6
真剣な眼差しで
前のめりになって聞いて来るフムフムに、
郁はちょっとタジタジっとなった。
郁はハーブティなんて高尚な趣味もない。
味だって…
自分にとって
美味しいか、美味しくないか。
合うか合わないかしか考えない。
…よく【このワインは酸味が~】とか言う人いるけど
自分が美味しく感じれば良いと思うんだよね~
「私にはペパーミントがちょっと強いかな」
「そうですか、ふむふむ…郁さんにはミント弱めが好みと…」
メモを取るフムフムを見ながら思った。
…ふむふむって言うからフムフムなのか。
「じゃ、次の感想を!!」
キッチンへ行くフムフム。
ルイボスティ
ローズマリー
ハイビスカスティ
レモングラス
はちみつ入りだの
生姜入りだの…
…いつまで続くのこれ??
「ちょっとフムフム…
流石にお腹がチャポチャポ」
ラベンダーの香りがしたところでストップをかけた。
…リラックスどころか、お腹壊すわ。
「あ、そうですね」
「…ねぇ、一体何をそんなに焦ってるの?」
「……」
チャトがトスンとフムフムの膝に乗り、
前足を胸にかけて
ニャオン と低い声で鳴き
フムフムの顎に頭を擦り付けた。
…猫のお願いシーン。ご飯の催促かしら。
『空気読め、空気』
「…自分の無力を痛感しまして…」
「洗濯以外に??」
「はい」
…ここ笑うとこなんだけど
『…だから空気読めよ』
「知り合いが具合悪いのに、
病院治療を嫌がっていて…なんとかお役に立ちたくて」
「…それでハーブティね。」
「少しでも楽になれば、治療につながればって…」
「医者嫌いなのね。」
「…そうなんですかね。ここには来ますよ。」
「診療所には来るけど、治療は拒む?」
スッと立ち上がって
カップを片付け始めるフムフム…。
その後ろ姿は寂しそうだ。
「彼がどうしたいかわからないんです!!」
叫ぶようにフムフムが言う。
カチャカチャとカップを洗う音がする。
ニャァ
チャトの声が妙に響いた。




