半信半疑の旅立へ
その後、ミナちゃんとの待ち合わせ場所の川や森で待っていても彼女は来ることはなく、家に迎え行っても会えなくなった。
ミナちゃんの母親の話だと別のお友達と遊んでいる、とのことだったが……
この話には裏があるらしい。
どうやらミナちゃんは前から僕のことが好きだったようだ。
だが、あの性格なので素直になることができず、いつも強がっていた。
ずっと隠しておくはずだった気持ちを、どうしてか自分で盛大に暴露することになり心の整理がつかなかったようだ。
それだけでなく、『お願いならなんでも聞く』と女の子っぽいことことまで言い出した(こんなことを言ったらミナちゃんに失礼だが……)
ミナちゃんにとって、自分の恥ずかしい姿を好きな男の子に晒したというショックは大きかったのだろう。
結局、この村を旅立つ日まで僕はミナちゃんと会うことは無かった。
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この日を境に僕は父オルドから剣術を習うことになる。
父の師匠は有名な剣士らしく、父自身もそれなりに心得があった。
その息子の僕はというと……
「よし!これで今日の修練は終わりだ!」
「あ、ありがとうございました」
「どうだシオン、レベルアップしているのを感じるだろ!」
「いやぁ、全然」
「な、なぜだ……オレの教え方が悪いのか……」
「多分、僕に才能が無いだけだと思うけど……」
「いや違う、シオンは大器晩成型なんだ。ダメなのはオレの方だぁぁぁぁぁぁ!!」
父は泣き叫びながら走り去った。
オルドの教え方はとても上手いと思う。
恐らく門下生をとったら結構なお金を取れるのではないか。
しかし、そんな父の教えがあっても僕は全く成長を感じない。
簡単な動きはできるが、これで戦闘ができるかと言ったら無理だと思う。
スキルだけでなく魔力も感じなければ剣術もできないとなると、本当に何も才能が無いことになっしまう。
あと数年で魔王倒す旅に出なければならないが、それはどう考えても無謀な挑戦だった。
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出会いがあれば別れもある。
僕はついに15歳になり、この村から旅立つことになった。
スキルの発現を楽しみにしていた両親には、『未だに発現を感じない』と言って誤魔化した。
剣術と魔力が大器晩成型ならスキルもそうだったとしても違和感はない。
まぁ実際は無能なだけなのだが、僕は両親をガッカリさせたくなかった。
傷つくのは僕だけでいい。
村の入り口には父と母、そして村人が数人集まっていた。
僕は村で一番の布の服、布のマントを羽織り、腰には父からもらったダガーを差す。
「じゃあ、行ってくるよ」
「お前なら必ず魔王を倒せる!だってオレたちの子供だからな!」
「私たちの息子なら大丈夫!」
そう言って両親ともども号泣していた。
一方、後方で見守る村人たちは苦笑いしつつの半信半疑だ。
なにせ小さい村だから僕の才能の無さは一瞬で広まる。
"あの子が魔王を倒せるとは思えない"と村人たちが裏で噂していたのは知っていた。
恐らく僕の左手の甲にある勇者の刻印、"黒い竜の紋章"は何かの間違いなのだろう……この時はそう思っていた。
そして僕は最初の町へ行き、冒険者ギルドで"ある男"と出会うことになる。
半年後、僕を樹海に置き去りにして殺そうとした、北部で2人目の勇者候補と。




