❹
「ふぁぁぁぁ」
借り物のパジャマを着て
郁は布団に倒れ込んだ。
お腹はいっぱい
胸いっぱい…胸焼け寸前。
お風呂もいただいて、気も抜けている。
「偏食小僧じゃなくって、構ってちゃんだった」
『構ってちゃん?』
半折にした掛け布団の上で、
お腹を出して、
身体を伸ばして寝ている俺様黒猫が聞く。
…うぅ、撫でたい。
『良いぞ、撫でても』
「ホント!」
郁は匍匐前進で、俺様黒猫に近づく。
そしておもむろに、顔を埋めた。
ウニウニと猫吸いをしながら、
黒猫の頭を撫でた。
『ちょい待て!コラ、重い!』
俺様黒猫は、身を丸めて反撃しようと、
前足を出したが…諦めた。
そして身を捩って郁の頭から抜け出す。
『寝てろ』
郁は寝落ちしていた。
黒猫は、黙って郁の額を舐めた。
『起きてる時に舐めたら、悶絶するだろうな』
その頃、ハチワレのハチは、
陽介の腕の中にいた。
陽介のボヤキを黙って聞いている。
「今日のハンバーグは絶品だった。
特にソース。マスタード入りだったんだ~」
ハチの頭を撫でながらブツブツと言う。
「野菜だって普通に食べれるんだけど、
月子が、俺に食わそうと一生懸命なのを見るとさ。
なんだか嬉しくなるんだ。」
「なぁハチ、明日は月子をデートに誘いたいんだが
…なんって言って誘うかな。」
…そんなもん、しらね~
ニャニャぁ
「買い出しに付き合えって言うのか?
ヨシ!そう言ってみる。」
…デートって言うのかそれ。
ニャ
「そうなんだ…月子働きすぎだから、
休ませてもやりたいんだ…難しいよな。」
……ちゃんと休ませろよ。
ニャァオ
「よし、明日はデートしてゆっくりさせよう。」
…微妙に違う気がする…
ハチの顎の下を
ゆっくり撫でてやる。
ゴロゴロゴロ…
やっぱり猫さまであった。
月子は部屋から
満月を見ていた。
「黒猫ちゃんの左目みたい。」
ブラッシングしながら月子は思った。
…明日の陽介の食事は
和食にトライしてみよう。
骨を取った煮魚なら食べ易いかな。
野菜は煮浸しにしたら食べるかな?
…無理だな~
豚汁にしよっか!陽介、これは食べてたし。
月だけが
瞬きもせず見下ろしていた。




