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扉を開けたら  作者: 黒米 紅子
猫カフェ出口
16/43

4

「さてと!」


大きく腕を振り回して郁は聞いた。


「地流しはどうなったの?」


前回来た時、


洗い物の山だった、手押しポンプ周り。


『行ってみればわかる』


郁は俺様黒猫について歩いた。


診療所の二階の窓は開け放たれ、


白いカーテンが揺れている。


物干し棒は突き出ていない。


…ヨシヨシ、無理してないな。



地流しは…


片付いていた。


むしろ、片付きすぎていた。


子猫と子どもたちが


水を貼った地流しで戯れている。



「なんで??」


『…白澤の奴、

ジャスの厨房を直した後舞い上がっちまってな』


俺様黒猫の話ではこうだ。


自宅にキッチンのない家が多いこの村だが

舞い上がった白澤が、

各家に簡易キッチンを取り付けたとの事。


「ちょっと大変過ぎないそれ」


『俺の見立てでは、

ジャスが地流しの洗い物を黙々と片付ける姿を、

白澤は見ていられなかったんだろう』


あのヒョロとした姿で

スカートの裾が汚れるのも気にせず、

黙々と洗い物する姿を想像した。


「あー上背あるからね。ジャスには辛そうだわ。」



『これからは自分の始末は自分で…だな』



「でもなんで 

いつもジャスが地流しの洗い物をしてたの?」


『見てられんかっただろうな』


…お節介とわかってても、手助けしたかったんだ。

それに人が甘えていく。

ジャスもやめれなくなったってとこか。


「生きにくい生き方だね…」


『なかなか性分はかえられん。

これから、どうスルーできるかだな』


「白澤さんいるから大丈夫だね」


『まぁな』



「郁さぁぁ~ん」


振り返ると大きく手を振りながら、

フムフムが駆けてきた。


その後からチャトが、とっとこ着いて来た。


尻尾を立てて、リズムよく歩いて来る。


まるで、鼻歌でも歌っているように。


郁の目は釘付けだ。



「…郁さん??」



ミャオ


「こんにちは、チャト」


頭を撫でる。


何よりもお猫さま優先であった。









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