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ミャオウ
チャトがいきなり駆け出した。
階段をタッタッタッタと降りる音がする。
『…来たぞ』
…いや、私ら居たらマズイっしょ。
「フムフム、私たち帰ります。」
「あ、あ、そうですね。」
オタオタしているフムフムを残し、
階段を降りていく。
玄関でチャトを抱き上げている男性と
すれ違う。
日に焼けた肌
チャトを抱き上げた腕も
日に焼け筋肉質なのがわかる。
ただ…その表情が、
……危ない奴だこの人。
無表情だった。
目は落ち窪み、
くっきりと隈ができている。
…眠れてない気がするよ。
頭を下げる郁の方を見ようともせず、
トン、トン、トン
階段を上がって行った。
コンコン…
「フムフムいいかい?」
その声は、静かに…そして甘く響いた。
「…ヤバくないあの人」
『何がだ?』
「だって思い詰めてた顔してた。」
俺様黒猫について歩きながら、
郁は気になった事を話した。
『ここへ逃げて来る人間は
少なかれ、何かを思い詰めてるんじゃないのか?』
「そうなんだろうけど…」
郁は診療所の方を振り返った。
その拍子に
ドン!
ドテッと郁は転んだ。
「ごめんなさーい、急いでいて。」
くるりとパーマのかかった
ショートカットの女性が手を差し伸べた。
「こちらこそすみません。前見てなくって」
地面には
ハサミや櫛、ブラシ。
スプレー缶や
スプレイヤーが転がっていた。
「…大変!」
郁はすぐさま拾い出した。
「すみませんでした!」
ペコリと頭を下げ拾った物を渡す。
「ありがとう。私は月子、
この先で美容室を開いているの。
今日は訪問美容室だったのよ。」
「私は郁と言います。保育所の給食作ってます。」
「あら、そしたらお料理上手なのね。
今度教えて貰いたいわ。偏食の子がいてね~」
「私でお役に立てるなら。」
「助かるわぁ、急いで戻って
夕飯の支度しないと。じゃ郁さん、またの機会にね。」
タタタッと月子が去っていく。
…偏食かぁ、子どもアルアルだね~
『…まぁ…頑張れ』
『…うまく行けば良いがな』




