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扉を開けたら  作者: 黒米 紅子
猫カフェ出口
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郁は筋金入りの猫オタクだ。


リュックには猫缶。

今ではチュールまで常備している。


月に一度、自分へのご褒美として猫カフェへ通う。


……もちろん、財布は毎回瀕死になる。


「贅沢は敵なの…たとえお猫さまのためでも。」


猫カフェを出るたびに

自分にそう言い聞かせていた。


…男性がキャバクラの女性に貢ぐのも

こんな気持ちなんだろうか…


なんて事を思いながら、

今日も今日とて猫カフェを後にするとこだった。


猫カフェのドリンクバーで淹れた

アイスティを飲み干し

ゴミ箱にポイっと捨て、

自販機で買った、羽飾りの猫じゃらしを

リュックに入れる。


…ちょっと長すぎて、羽だけ飛び出している。


自販機から見えるドアの向こうは受付。

次のお客さんだろう。

子ども連れが並んでいる。


さらにその後ろには

老夫婦が並んでいた。


「さすが、週末だね、混み合うわ」


本当は平日にゆっくり来たいのだが

そうも言ってられない。


「社会人アルアルだね」


自販機横には「出口」の文字のドア

『ご来店ありがとうございました』の

文字の下には

この猫カフェの人気ニャンコの名入りの写真。


郁のお気に入り、アビシニアンのべにこちゃん。

ムフフと笑いが込み上げる。


「今日はいっぱい遊べたし、撫でれたもんね~」


余韻を味わいながら

出口風除室のドアを開けた。



パタン



…閉めた。


見てはいけない物を

見た気がする。


もう一度開ける。


足元に5匹の猫。


『…浮気か?』



俺様黒猫が不貞腐れたように

呟いた。



ニャニャ

にゃー


他の5匹も一斉に鳴き出す。


「ちょっとダメ、見られたら困る」


『だったら早くしろ』


ますます不機嫌な声で

俺様黒猫が尻尾を揺らす。


…へいへい、ごもっとも。




「なんて場所に出てくるんですか」


パタリとドアを閉め

郁は俺様黒猫にくってかかる。


『おまっ…それ言うか?

あれっきり顔出さないでおいて』


「だって非常口なんか、非常時じゃないと

開けられないじゃない。」


『猫にとっても非常口なんだぞ。

必死で開けて~って鳴いてるのに

助けてやらないのかよ』


「いや…そうは言ってないけど、」


シュンとする郁。


郁は猫さまが

ドア下を前足でカリカリしてる様子を

想像して…思った





…可愛い


…違う!




猫の村の門は相変わらず御神木

以前より伸びてない?


村の中は花の香りが弾けていた。


どこかでスープを煮ているのか

美味しいそうな香りも漂う。


「…ジャス?」


『あぁ、腕を上げたぞ』


思わずニンマリする郁だった。

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