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252話 私、まだ納得いってないのに流されそう

シー先生は、淡々と話した。

そのほとんどは私が知らないことで、原作書いた時に詳細な設定があったかなって思い返そうとした。

でも、やめた。


どうせ無駄だ。

だって、思い出せなかったから。

この世界に転生して17年が経つのに、記憶力が保持されてるわけない。


それに、魔法じみた現象なんか私の作った世界にはなかった。

この世界と、私の原作は、かなり変わってるところが多いはず。

原作のシー先生は、自分を王族から排除したディルクレウスを恨んで、もっと静かに挙兵してた気がするし。



「たどり着いてすぐ、ディルクレウスが『遠征中に兄上たちが族に襲われ無念の死を遂げた』と発表したと知りました。名実ともに、私は死んだことになったというわけです」

「では、ディルクレウス王による身内殺しは実際にあった出来事だったのですね。眉唾だと思っていましたが」

「一周目では起こらなかったことで、私も予期できなかったんです。噂は案外、馬鹿にできませんよ」

「そういや、ヴァルカンティアの宰相殿がそれっぽいこと言ってたな……だから同盟の証に物じゃなくて、わざわざ自分の娘嫁入りさせたって」

「じゃあ、それがアンナ王妃だったってこと?ガーネティア様のお母さん」



シー先生の言葉にコマチ、アテナ、メリーも続く。

事実が少しずつ線で結ばれていってる。


なんとなく、動機はわかった。

たくさん思うところもあるだろうけど、単純に言ってしまえばこうでしょ。


『弟をしがらみから解き放つために、王族というものをディオメシアからなくしたい』


とんだブラコンだ。

でも、きょうだいで過酷な王家の祝福の犠牲になってきたなら、強すぎる絆も仕方ないか?

だけど、どうしても納得はいかない。



「これまでですかね。どうです?疑問は解消されましたか」

「半分はね。でも、重要なところを言ってないじゃない」

「そうでしたか?私の過去も、目的もお話したじゃありませんか。そんな怖い顔をしないでくださいライラ」

「まだどうしてディアーナを……ガーネティアを10年大事に匿ったのかと、わざわざ無謀な正面突破を強行するのかを聞けてないわ。あなたのことだもの、何も思惑がないわけない」



スラムの結束が強いとはいえ、王女が成り代わられてるってバレたらとんでもない事態になる。

それに、大量殺人がしたいんじゃなくて血を見せたいって言った意図がまだ読めない。


だって、王族を潰すだけなら裏から手を回して、王政の廃止でも何でもできそうじゃない。

物理でいらない血を流す必要、ある?



「それは困りましたね」

「早く言ってちょうだい。ガーネティアとジャックが来るわ」

「急いては何事もうまくいきませんが、そうですね……」



シー先生は人差し指でこめかみに触れると、何かを考え始めた。

悠長にしないでほしいんだけど!?

なんでさっさと答えが出ないわけ?

引っ張ってるよね?

だってなんとなくで王女助けて、10年面倒見たり守ることある?



「ちょっと、何をそんなに悩んで」

「先生今来たぜ!……あっ、ライラ!風邪ひいたって聞いたけど、大丈夫か」

「シー先生、ジャックを呼んできたわ。もう中に入ってもいいかしら」



といいつつ、無遠慮に入ってきたのはジャックとガーネティア。

タイムアップか……別に、この二人がいる中で聞いたっていいけどさ。


ジャックはシー先生の言うことをよく聞くし、素直で誠実。

ガーネティアは知性はあるだろうけど、席外させたところを見るに、王宮のいざこざとかは聞かせたくないんでしょ。


つまり、先生を問い詰めてももう答えは帰ってこない可能性のほうが高いってことね。

狙ってやがったなこの狸め~!



「こんばんはジャック。よく来てくれましたね」

「おう、何話してたんだ?」

「ライラが、どうして10年もガーネティアを守ったのかを聞きたがっていてね」



えっ、言うの!?

シー先生からすれば、そこは別に隠すポイントじゃないのか?


ジャックも「そんなことか」って笑うし。

よく考えなさいよ、笑いごとなわけないでしょ!?


王女に似た人間と、王女自身。

自分で言うのもなんだけど、利用方法なんかいくらでもあるよ。

ましてやガーネティアは王家の祝福がある。

まさか、本当に特に重い理由がないとか?



「ライラ、心配すんなよ。先生は純粋にガーネティアを思って守ったんだぞ」

「そうだね、私とガーネティアは叔父と姪の関係に当たります。私に子はいませんし、数少ない血縁を守りたいと思うのは当然でしょう?」

「俺も先生の過去知ってるからさ。ほら、七年前に夜の海でライラを拾ってくれた夫婦いただろ?その旦那さんのほうはシー先生のお兄さんだぜ」



その旦那さんって、私を船で迎えに来てくれて、しばらく一緒に暮らして、仲間集めの時もステラディアで交渉したときもそばにいてくれた……あのおじさん!?


あ、頭痛くなってきた。こめかみ揉む……。

そんなこと一言も言わなかったじゃないおじさん!

たしかに、どことなく知ってる雰囲気とは思ったけど!

まさかさっきの話に出てきた三番目の兄か!?


納得。だって何があってもディオメシアにはいきたくないって言ってたし。

私を迎えに来てくれた時も船上で『早くディオメシアから出たい』の一点張りだったなぁ。


どんな伏線回収よ。

まずい、なんだか熱出てきた気がする。

体調良くないんだから、頭使わせないでほしい。



「……いやいや、それだけの理由で、10年も?」

「おう。だから、目覚めないガーネティアに、みんなでたくさん声かけてたんだぜ?おかげで起きてそんな経ってないけど、みんなの人気者だよ」



誇らしげなジャック、口元を上品に隠して照れ笑いしてるガーネティア、穏やかな顔のシー先生。


そんで、茫然の私。

無意識で、メリー、アテナ、コマチのほうを向く。

そしたら、3人ともポカーンって顔してた。

メリーとアテナはあからさまに驚いてるし、コマチは首までかしげてる。


だよね?信じられないよね?

うそでしょこんなにスラムの人って純粋だったの?

それとも私たちの心が汚いの?



「そうだ、ガーネティアから聞いたぜ。加勢してくれる『軍勢』ってライラたちだろ?さっそく作戦会議しようぜ!」



笑顔が眩しい……なんだこの爽やか好青年は。

もっとおにいさんっぽくなかった?もうちょっと冷静だったような気もするんだけど。

というか当然のように全面的に協力しますみたいに思われてる。


いやいやまだ納得いってないとこあるのに~!!

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