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扉を開けたら  作者: 黒米 紅子
自室のドア
25/43

郁はクタクタだった。


帰宅は22時を回っていた。


保育園では延長保育というのがある。


親御さんの状況に合わせて


保育園で預かると言うものだ。


今までは、補食で済んでいたのだが、


親御さんの陳情によって、給食を出す場合も

増えて来たのだ。


必然的に、システムに慣れるまで


親御さんも保育士も給食担当も…子ども達も


わちゃわちゃになる。



「働くお母さんは大変だぁ~」


郁はしみじみ思った。


「毎日ごとだもんね。仕事も子育ても。」


仕事は休みがあるが、育児に休みはない。



ドーン…パラパラパラ


「あ!花火だ!」


ビルの谷間から、花火か見えた。


明日から三連休。


「なんだか楽しくなって来たな。」


買い出しにも行けるし

掃除もできるし


猫カフェにだって行ける。


…今ならスキップ下手だけどやれそうな気がする。



ガチャリ


「たっだいま~」


後手ドアを閉め、スリッパを履き


お弁当箱を流しに出して


居室のドアを開けた。


『おかえり…遅かったな』


俺様黒猫が


郁の部屋に居た…。


それも、ベッドの上で毛繕いしている。



「な、な、なんで居るの?」


思わずキョロキョロするが、森ではない。


『あんまり遅いんで迎えに来た。』


「いやいやいや、こんなの反則でしょ」


にゃ


ミャ


ミャオ


ベッドの下から、3匹の猫が飛び出してきた。


ゴロゴロ言いながら、


郁の足元にスリスリする。


「…癒される。」


思わず3匹一緒に抱きしめた。


思いっきり猫吸いをする。


「幸せだぁ~」


『お楽しみのところ悪いんだが行くぞ』


妙に不機嫌になった俺様黒猫。


鯖トラが、背中に飛び乗った。


「…イタタ、でもこの痛みは猫さまの甘え…」


『行くぞ』


2匹が俺様黒猫の後に続く。


背中を丸め、鯖トラを落とさないように


郁も後に続いた。


びっくりして落としたリュックを


慌てて拾う。


俺様黒猫が、


『開けろ』と言う。


「はいはいお猫さま」




部屋のドアを開けると


キッチンではなく…村の入り口だった。




…なんで言う事聞いちゃったんだろ。



クタクタで眠いのに…







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