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189話 私達の秘密と女性の正体

「アテナ、あなたの忠義と守るために何でもするところは騎士のようですね」

「はぁ?いきなりなんだよ」

「コマチさんは参謀でしょうか。実に考察力と情報処理能力が高い、得難い頭脳だ」

「あなたに評価されてもなんとも思いませんが」

「ジークさんは宰相のよう。飄々としている裏に、深すぎる忠誠心を宿している」

「何のことやら。俺は楽しそうな側について動くだけです」

「今ここに居ないメリーさんの活躍も聞いていますよ。彼女の話す言葉は一体何人を誑し込んだことか」



専属使用人の四人を侮ってはいけない。

全員が揃って全力を発揮すれば、国にさざ波を立てることは容易だから。


ただの「駒」には決してなってはくれないだろうという面倒さ。


でも、それはそれだ。

よく考えるがいい私。


この先、王族を潰すという自分の目的に、中途半端な有能も忠義も不要。

であれば、彼らには揺るいでもらおう。


ライラのために、私のために。

一周目に反発しても変わらない未来を変えるために。



「結論から言いましょう。『王家の祝福』は不死のみで、そのような予知能力はありません」



アテナさんが何かに打ちひしがれた顔をする。

私も覚えがある顔だ、信じていた者に裏切られたような表情。

私も、ディルクレウスにその顔をさせてしまったことがある。


忘れかけていたというのに、胸が痛みますね。



「『王家の祝福』とは、現ディオメシア国王とその血を受け継ぐ子供のみに発現する不死の力。王宮教会地下の不思議な空間に居れば、一晩で全ての傷が癒えて蘇生する魔法」

「それはおかしくないですか。エラ嬢はディルクレウス王とは何の関係もない庶民ですが」

「ですが蘇生はしたのです。生き返ったその本人が祝福を理解しているかは別ですが、すべては王の血。始祖ディオメシウスが受けた祝福を脈々とつないでいる証です」



エラに関して私が言うべきことは何もない。

私は一周目で『その事実を知っている』だけだ。

エラ嬢がディルクレウスの娘である経緯は知らないし知る必要もないと思っている。


ディルクレウスが正式にアンナ王妃と結婚するずっと前に生まれた子。

エラ嬢の年齢を逆算するに、当時のディルクレウスは15になるかならないか。


放り出された婚外子出生のいきさつなんて、考えるだけで胸が悪くなるものに決まっているのだから。

ディルクレウスのように、あの子がとても苦しんだように。



「はぁ…まぁ長年の疑問が一つ晴れたのはいいとして。それがその寝てる女とあなたの目的、どう繋がるんです?俺にはただの不幸自慢に聞こえなくもないですけど」

「はい、ここまで王家の祝福を正確に認識いただいてからが本番ですから聞いてくださいね」

「先生気取りですか?あなたは今追い詰められている立場なのをお忘れなく」



私はこれでも長年スラムの先生でしたので、間違ってはないんですけどね。

ですが、ちゃんと聞いてくれるようで安心しました。


寝台の上、眠る彼女の頭を一度撫でる。

本当に、ライラとこの子は本当に似すぎているほどにそっくりだ。



「物事には、例外というものがあります。例えば、王族が死んでも王宮教会の地下に行けなかったら?」

「蘇生しないんじゃねぇの」

「アテナさん、不正解です。実は、側近の一族はご丁寧にも王族すべての死因、身体欠損具合、そしてどこまでなら蘇生可能なのかをずっと記録していましてね。その中に『遺体を地下に運べなかった場合の蘇生』についても記録がありました」



忌々しい側近一族。

ディオメシア建国から不死の呪いに魅せられすぎた哀れな一族。

だが、その記録を書庫で盗み見なければ私はここにはいない。



「そこにはこう書いてありました。『祝福は弱くなれど、蘇生は可能。しかし、死した場合は最大で10年の月日を要する』」

「待ってください。それは、どういう意味でしょう」



私の言葉を食い気味に止めたのはコマチさんだった。

まだ核心部分は言っていない。

だが、気づいてしまったのだろう。

この先にある、可能性を。



「コマチさん、何か予感しましたか?それは概ねあっているはずだ。この眠る娘、彼女は約10年ほど前にスラムで頭を矢で射られて死んだ娘です」

「嘘です。だって体のどこにも、頭にだって傷はない」

「スラム特別保護区の民たちは、目を覚まさない彼女を十年世話してきた。後で話を聞けばいい」



これは、私たちの罪の始まり。

ライラを辛い運命に放り込んでしまった大人たちの罪。

そして、私の計画が産声をあげてしまった起点。



「この方は現国王ディルクレウスの『本物の』娘。ディアーナ王女……十年の間、この洞窟で完全なる蘇生をしながら生きていた、正統なるこの国の後継者だ」

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