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「えーなんでもうお大工さんが?」
『ニャットワークを舐めんなよ』
…ネットワークなそれ
トコトコと灰かぶり猫が厨房に入って来た。
「あら?…あなたは…」
「マジリ、どこ行ってたの?」
ジャスが灰かぶりを抱き上げる。
「ジャスの猫だったんですね。」
ジャスの腕の中でグルグルと声をあげている。
「元気よすぎて…高い所が好きなんで
棚の1番上には物を置けないんです」
「…撫でさせ…『おい、お客待たせてるぞ』
…そうだった…今はお猫さま優先じゃなかったわ
ゾロゾロと店内に戻る。
そこには不安げに身体を縮こませている
長身の男性が居た。
背が高い…
袖口から腕がニュっと出ているのは
手足も長くサイズが合ってないのだろう。
「…あ、白澤さん、お忙しい中すみません」
ジャスが丁寧に頭を下げる。
「…いえ、それで俺は何をすれば良いんですか?」
「えっと…」
チラチラと郁を見る。
…焦ったい。
「白澤さん、初めまして。
郁と言います。お願いしたいのは厨房什器の底上げです。」
「厨房の?」
「はい 高さがジャスに合ってなくて
料理がやりにくそうで…早速見て頂けますか?」
「…いいのかジャス?」
「はい、お願いします」
「ちょっと 包丁で調理している感じで立って」
「こうですか?」
「あーまな板の厚みもあるか…」
「置いてやってみます」
「こっちの台は?これくらいか…」
「いえ もう少し低くても…」
二人の手が一瞬触れる。
「あ!」
「すまん」
顔を見合わせて固まる二人。
…帰っていいかな、もう
「ありがとうございました」
さっきより丁寧に頭を下げるジャス。
「あ、いや、明日から工事させてもらうんで
よろしくお願いします。」
「あ、あの…」
ジャスはそっと紙袋を白澤に渡した。
「よかったら召し上がって下さい。」
「これは?」
「ビーフシチューです」
「ありがとう、大好きだ」
ジャスの顔が真っ赤になる。
「あ……」
白澤も耳まで赤くなった。
「いや……シチューのことだ。
……違う、違わないけど」
…ここに居るのってヤボじゃね?
『お邪魔だな』
その時 マジリがヒョイっと
白澤の肩に飛び乗った。
ゴロゴロ言いながら、白澤の頬にスリスリ。
「マジリ!…すみません、高い所が好きだもので」
ジャスは背伸びをして
マジリを下そうとする。
爪を立てて抵抗するマジリ。
より引きずり下そうとして
「キャ!」
マジリがジャスの肩を踏み台に飛び降りた。
その拍子に白澤に抱きついてしまう。
…帰っていいよね。
そーっとそーっと
二人と2匹は外へ出た。




