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「ねぇ、フムフム…
フムフムは日向さんの診察したの?」
フムフムはじっと、グラスを見つめている。
「一度だけ…胃がムカムカしたって言われて」
「個人情報だから言える範囲でいいんだけど…
見立ては?
彼になんて伝えたの?」
…フムフムはもう一口白湯をコクリと飲んだ。
「軽い胃炎だと…検査した方がはっきりすると言いました。」
「その後、調子は戻らなかったのね」
グラスを握る手が白くなる。
「むしろ胃以外が悪くなったみたいです。」
「呼吸が苦しい時がある、鼓動が早いとか…
汗が止まらないとか…顔が熱いとか…」
「ホットフラッシュみたい?」
「そうです…原因を調べようと
診察しましょうと言うと
頑なに拒んで…」
…だからさ。
『…俺もそう思う』
「彼が診察を拒む理由は思い当たる?」
「怖いんだと思います。
結果が悪いと知るのが…」
…だよね~。
ミュ~
「さっき彼は言いました。
自分の寿命の使い方は…自分で決めたい。
だから…だから…旅に出るって…。」
…旅やんかい。
「もう一度聞くね?
フムフムの見立ては??」
「診察しないとなんとも…」
「今はもう胃の調子は良いって言ってましたし」
「ハーブティは飲んでもいいって?」
「…はい。毎日飲みたいし
気持ちも嬉しいけど、
最後は私を泣かせる事になるからって。」
「だから…君の前から去るって…」
「泣かないでフムフム…ありがとうって…」
フムフムはまた泣き出した。
…吟遊詩人は自分に酔うタイプらしい。
『…俺もそう思う』
ミャミャ
「で、フムフムはどうしたい?」
泣いてる顔を上げて、
いきなり問いた郁を見る。
「傍にいたい?」
「見送っておしまいでいい?」
「いやです!!傍に居たいし
おしまいもイヤ!」
「それは患者だからかな?」
「…患者…だか…ら?…」
窓から風が入り白いカーテンを揺らした。
誰も口を挟まなかった。
「決めるのは自分だよ。フムフム…」
強い風が入り込んだ。
カーテンがバサバサと音を立てる。
「決めるのは自分…」
フムフムの手からグラスが転げ落ちた。
チャトが小さく
ミィ
と鳴いた。




