中華系・美少女剣士の登場
自分の部屋だと勉強ができない……という人は多いのではないだろうか?
実は僕もその1人である。
書斎でファイアーアローの魔導書を読み始めてから2日が経った。
なかなか読み終われずにいるのは、どうしても周りが気になって集中できずにいるのだ。
床にある小さなゴミ。
本棚にある本の傾き。
いまだに降り続く雨が窓に当たる音。
……etc
この"自室にいると勉強できない"、という現象に名前ってないのかな?
少なくとも僕の脳のデータベースには存在していない。
「ちょっと部屋、片付けようかな」
昼を過ぎた頃だろうか。
僕は半分ちょっと読み進めた魔導書を閉じて書斎の片付けを始めた。
とは言っても、エリシアさんは綺麗好きだったみたいでほとんど汚れてはいない。
僕が出入りするようになってから落ちたホコリや小さなゴミと、少しの本の傾きくらきだろう。
「こんなことやってたら、一生読み終わらないなぁ」
1人の書斎で独り言を呟きつつ、床板の隙間の小さなゴミを丁寧に拾い上げる。
それが終わると両サイドに沿うようにして並んだ本棚へ向かって、本の小さな傾きを直していく。
「……ん?」
1冊の分厚い本に目がいく。
「なんか、これ魔導書に似てるきがする」
その本を手に取ってみた。
表紙も大きさも重みも魔導書そっくり。
いや、これ絶対に魔導書だぞ。
すぐに開いて中を確認する。
「え……?」
これって……、
僕が本の中を見て困惑していると、"コンコン"とドアを叩く音がした。
「は、はい!」
『主人様、失礼致します』
持っていた本を本棚に戻すと同時に、黒い鎧に身を包んだイヴが書斎へと入ってきた。
その後ろには背の小さい少女も一緒だった。
その子は黒に近い青髪を頭の左右でお団子にしているチャイナヘア。
服装も青と白のツートンのミニスカチャイナドレスで胸はさほど大きくはない。
手には中国剣らしきものを握っている。
ツンとした顔をしているが、あどけなさも残る女の子だ。
『彼女で最後となります』
ようやく最後か。
イヴには大変な仕事をさせちゃったな。
『主人様にご挨拶を』
「ユーフェンです。よろしくお願いします」
最初に出会ったファリスちゃんのようなキツいイメージを感じたけど、もの柔らかで礼儀正しさがある。
わざわざ両手のひらをお腹の辺りで合わせて頭を下げるという、こちらの世界ではまだ見たことのない挨拶をしたのだ。
「ユーフェンさん。とても綺麗なお名前ですね」
「お褒め頂き恐縮です」
多分、ファリスちゃんと変わらないくらいの年齢なんだろうけど雰囲気がとても大人っぽくて"さん"付けしてしまった。
「ユーフェンさん、珍しい服を着てますね。どちらの出身なんですか?」
「私は南の出身になります。ですが、この服は私の胴着ですので出身は関係ありません」
「そうなんですか。剣術か何かなのかな?」
「はい。私は"刻天一閃流"の門下です。最高師範はロギウス・ゼレスという北部では凄く有名な剣士です。私の師匠は別の人ですけど」
「な、なるほど」
うーむ、聞いたことがないぞ。
あまり剣術の流派なんて気にして生きてないからなぁ。
……北部といえば、確か僕の父であるオルドの剣の師匠が有名な剣士だったはずだ。
まさか、その"最高師範"が父オルドの師匠ってことはないよなぁ。
「剣は父に少し習ったんですけど、僕には才能が無くて……」
「剣術は日々の鍛錬です。私は毎日の積み重ねの大切さを師匠から教わりました」
ユーフェンさんの師匠はとても心の強い人なんだろう。
でも、やっぱり異世界だからといって甘えさせてもらえないのか。
まぁ確かに楽して手に入れた力なんて価値は感じないからね。
「ユーフェンさんは毎日、鍛錬を重ねてるんだね」
「はい」
「それはすごい。とっても偉い!尊敬するよ!」
僕は言ってから後悔した。
これって、とても上から目線な発言な気がする。
強くなりたいと思ってる人間にとって毎日の鍛錬なんて当たり前のことだろう。
でもユーフェンさんは顔を赤らめながら視線を逸らした。
「い、いえ、私は……偉くはないです」
もしかして、ユーフェンさんは褒められ慣れてないのかな?
「習っても、しっかり継続できるのは凄いことだと思うよ。僕も見習わないと。そうだ、もしよかったら僕に剣術や鍛錬の仕方を教えてくれると嬉しいな」
「は、はい、私でよろしければ……」
「あとユーフェンさんさえよければ、この町の復興もお手伝いしてもらえると助かるんですけど……」
「はい。それはもちろん」
「ありがとう。でも町を離れたくなったら、いつでも言ってね。僕はユーフェンさんの旅の邪魔はしないから」
僕が笑顔で言うとユーフェンさんはまた視線を泳がせて顔を赤らめながら頷いた。
『主人様、この者にスキルを』
「う、うん……『従属』。ユーフェンさん、これから、よろしくお願いします。」
彼女の体から力が抜けて目が虚になる。
手に持った剣は、その重さで今にも落としそうだ。
「はい……こちらこそ……よろしくお願いします」
そして、この夜、ユーフェンさんとの2人っきりの戯れがおこなわれることになった。
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夜の書斎。
月明かりが窓から差し込んで、その微かな光だけが部屋を照らしている。
僕は椅子に腰掛けていて、抱き合うようにしてユーフェンさんが足を広げて上に座っていた。
彼女の着ているミニスカチャイナドレスのスカート部分は自然に腰まで捲り上げられ、ショーツは丸見えだ。
僕のズボンと彼女の白色のショーツはしっかりと触れ合い、下半身には確かな生暖かさを感じた。
ユーフェンさんは僕の首にしっかりと両手を絡ませて密着状態。
僕も彼女の腰のあたりに手を回して、しっかりと抱き合っていた。
これがユーフェンさんの願望だったみたい。
人肌が恋しくて、触れ合いを求めていたようだ。
「すごく暖かくて、心が満たされて……こんな感覚は初めてです……」
「ユーフェンさんが幸せな気持ちになれたのならよかった」
「幸せ……うん、幸せ」
ユーフェンさんの表情は見えないが、その声色から想像するに笑顔なのは確かだ。
彼女は軽く上下、左右にと腰を動かしてショーツを僕のズボンに擦り付ける。
本人は無邪気な感じで何気なくやってるのだろうけど、これは少しマズイ行動な気がするぞ。
「もっと……強く抱きしめて欲しい」
「う、うん」
僕はユーフェンさんの華奢な体を力強く引き寄せた。
すると彼女は甘い吐息を耳元で漏らして、さらに腰を動かして喜びを表現する。
「ユーフェンさん、痛くない?」
「大丈夫、ずっとこうしていたい……」
昼間、会った時の印象とは大違いだった。
武を志す者の特有の張り詰めたような雰囲気はもうまるで無く、今はただの甘えたい子供のようだ。
そして、ある程度の時間が過ぎた頃、ユーフェンさんは安心しきったのか、そのまま寝落ちしてしまった。
その瞬間、僕の左手に激痛が走る。
【従属レベルが上がりました】
さらに、
【新たなスキルを獲得しました】
いつものアナウンスが脳内に流れた。
僕はユーフェンさんを起こさないように、そっとギルドカードを取り出して見る。
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【従属レベル】
ミナ・・・(レベル1)
クミル・・・(レベル2)
アイヴィ・・・(レベル2)
ファリス・・・(レベル2)
ユーフェン・・・(レベル2)
ランジェリカ・・・(レベル1)
イヴ・ガルハート・・・(レベル3)
セシル・アクアリュウム・・・(レベル3)
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【獲得スキル】
・『炎歪』
・『耐寒』
・『影跳』
・『偽装』
・『拡散』
・『魔転』
・『狙撃』
・『猫足』
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今回の獲得スキルは『猫足』だ。
スキル内容は、
"歩く際の足音を消し、ジャンプ力を向上させて、さらに着地の衝撃をかなり軽減する。
というもの。
足音を消すとなれば隠密系のスキルかな。
さらにジャンプ力の向上と着地の衝撃軽減というのは、ヒーローに憧れを持つ者にとっては必要不可欠な身体能力と言える。
これはイヴの素晴らしい人選に賞賛を送りたい。
こうして僕は、"クミルさん"、"アイヴィさん"、"ユーフェンさん"という3人の女性と仲良くなることができた。
そして、この数日後に僕はあの夢を見ることになる。
"白いサソリの紋章を持つ勇者候補"の夢だ。




