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213話 私とこれからの不穏

「つまり、ディアーナ様の一番の懸念は『武器を持つことで反ディオメシア勢力が増えること』でよろしいですか?」

「コマチの言う通り!あなた、あの説明で状況が把握できていたのね」

「はい。かなり複雑かつ不確定情報が多いものですが、予測だけはできます」



コマチ、あなたやっぱり有能だった!!

いやいや、メリーアテナジークがダメって言うんじゃないよ?


ただこの状況で私の情報を全部飲み込んで、ようやくできることがどれだけ心強いか!

しかも変な茶々も入れないし!

素直に補佐してくれるし!

コマチがいるならちゃんと共有できる気がしてきた!



「ちなみに、ディアーナ様の未来では裏カジノが逃げたとのことですが」

「ええ、それは今でも少し心配しているの。国を支える経済はどうしても手が出せなくて」

「月光国はとても強い基盤と七年前の倍以上の繋がりを持っています。なにより、自分がいる以上何があってもディオメシアから退散させませんのでご安心を」

「コマチ、あなたって人は……!」



口約束だとしても嬉しい。

なにより、メリットデメリットは置いておいて心情で私の味方って言ってくれることが心強すぎる。


(まぁ、無条件には信じないけどさ)


裏切られるかもだけどね?

こちとら人を疑って生きてきたわけで、全幅の信頼じゃなくて悪いけど。

シー先生でヘマした可能性がある。

そこそこに受け取っておかないと。



「メリーはルシアン王と連携を密にしています。ヴァルカンティアもアテナがいるからジークの暴走は押さえられるでしょう。敵にはなりません」

「もちろんですっ!ルシアン王は平和がお好きですし、戦争に参加なんてありません!」

「ヴァルカンティアの宰相殿たちも、他国と戦争する気はねーよ。ジークが私怨で戦争吹っ掛けられるわけでもない。安心しろ」

「しまった。こうなるんだったら戦争起こせるようにもっと下剋上しておけばよかったです」

「宰相殿に言いつけてやる」

「冗談です。聞かなかったことにしてくださいアテナ」



いきなり畳みかけるように安心材料増えてったな?

メリーがソルディアとステラディアを。

アテナとジークがヴァルカンティアをそれぞれ不戦に抑えてくれるなら、戦争の激化はそこまでではない可能性がある。


(もちろん、他の手も絶えず考えるけど)


じゃあ、一番の懸念はオールシー船団がちゃんと武器を私たちにすべて譲渡してくれるのかってことだ。

原作ではきっと今頃タイタニ―のボスが亡くなったあたりか。

とすれば、最速で約束通り武器を入手できるのはすごく早くても一週間後かな……



「この中で貿易についての情報に詳しいのは、やっぱりメリーかしらね」

「はいっ!ソルディアはもう開かれた港ですし、私にできることありますか?」

「オールシー船団と連絡は取れるかしら?ちょっと、戦争を起こせるくらい大量の武器を受け取る約束をしているのよ」

「は?こんなに滅亡させないと言っておいて、自分は武器を持つんですか。なんという二枚舌でしょう、俺怖くて鳥肌が立ちそうです」

「驚くくらい平坦な肌じゃねーか嘘つきが」

「もう!ジークさんふざけないでくださいっ。ディアーナ様はそんなことしませんもん」



確かに言ってることは的を射てるけど、小学生男子かよジーク……

あんた一応私が設定だけ作った「さいきょうのかっこいいおとこ」のはずなんだけど。

この世界で過ごすうちに好み変わったのかな私。

すっかり大きなクソガキである。


さて、武器のことはメリーが何とかしてくれるでしょ。

ソルディアが一時的に武器を匿ってくれて、あとで私たち仲間が用意した場所で一斉解体を行えば大量の武器がただの鉄くずになる。


(……って、ここまではシー先生の案に乗った作戦なんだよなぁ)


はぁといつの間にかため息が出た。


今さっきの疑念がなかったら、自信を持ってもっと細かい指示が出せたのに。

前まではシー先生の「戦いをまずは起こさせない」って考えに賛同してたし、そのために仲間も集めたりしたのに。


シー先生を信じられなくなっている今、これを命じるのが正しいのか、わからない。


(不確定情報が多すぎる。あと、あとは何を共有して動いてもらえば……?)


そのとき、ドアがノックされた。


コンコンコンと、礼儀正しい三回。


この部屋は中こそ豪華だけど3重の扉だし、窓には鉄格子だし、私を出さないようにメリーが用意した部屋。

ここに来る人は、使用人かステラディアの護衛か、今この部屋にいる4人くらいなものかな。


なのに、来客なんかあるものかな?と思ったら、扉を開いたのは意外な人物だった。



「みなさん話が盛り上がっているようですね。ボク、待ちきれなくて会いに来てしまいましたよ」



白銀の髪、色素の薄い肌、穏やかな笑顔。

見たことのある顔だ。

そう、国の名前と同じ。星に愛されたみたいな見た目の……


え?マジに言ってるのか?

ここ、形式は違うけど牢屋みたいなものだよ?

こんなところに、まさか、来るのか??


かつて、レオンと共に私の婚約者候補として王宮で過ごした青年。

今は穏やかだけど、ちょっと髪のスタイリングを変えて威厳っぽいものがある、一人の大人。

原作の中で、想像した通りの彼。



「ルシアン、王子?」

「今は『王』です。お久しぶりですね、ディアーナ王女」



ルシアンが、もう王になった彼が、私の目の前に来ていた。

まさかである。


穏やかにほほ笑んだ一国の王は、私の前に跪いた。

かつて、王宮で時間を共にしたときのように。

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