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小さな任命式でも緊張感はある

ランジェリカさんが休むのはギルドにある部屋の一室だった。

僕は彼女の部屋をノックする。


「どうぞ」


女性の声が聞こえた。

中に入ると、そこには長い黒髪の美しい女性が立っていた。

ランジェリカさんだ。

彼女が着る、青を基調としたジャケットとミニスカートは学生が着る制服に似ている。


その隣にはぴっちりめの白いローブを着た若い女性、サラさんもいた。


どちらも僕の顔を見て安堵した。


「シオン様、よくご無事で」


ランジェリカさんは少し緊張気味だ。

だけど、その表情には笑みがある。

久しぶりの婚約者との再会に喜んでくれているならいいんだけど。


「ランジェリカさんこそ無事でよかったです。サラさんも」


「は、はい……わ、わ、わ、私の心配もしていただけるなんて……」


「当たり前じゃないか。僕はサラさんにも幸せになってもらいたいからさ」


「あ、ありがとうございます」


サラさんは目を泳がせながら顔を真っ赤にして頭を下げた。

初めて会った時とは打って変わって、今は僕のことを認めてくれているようだ。


僕の苦手なタイプだと思って、あまり気にしてなかったけどサラさんも色白で綺麗な人だな。


「それと、ランジェリカさんに紹介したい人がいるんだ」


「紹介したい人?」


「入ってきてー」


僕がドアの向こう側へ声をかけると、1人の女性がかしこまった様子で入ってきた。

ブラウンのベリーショートの髪、そして銀の鎧を着用する女騎士。


「あなたは……マルタ……マルタ・リエット?」


「はい、ランジェリカお嬢様、お久しぶりでございます!」


マルタさんはこの再会がよほど嬉しいようで涙を流していた。


「なぜ、こんなところに?あなたは西の砦にいるはず……」


「偶然にもシオン様に出会って、お誘いを受けました。ランジェリカお嬢様にまたお会いできると聞けば断る理由はありません」


「だけど私なんかと会うために白狼の砦を出るなど……」


「あそこは私のいるべき場所ではない。私はシオン様とランジェリカ様にお仕え致します」


マルタさんの確固たる決意が伝わる。


「というわけで、僕としてはマルタさんにはランジェリカさんの護衛として働いてもらおうと思ってます」


「私の……護衛ですか?」


「うん。これからランジェリカさんが実家に戻った時、命を狙われる可能性だってあるからさ。サラさんだけだとフォローし切れないと思うんだ」


「確かにサラは、ここ最近はあまり寝ていないわよね?」


そこにサラさんが、「私は大丈夫です!」と声を上げる。

だけど彼女の目の下には化粧でも隠せぬほどのクマができていた。


「マルタさんを警護隊長に任命します。サラさんは引き続きランジェリカさんの従者として身の回りの世話に専念してください。仕事はなるべく分けたほうが個人の負担は減りますから」


「シオン様がそう仰るのであれば……」


サラさんは納得してくれた。

分業は重要だろう。

過重労働は作業効率を下げるし、ミスも多くなると思うからね。

当面はマルタさんとサラさんだけになっちゃうけど、ランジェリカさんの御付きはもっと増やしたいところだ。


そして、ここからが本番。


「実は僕が誰かの役職を決めるのは初めてなんだ。そこで僕なりに"任命式"を考えたので、マルタさんさえよければ、ここでやりたいのだけど」


「な、なんと……身に余る光栄……是非、お願い致します!」


「それはよかった。じゃあ任命式の流れを説明するね」


僕が考えた役職の任命式の手順を説明した。

マルタさんを含め、その場にいたランジェリカさんとサラさんも耳を傾ける。


3人は最初こそ真剣な表情で聞いていたけど、だんだんと顔を赤らめて息を呑んだ。


_______________



ランジェリカさんの部屋。

ここでマルタさんの警護隊長としての任命式がおこなわれる。


僕は他のメンバーも誘ったのだけどマルタさんが恥ずかしがって、結局、僕とランジェリカさん、サラさんの3人だけになってしまった。


僕の右隣にランジェリカさん、サラさんが並び、目の前に緊張の面持ちのマルタさんが立つ。


鎧姿のマルタさんの横には食事を運ぶようなカートが置かれていていた。


「では、これよりマルタ・リエットさんの警護隊長任命式をおこないます」


一同、深呼吸した。

マルタさんのそばかす顔は赤らみ、震えているようにも見える。

彼女の"嬉しさ"が伝わってくるぞ。


「マルタさん、お願いします」


「は、はい……」


マルタさんは震える手で鎧を脱ぎ始める。

銀色の胸当てを外し、アームガードを取る。

さらにレザーブーツ、レザーパンツ、ブラウスと脱いでいき、無地の下着姿になった。


鎧と服がカートの上に置かれる。


「……ゴクリ」


マルタさんの息を呑む音が聞こえた。

やっぱりランジェリカさんの護衛という"大任"だからね、緊張感が半端じゃないのだろう。


さらにマルタさんは無地のブラを外し、ショーツをゆっくりと脱いで一糸纏わぬ姿になった。

細身でありながら、筋肉質の美しい体のすべてが露わになる。


「では授与致します」


僕は彼女に"真っ赤な花柄の大人っぽいブラ"を手渡した。


「あ、ありがとうございます」


言ってマルタさんはブラを身につける。

それが終わってすぐ、僕はさらに"赤い花柄で腰回りにフリフリのついたショーツ"を手渡す。

すると彼女はゆっくりと足を上げ、赤いショーツを穿いた。


「拍手!」


パチパチパチパチ


一同が拍手する。

マルタさんは自分が身につけた、大人っぽくて可愛らしさもある下着を見て甘い吐息を漏らした。


「かわいい……」


言って幸せそうに笑みを溢す。

そう、僕はこの笑顔が見たかったのだ。


「マルタ・リエット、今日からランジェリカさんの警護隊長として尽力して下さい」


「はい!喜んで!」


こうしてマルタさんの警護隊長任命式は終わった。

やっぱり隊長っていうからには"赤色の下着"かなと思って、この日のうちにセシルに作らせたけど正解だったみたい。


マルタさんは案外、胸の膨らみが大きくてスタイルがいい。

そんな体にフィットした真っ赤な下着はとても似合っていた。



「次はサラさんの任命式だなぁ」


「え……」


「サラさんは従者としての忠誠心がすっごいから大々的にやりたいね。そうだ、町の復興が落ち着いたら中央広場でおこなおう!」


サラさんは嬉しすぎて言葉を失っていた。


とりあえず、これからの役職任命式は"下着の授与"と"脱着"を通例にしていこう。

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