表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/84

赤髪の魔神・我がものとなりて

その晩。


暗闇の部屋で僕はベッドに寝そべる。

窓から入ってくる風がカーテンを揺らし、その心地よさが眠気を誘う。


最近では当たり前のようになった1人の夜。


そこに静かにドアが開かれて誰かがベッドに近寄る。

薄らと目を開けて確認すると、そこには長い髪で背の高い女性がいた。


「誰?」


半分、寝ぼけた僕の声に反応して"女性"はベッドの横に跪く。


「主人様……イヴでございます」


妙に悲しげだった。


僕は上体を起こしてイヴを見る。

ようやく暗闇に目が慣れて、彼女の姿がハッキリと確認できた。


長い赤い髪、こめかみには二本の黒い角。

そして、だいぶ久しぶりの黒ビキニ。


「綺麗だ……」


思わず呟いていた。

そういえばイヴの美しい整った顔立ちも最近では全く見なくなっていた。


町の中では常に兜を着用していたし、復興が始まってからは戯れも無くなったからだ。


イヴの何かを欲するような瞳に僕の鼓動は無意識に高鳴る。


「主人様、この度の御無礼をお許し下さい」


「え?」


「どのような罰でも受ける覚悟でございます。ただ……私は……」


「罰だなんて、一体どうしたの?」


「私は……」


ここまで言葉に詰まるイヴは初めてかもしれない。

僕はただ遮らず、次の言葉を待った。


「私は決して望んではいけないことを望んでいるのです……」


「どういうこと?」


「私は……"彼女"に嫉妬してしまった」


「彼女って、もしかしてランジェリカさん?」


「……はい。セシルから聞きました。主人様と婚姻を結ぶと」


まぁ、ある意味で強引な政略結婚と言うのかもしれないけど。

それに対してイヴがなんで嫉妬なんかするの?


「うん。ランジェリカさんを助けるためにね。でも、イヴはなんで嫉妬してるの?」


「私は主人様を……シオン様のことを心の底から、お慕えしているのでございます」


「それってもしかして……」


イヴの頬を涙が伝った。

それは決して部下として決して抱いてはいけない感情が胸の内にあるからだ。


でも、それって本物の感情なのかな……?

この従属関係は僕のスキルによるものだ。

それで抱い()()は作り物なのではないか。


「イヴさん、それは……」


「この気持ちは主人様のスキルによるものではありません」


「え?」


「聡明な主人様であれば、お気づきかもしれません。このスキルはレベルの関係なのか、とても不安定です」


もちろん気づいている。

この『従属オビディエンス』のスキルは相手を従属状態にして絶対命令権を得るというもの。

その間、相手は僕から離れなくなるのだが、いつも効果は途中で切れて正気に戻る。

再度、会うと従属状態が継続されていて、また絶対命令権を行使できていた。


いや、というよりも従属対象が自らの欲望を抑え切れなくて僕と一緒にいたとも考えられる。


とにかく、このスキルの効果は謎が多くて僕は考えるのをやめていたのだ。


「私に対するスキル効果も、もちろん不安定でした」


「というと?まさか……」


「この町に来る前に、一度スキルの効果は切れています」


「え?」


「私が主人様に初めて料理を作った日です」


あの気を失った時だ。

確かイヴの夢を見ていたような気がする。


しかし、これは恐らくファリスちゃんと同じ理論なのではないか。

実際は従属状態にあるが途中で反発するような感情が沸いてきて反抗し始めるというもの。


()()()()()()()()()()()()


「なんで僕を殺さなかったの?」


「最初は考えました。だけど、できなかった」


「なぜ?」


「"この人間ともう少しだけ一緒にいたい"という感情の方が強かったからです。なにか不思議な繋がりを感じた」


「……」


「そして料理を振る舞って、あなた様から"美味しい"と言って頂いた瞬間に私の心にはある感情が芽生えた。決して思ってはいけないこと……()()()()()()()()()です」


「イヴさん……」


「私と主人様の関係は対等ではございません。人間と魔物、主人と部下。ですから決して抱いてはいけない感情なのです。ですが……私は……シオン様が……」


僕は言葉を待たずにベッドから降りて、跪くイヴを優しく抱きしめた。


「ごめんね。僕が苦しめちゃったみたいで」


「い、いえ……そのようなことは……」


「僕もイヴさんのことが好き」


「ほ、本当に……この私のことが……?」


「うん。会った時からずっと好き。だけどイヴさんにも好きな人がいるだろうから言えなかった」


「私にはシオン様しか見えておりません。シオン様のことが……好きです……愛しております」


そっとイヴから離れる。

そして彼女と見つめ合って……


僕たちは唇を触れ合わせた。

ずっと、長い時間、夜が深まるまでずっと。


いつもの戯れとは違う。

胸がとても熱くなる感覚。


ベッドの上で体を重ねる。

この日、僕とイヴは"一つ"になった。



……。



【レベルが上がりました】



流れるように続く快感からの激痛。

今までにないほどの痛みが左手だけでなく、全身に感じる。



僕の上に跨り、快楽に乱れ狂うイヴの長い赤髪は闇夜を照らすほどの神々しい光を放つ。



【従属レベルが上がりました】



さらに声が続く。



【新たなスキルを獲得しました】



凄まじい力がみなぎる感覚。



そして獣のように続けられた行為を終える。



これで赤髪の魔神は完全に従属され。

この【結合】によって""が物になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ