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199話 4人に、私の一つが明かされる

逃げたい。

逃げたい逃げたい逃げたい!!


これどう見たって尋問&詰問&返答によっちゃ公開処刑でしょ?

圧が強いんだよ4人とも!


何とか遠ざけたくて結構ひどいことを言っても引かないし、しかもコマチが威圧たっぷりで『手こずらせたら殺す(予想)』って感じに迫るんだもん。


そんなの大人しく座ってるしかないわけで。

こんなの、王女様ムーブで切り抜けられるだろうなって思ったよ?

でも今回の4人は前と全然違うんだもん。


メリーはステラディアとソルディア統治する王の右腕として、権力最大行使して私を捕まえた。

アテナとジークはヴァルカンティアの重要人物になってることは知ってるから、もし逃走しようとしたら手足折られて席につかされるかもだし。

コマチはマフィアで非合法てんこ盛り月光国の幹部。彼女の指示一つで私が塵になってもおかしくない。


おかしいな、予定ではもっと和やか~に再会できるはずだったのに。

なんで私だけ四面楚歌?

あ、何にも言わないで囮にして七年行方くらませたらそうなる?

いやいや、私ってただの雇い主でしょ4人にとって。

いきなりのほぼ解雇で殺意持ってる以外理由ないかやっぱり!



「あ、あなた達の七年をわたくしが聞く理由はないわ」

「おやぁ?逃げるんですかディアーナ様、いや……『ライラ』さん?」



ジークが放った一言に、私の全身から汗が噴き出る。

反射でそちらを見れば、ジークはちっとも笑わないでこっちを見ていた。

紅茶にも手を付けない、クッキーも食べない。

どこまでも冷たい目が、私の反応をジッと観察する。


(なんで、その名前を私に呼ぶの)


だってその名前は、私のこの世界での本当の名前。

スラムの子供として転生した時にもらった、私としての存在を示すもの。


ライラという名前でこの七年間生きてきたのは、ディアーナ王女して成り代わる自分と同一人物だとバレないようにするものだったのに。


(いや、まだバレてないかもしれない。)


「エラにあげた名前と混同しているのかしら。わたくしはディアーナ、忘れてしまったの?」

「さすがの俺でも大事な人の名前は間違えませんよ!いや、ずっと『間違え続けてしまった』ので、あまり自慢できませんがねぇ」

「ジークさん?あの、いったい何を言ってるんですか。ライラってエラちゃんのことですよね、間違えるなんてジークさんらしくない」

「メリー、悪いけど黙ってたほうがいいぜ。ジークとコマチの邪魔になる」



ジークの言葉に、アテナの制止に、コマチの静けさに。

どうしてもわかってしまう。

この3人は、私について何かを知ってしまったんだ。


きっと、私がディアーナ王女ではないっていう真実を。



「ディアーナ様、ではありませんよね?ディオメシア国王女であり、俺の幼馴染のアンナ王妃の娘、ディアーナ王女……に成り代わった、ライラさん」

「何を言っているのかわからないわ。どこでそんな世迷言を?」

「スラム特別保護区に行きました。驚いた、あそこにはあまりに大きな秘密があったようだ」



ジークは笑ってない。

これがどれだけ異常なのか、彼をよく知る人間ならわかる。


敵を追い詰める時も、戦うときも、なじるときも、ほぼイジメかと思うくらい厳しい訓練をしてる時も。

彼はいつだって薄笑いを浮かべている。

笑うところじゃないって時も、追い詰められてるときも真剣な顔をしているのに、なんでか口の端が上がっていた。


(マズイ、本格的にマズイ)


4人の専属使用人の中で、ジークは私が唯一ディアーナ王女という立場を使って確保した存在だ。

本物のディアーナ王女なら、彼の大切なアンナ王妃の忘れ形見だったから。

ヴァルカンティア宰相の孫である本物のディアーナ王女だったから何年もそばにいてくれたんだろう。



「あなた達は、何を見たというの?生憎、わたくしはスラムに行ったことはなくってよ」

「嘘です。ディアーナ様はまだ七つになる前に『お一人で』スラム特別保護区に行った記録があります」

「コマチ、そんな記録が残っているわけがないでしょう?何年前の話だと思っているの」

「ご存じのはずです。王族がどこに行ったのか、何をしていたのかは警備室が門の開閉の度に記録している。王族方の『お忍び』は存在しません」



わかってるよ。

3年だけど王族になってたんだ、贅沢で飢えもないけど、自由もないしどこに行っても人の目がある。

だから、この抵抗が無意味だってこともよくわかる。


そのディアーナ王女が一人でスラムに行った記録を持ち出されたら私に勝ち目なんかない。


っていうか、ジークとコマチの頭脳コンビがそんなに昔の記録を持ってきたこと。

私のこの世界での名前を言い当てたこと。

そして、スラム特別保護区……すべての始まりの地に行ったこと。


こんだけ材料揃ってて私に勝ち目ある?

シラを切るにしたって、どこまで通用するかわかったもんじゃない。

相手が充分な証拠を持ってる状態で、ハッタリなんか効くわけがない。



「あなた達がしたいこと、知りたいことは何かしら?いいわ、答えてあげる」

「ずいぶんと余裕がおありのようだ。交渉において受け身でいることは敗北ですよ、いいんですか『偽物王女サマ』?」

「まさか。あなた達四人にするのは交渉じゃない、ただの『開示』であり信頼の証」



なんてね?

信頼もしてるし、ちゃんと考えて全部答えるつもりだ。


だけど、私は私の目的を果たしたいんだ。

ここで死ぬわけにはいかないっていうね!


あーきつい!!

唸れ私の表情筋!何とかおすまし顔を保ってくれ!

ここで弱い顔見せたら、恰好つかないでしょ!

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