表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/96

真実の門番 ケルベロス・レディ

あれから野宿を繰り返して1週間半。

僕とディアナ、マルタさんは西部から東部へと入った。


朝から晩まで歩く毎日。

結局、夜は疲れてしまうため戯れどころではない。


それでもディアナの様子は気になるから、旅の途上はしっかり観察した。

僕は数枚の"可愛い下着"を彼女にプレゼントして、ちゃんと毎日、身につけるように指示を出していたのだ。


ディアナは魔神特有の黒い角と白いヘソだしタンクトップ、黒のショートパンツという格好で少し目立つため、頭と体を覆うほどのマントを着ている。


最初は歩き方がぎこちなかったが、どうやら下着に慣れたのか今は普通に歩いていた。

下半身の状態は見えないからわからないが、恐らく"常時噴水"は止まってしまったのだろう。


だから、僕はわざと朝には、


「今日の下着はどれを着たの?」


そう聞くようにした。

するとディアナは褐色肌でもわかるくらい顔を赤らめ、腰をくねらせた。


なるほど、これは必死に可愛い下着を身につけていることを忘れようとしているのだ。

でないと"常時噴水"が開始されてしまうから。


「今日の下着は……赤いものを着けました」


ディアナはしっかり答えてくれて、言葉にした瞬間に放水する。


やっぱり僕の従者ならこうでなくちゃ。

イヴやセシルも見習ってもらいたい。

それくらいディアナの体はすでに完成されていると言っても過言ではなかった。



一方、マルタさんは真面目の一言。

ずっと僕の護衛のように振る舞っている。

朝は早くて、夜遅くまで周囲警戒を怠らない。


これで剣術もスキルも優秀となれば、すごい人材をスカウトできたと思う。

彼女にはランジェリカさんの護衛とサラさんのバックアップの仕事をしてもらう予定だ。


それにしても、ここまで真面目だと疲れちゃうよね。


帰って落ち着いたら、ご褒美をあげないと。


_______________



僕たち3人はようやく荒野の迷宮に辿りついた。


相変わらずの日差しと見渡すかぎり何の変化もない荒野。

それはまさに"サ終"目前のMMORPGフィールド

だった。


「えーと、迎えが来るはずなんだけど……まさか迷ってるのかな?」


「もしかしてセシルが来るんですか?」


「その予定だけど、どうして?」


「アタシ、あいつはあまり好きじゃないので」


「なんで?」


「なんか知らないですけど気に食わないです」


魔神同士はあまり仲が良くないというのは知っている。

それを差し引いてもディアナが言うことは少しわかる気がした。


ディアナは負けず嫌いだけど、恐らく序列的にセシルには勝てない。

さらに、あの知的な印象が鼻につくのだろう。


僕はわかっていながらも、あえて聞いてみた。


「もしかしてセシルに勝てないから?」


「そ、そんなことは……」


「ディアナさんはセシルに勝ってるよ。ある意味、僕の中では圧勝」


「え?」


彼女の動揺が見てとれた。

正直、イヴ以外でこれほど惹かれた女性はいないからね。

僕の側近護衛役はもう心に決めている。


"常時噴水()()()のディアナ・ボルティクス"だ。


頼むから一生、可愛い下着に慣れたりせずに、ずっと噴水魔神でいてほしい。



それはさておき、やっぱり誰もいない……。


そう思われたが、ようやく数人の影がこちらへと向かってくる。


あれは、もしかして"3人娘"かな?


「なんで彼女たちだけなんだ?」


数メートル先に横一列に並ぶ女性たち。


真ん中にミニスカチャイナ服の中華美少女剣士、黒いお団子ヘアのユーフェンさん。


右隣に白いショルダーレスのミニスカワンピースの弓使い、赤髪サイドテールのアイヴィさん。


左隣にカーキ色のローブと黒の三角帽子を被った魔法少女、ブラウン短髪のクミルさん。



なぜか、その場に立ち止まり、こちらを冷めた目でこちらを見ている。


「おかえりなさいませ主人さま。魔神を連れてこられたんですね」


そう言ったのはアイヴィさんだった。

棒読みな感じで、小馬鹿にしているように聞こえた。


「アイヴィさん、セシルさんとランジェリカさんはどうしたんです?」


「それがぁ、エヌス・ヤタに行ってから帰ってきませぇん。これは好都合ですねー」


帰ってきてない?

確かセシルの計算では、ここには僕の方が遅く着くはずだ。

それにしても"好都合"とはどういうことなのか。

僕が首を傾げると、口を開いたのはクミルさんだ。


「も、も、も、申し訳ございません、主人さま……これ以上、先に進ませるわけにはいきません」


「それは、どういう意味ですか?」


僕が言うと、質問に答えたのは一歩前に出たユーフェンさんだ。


「これ以上、進まれては"真実"に辿り着いてしまう。それは阻止せねばならないのです」


「真実……って、なんの真実?」


「最初は様子を見るだけでしたが、こうなったら致し方ないです。我ら【ホワイト・スコーピオン】はアナタを殺さねばならない」


ユーフェンさんは手に持った中華剣を抜いた。

それに共鳴するようにアイヴィさんは弓を構え、クミルさんは杖を掲げる。


ああ、やっぱりか。

3人のうち誰か1人が【白いサソリ】と繋がっていると思い込んでいたが、"あの言葉"によって僕の考えはくつがえっていた。


『"どっこいしょういち"』


南部では、よく重い物を持つ時に言う口癖のようなもの。

彼女たちの全員が偶然にそれを口にした。


それだけじゃない。

土の巨兵との戦闘の時、何の指示も出し合わないのに見事な連携を見せてくれた。


これは以前から3人が一緒に戦うことがあったからだろう。


そう、ここにいる()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()



「貴様ら、主人様に牙を剥くか!!」


叫んだのは僕の後ろにいるディアナだ。

魔神の登場に3人娘は退くかとも思えたが、彼女たちは顔色ひとつ変えない。


何か策があるんだ。


ディアナはマントを脱ぎ捨て、前へと上半身を倒す。

一気に踏み込む体勢を作るが、その瞬間……、


閃光シャイン


クミルさんが魔法を使った。


荒野が真っ白に染まる。

僕たちは一瞬にして視界を奪われた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ