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扉を開けたら  作者: 黒米 紅子
自室のドア
28/43

「ふぁぁぁぁ」


借り物のパジャマを着て


郁は布団に倒れ込んだ。


お腹はいっぱい


胸いっぱい…胸焼け寸前。


お風呂もいただいて、気も抜けている。


「偏食小僧じゃなくって、構ってちゃんだった」


『構ってちゃん?』


半折にした掛け布団の上で、


お腹を出して、


身体を伸ばして寝ている俺様黒猫が聞く。


…うぅ、撫でたい。


『良いぞ、撫でても』


「ホント!」


郁は匍匐前進で、俺様黒猫に近づく。


そしておもむろに、顔を埋めた。


ウニウニと猫吸いをしながら、


黒猫の頭を撫でた。


『ちょい待て!コラ、重い!』


俺様黒猫は、身を丸めて反撃しようと、


前足を出したが…諦めた。


そして身を捩って郁の頭から抜け出す。


『寝てろ』


郁は寝落ちしていた。


黒猫は、黙って郁の額を舐めた。


『起きてる時に舐めたら、悶絶するだろうな』



その頃、ハチワレのハチは、


陽介の腕の中にいた。


陽介のボヤキを黙って聞いている。


「今日のハンバーグは絶品だった。

特にソース。マスタード入りだったんだ~」


ハチの頭を撫でながらブツブツと言う。


「野菜だって普通に食べれるんだけど、

月子が、俺に食わそうと一生懸命なのを見るとさ。

なんだか嬉しくなるんだ。」


「なぁハチ、明日は月子をデートに誘いたいんだが

…なんって言って誘うかな。」


…そんなもん、しらね~


ニャニャぁ


「買い出しに付き合えって言うのか?

ヨシ!そう言ってみる。」


…デートって言うのかそれ。


ニャ


「そうなんだ…月子働きすぎだから、

休ませてもやりたいんだ…難しいよな。」


……ちゃんと休ませろよ。


ニャァオ


「よし、明日はデートしてゆっくりさせよう。」


…微妙に違う気がする…


ハチの顎の下を

ゆっくり撫でてやる。


ゴロゴロゴロ…


やっぱり猫さまであった。



月子は部屋から


満月を見ていた。


「黒猫ちゃんの左目みたい。」


ブラッシングしながら月子は思った。


…明日の陽介の食事は


和食にトライしてみよう。


骨を取った煮魚なら食べ易いかな。


野菜は煮浸しにしたら食べるかな?


…無理だな~


豚汁にしよっか!陽介、これは食べてたし。



月だけが


瞬きもせず見下ろしていた。

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