時の陽介は、


…めっちゃ笑顔じゃないの!


でも次の瞬間、


「今度はね~…」


…不機嫌な真顔、

ただ口角はピクピクして居るが…


「なぁ月子、今日さぁ…」


「今日は買い出しの日なんだよね~」


「じゃ俺も…」


「陽介は休みなんだから、ゆっくりしててね。」


「いや、俺も…」


「買い物あるの?ついでにに買ってこようか?」


「そうじゃなくて…俺も…」


ニャオ


ハチワレが鳴く。


「…俺、荷物持ってやっから一緒に行くぞ」


ニャニャ


「…そうね、荷物持ちね。助かるわ」


「…ヨシ!」


ニャニャ…


「…ついでに何か欲しいものあったら買ってやるぞ」


ニャ


「…せ、世話になってるからな、その…お、お礼だお礼」


「あら嬉しい…」



ニャーオ。


得意げに尻尾を立てるハチ。





……いや。


本当に今のアドバイスだったの?


郁には最後まで分からなかった。










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