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郁はリズムを取るように
トントントンと
フムフムの背中を軽く叩く。
「…日向さんが…日向さんが…」
泣き続ける声に返事もせず
ただ…トントン…トントンと。
次第にフムフムの声が小さくなり、
グズグズと鼻を啜る音も聞こえなくなった。
首元のタオルを取り外し
フムフムのメガネも外して
そっと顔を拭いてやる。
…泣き疲れたのね。
そのままゆっくり、ベッドに倒れさせ、
足を持ち上げベッド乗せる。
…思いの外、深い眠りだわ。
最近、寝れてなかったのかも。
タオルケットをかけて衝立を戻した。
「日向さんってどういう人かわかる?」
タオルを洗濯機にぶち込み、
郁はソファに座った。
俺様黒猫もちんまり、座っている。
『流れの楽師だな』
「楽師って…RPGに出て来るの吟遊詩人って事?」
…似合わない。どう見てもガテン系の兄ちゃんだった。
『色々回るには体力いるだろう』
「それはそうだけど、イメージが…」
郁はガックリと首を垂れた。
ミュミュゥ
チャトが慰めるように
郁の膝に乗ってきた。
もちろん?黙ってはいない俺様黒猫も
割り込みをかける。
「膝が好きなのね~二人とも。」
郁はせっせと2匹を撫でた。
…猫キチはやっぱり猫キチ。
筋骨隆々の吟遊詩人の絵面はすっかり消えていた。
「吟遊詩人かぁ、知り合いだって言ってたよね。」
『あぁ同じ頃、ここへ来たからな』
「歌上手いんだろうな。」
『聞いた事ないからわからんがな』
ミュゥッ
「遠くへ行くってどこへ行くんだろ。」
『この村の他にも、猫の村はたくさんあるぞ。』
「マジか」
『行商人が廻って来るくらいだからな。」
グルグルグルグル
2匹は膝でまったりしている。
「うう、うう、日向さん…」
フムフムの声がした。
郁が覗くと、フムフムが目を開けた。
「少し眠れたようね。よかった。」
身体を起こしたフムフムにまた白湯を飲ませる。
「甘い……」
フムフムが少し驚いたように呟く。
「少しだけ、はちみつを入れてみたの。」
「……落ち着いた?」
「はい、ありがとうございます。」
「話せる?」
「…聞いて下さい…」
…一通りフムフムが話終えた。
…それって
『考えてる事は同じだな』
「ですよね」
ニャオ




