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DRAGON・DESPAIR  作者: どらごん
アウグストゥス編
30/34

混沌と安息

荒れ狂う嵐の中、帝国軍と共和軍が戦闘をしている。元本拠地であるヴァリシュリア城跡地での戦闘は帝国軍が有利に進めると思えた。だが、違った。

無数の魔物を引き連れた共和軍の軍勢が雪崩れ込むように侵攻していたのだ。それを指揮するのはあのガタラマストスの魔女だ。

レイドールは騎士団の戦闘に立ち、魔物の猛攻を防いでいる。

「あの魔女め、とうとう共和軍に味方するか」

共和軍が陣をとる丘の上の中心にはあのガタラマストスの魔女が立っている。

それを見たレイドールはすかさずユリエの名前を叫んだ。

「ユリエ、ユリエは何処にいる!」

「ユリエ騎士兵は只今戦闘中。レイドール騎士兵長、此処は我々にお任せ下さい。騎士兵長、ガタラマストスの魔女を!」

レイドールはよしと頷く。

「ナーガ! 私に手を貸すのだ!」

レイドールの影から這い出る巨大な黒い物体。巨大な大蛇となったその物体はレイドールにまとわりつくように姿を現した。

『へぇ、私を呼ぶなんて珍しいじゃないの? どういう風の吹き回しかしら? 』

女性の声でそのナーガと呼ばれる大蛇は長い舌を出し入れしている。

「黙って私に力を貸せ。このままでは私諸とも此処にいる帝国軍が全滅することになる」

『貴女が死ぬのは勝手だけど道連れ御免だわ』

「なら力を貸せ。あの丘の上にいる魔女を討つ!」

『其処に行くために魔物を蹴散らせってわけね? いいわよ、その願いを聞き入れたわ』

ナーガは牙を剥き、魔物の中に飛び込んだ。巨大な身体で吹き飛ばし、魔物に食らい付く。次々と吹き飛ばされる魔物の陣形が崩れていく。その後を追うようにレイドールは走り出す。魔物の叫び声や引き裂かれた血飛沫が辺り一面に広がった。その光景を見て一目散に逃げる共和軍の兵士。

「ガタラマストスの魔女、やはり貴様は共和軍に手を貸すのか!」

「本拠地すら失った帝国軍を潰すための一時的な休戦協定さ! そのあとに共和軍も潰してやる!」

レイドールは迫る魔物を引き裂いた。

「貴様の目的はなんだ!共和軍と帝国軍な二大勢力を崩壊させて、この世界に混乱をもたらす気なのか!」

「崩壊? 混乱? 馬鹿な話だ! この世界にカオスなど必要ない。寧ろ正反対はだ。私の目的はただひとつ・・・」


ーーアリウスの門を開くことだ。


『アリウス・・・の門?』

「そう、アギトを再び門に返すことだ。五年前、竜の肉体が復活したことにより、再びこの世界は災厄に一歩近づいた。忌まわしき竜、七日で世界を滅ぼした竜の肉体の復活はこの世界の全ての者に衝撃をもたらした。だが、問題はそれだけじゃない。眠りの器から赤子に移された忌まわしき竜と契約者の魂は竜の肉体が目覚める直前に何者かによってガタラマストスから持ち出された」

レイドールは目を丸くした。

「どういうことだ! 二つの魂は浄化されたと教えられた! 何故貴様の所にある!」

「忌まわしき竜の魂と契約者の魂は傀儡に入れられガタラマストスに封印された。だが何者かによってそれが持ち出された。ガタラマストスはワールカイムス、ユンフラングス、そして私の三人の魔女によって多重結界が張られ封印ている。だがそいつは私達の結界を破り、傀儡ごと持ち出した」

レイドールの鎌がガタラマストスの魔女の首元を掠めた。後ろに飛び上がり、ふわりと浮かぶ。右腕から放たれた光弾がレイドールを襲うがレイドールはそれを凪ぎ払った。地面に弾かれた光弾が爆発する。

「救世主の書はずっと私達を騙し続けていたのか!?」

「力を欲するものがいれば忌まわしき記憶に手を出す。それを食い止めるのが私達魔女の役目。だが魂はガタラマストスから消失した。多重結界を破り侵入することができるのは魔力を持った魔女だけ。帝国軍に心臓を奪われていたユンフラングスの魔女ナタリア。私はあいつを疑った。魂が消失して直ぐに竜の肉体シヴァが目覚めて、私は行動に起こした。だがヤツはユンフラングスにずっといた。魂が消失し、肉体が目覚める。そこで私は考えた、七番目の騎士隊。ヤツ程の力ならば多重結界を破ることも可能だと」

「ならばダンテが!」

「いいや違う! ダンテの復活はごく最近。五年前には眠りの器の中だ。だがなにかおかしい。何故こうも都合が良い? 肉体と魂の復活はアギトの魔力によって行われたと私は推測している。十数年前、ヴァリシュリア城のアリウスの門が開かれ、アギトが解き放たれ、姿を消した。そう、帝国軍の中にアギトの契約者である、忌まわしき竜の魂を持ち去った張本人がいる! だから五年前、魔物を連れ城を襲ったのだ!」

ナーガが尾を振り回し、魔物を吹き飛ばした。

『アリウスの門、アギトって何!?』

「三百年間、我々が世界の安息のために守り続けていた存在。星々の輝く天より飛来し、この世界の魔物を生み出した本当の魔物の王。それをアギトと呼ぶ」

「アギト・・・」

「救世主アレストが忌まわしき竜を封印したのではない。封印したのは・・・」


ーーアギトだ。



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