②
期待はしてなかったけれど
やっぱり…森
森だった。
木々が茂っている…当たり前だ。
森なんだから。
「…うっそー」
パタリとドアを閉めた。
ヘナヘナっと座り込む。
と、その時
膝に重み…
恐る恐る下を見ると
「!え!猫? どっから入ってきたの?ん…」
猫が前足をかけていた。
猫は癒しだ。
常日頃 そう思っている郁は
ここはどこ?
なんで?
という考えをポイっと捨て
「どうしたの猫ちゃん」
…それこそ猫撫で声で
視線を合わせた。
茶トラの猫は
『ナァオ』と鳴き
トトトと歩き
郁が閉めたドアの下を
カリカリする。
「そっか!」
「私が閉めちゃったんだ」
立ち上がってドアノブに手をかける。
「…大丈夫?外は森っぽいけど」
『ナァオ』
「そっか、猫だもんね」
また郁は、そっとドアを少し開ける。
いつもの街に戻っている事を
期待しつつ…。
森だった。
しかも…
「ええええ!」
隙間から猫が
1匹
1匹
1匹
尻尾を立て
揚々と入ってきた。
非常口前には…
最初のポテっとした茶トラ
姿も態度も堂々としている。
…太めなんて恐れ多くていえない。
白い足袋を履いたような鯖トラ
一目散に郁の膝に足をかける。
…くッ、懐っこい。
真っ白なのに額に3つの黒点の猫
キラキラのオレンジの瞳。
隙あらばリュックに飛び乗ろうとウロウロ。
…好奇心の塊か?
情け無い顔に見えるハチワレ
なのにキリっとしたグリーンアイ。
鯖トラを身体で押し退けている。
…うわぁ、俺様優先タイプ?
色んな色を混ぜちゃいましたの灰かぶり
目があった、その瞬間郁にジャンプ。
行動力ありすぎ。
…思わず、抱えてしまった。
「全部で……5匹?」
もういないかな?と覗いた先から
ダダダッ
もう1匹が走り込んできた。
『閉めて』
「はーい」
郁は反射的にドアを閉めた。
ガチャリ。
……。
「……え?」
今、誰か返事した?
廊下を見回す。
誰もいない。
足元では猫たちが「ミャア」「ニャッ」と
好き勝手に鳴いている。
…誰???
キョロキョロと周りを見渡す。
誰も居ない。
ミャオゥ
ミャー
ニャァ
郁の足元が…
毛皮ショーになっている
「ちょちょちょ…幸せすぎる」
先程の声は誰か?
なーんて事も
頭から飛んでいった。
猫たちを撫でたくて
わちゃわちゃしたくて
郁美はペタリと座ってしまった。
その郁の膝の上に
5匹の猫が順に登り
撫でられ 交替していく。
遠慮もなく…
グイグイと
「待って待って
順番に撫でるから」
「…ちょっと重すぎるんですけど」
無理矢理過ぎない?
団子状になりつつ
郁の膝の上は5匹の猫で
猫まみれだった。
「なんでこうなった?」
郁はもう一度、猫たちを数えた。
一匹。
二匹。
三匹。
四匹。
五匹。
「あれ?」
猫が1匹…足りない…




