❶
郁はクタクタだった。
帰宅は22時を回っていた。
保育園では延長保育というのがある。
親御さんの状況に合わせて
保育園で預かると言うものだ。
今までは、補食で済んでいたのだが、
親御さんの陳情によって、給食を出す場合も
増えて来たのだ。
必然的に、システムに慣れるまで
親御さんも保育士も給食担当も…子ども達も
わちゃわちゃになる。
「働くお母さんは大変だぁ~」
郁はしみじみ思った。
「毎日ごとだもんね。仕事も子育ても。」
仕事は休みがあるが、育児に休みはない。
ドーン…パラパラパラ
「あ!花火だ!」
ビルの谷間から、花火か見えた。
明日から三連休。
「なんだか楽しくなって来たな。」
買い出しにも行けるし
掃除もできるし
猫カフェにだって行ける。
…今ならスキップ下手だけどやれそうな気がする。
ガチャリ
「たっだいま~」
後手ドアを閉め、スリッパを履き
お弁当箱を流しに出して
居室のドアを開けた。
『おかえり…遅かったな』
俺様黒猫が
郁の部屋に居た…。
それも、ベッドの上で毛繕いしている。
「な、な、なんで居るの?」
思わずキョロキョロするが、森ではない。
『あんまり遅いんで迎えに来た。』
「いやいやいや、こんなの反則でしょ」
にゃ
ミャ
ミャオ
ベッドの下から、3匹の猫が飛び出してきた。
ゴロゴロ言いながら、
郁の足元にスリスリする。
「…癒される。」
思わず3匹一緒に抱きしめた。
思いっきり猫吸いをする。
「幸せだぁ~」
『お楽しみのところ悪いんだが行くぞ』
妙に不機嫌になった俺様黒猫。
鯖トラが、背中に飛び乗った。
「…イタタ、でもこの痛みは猫さまの甘え…」
『行くぞ』
2匹が俺様黒猫の後に続く。
背中を丸め、鯖トラを落とさないように
郁も後に続いた。
びっくりして落としたリュックを
慌てて拾う。
俺様黒猫が、
『開けろ』と言う。
「はいはいお猫さま」
部屋のドアを開けると
キッチンではなく…村の入り口だった。
…なんで言う事聞いちゃったんだろ。
クタクタで眠いのに…




